中学生が行うDNA鑑定実験、広尾学園がサイエンス教育を通じて伝える学びとは

 広尾学園中学・高等学校は、同校の中学生以上を対象に「DNA鑑定実験講座」を実施した。広尾学園は、教育ICT導入の先駆者として早くからiPadやMacBookの導入を試みたことで知られているが、医進・サイエンスコースの研究活動に代表される理科教育も特長的だ。

教育・受験 学校・塾・予備校
実験の様子
実験の様子 全 16 枚 拡大写真
 広尾学園中学・高等学校は、同校の中学生以上を対象に「DNA鑑定実験講座」を実施した。広尾学園は、教育ICT導入の先駆者として早くからiPadやMacBookの導入を試みたことで知られているが、医進・サイエンスコースの研究活動に代表される理科教育も特長的だ。今回は、医進・サイエンスコースがキャリア教育の一貫として実施している特別講義をレポートする。

 参加者は、中学1年生を中心に、中学2年生や高校生を含む生徒たち。4名ごとのチームに分かれ、各グループのティーチングアシスタントとして、医進・サイエンスコースの高校生1人がつき、中学生たちの実験をサポートした。「DNA鑑定」をテーマにした同講義は、朝から夕方まで丸1日を費やして行われ、講義のみならず、生徒が自ら手を動かして確認する実験や、問題解決能力を養うリサーチワークなどが行われた。

 広尾学園で医進・サイエンスコースをマネジメントする木村健太教論は、飛躍的に発展する生命科学の分野の研究結果は私たちの生活に広く浸透しているが、それに対する社会の認識はあまりにも低いと解説。DNA鑑定技術や遺伝子組み換え食品などに対する知識はもとより、非常に重要な個人情報であるゲノム情報を今後どのように扱うべきか、その判断のために必要な情報はどのおように収集できるのか、自ら学ぶための手法を学んでもらうことが実習の目的だと実験テーマを選んだ経緯について説明した。

◆「お酒に強いか?弱いか?」を遺伝子レベルで調べてみよう

 午前中は、グループごとにDNAに関する実験が行われた。実験内容は、生徒自身のゲノムDNAを用いて、アセトアルデヒド脱水素酵素の遺伝子型を鑑定し、「自分がお酒に強いか?弱い人か?」ということを調べてみる、というもの。

 お酒を飲むと、中に含まれるアルコールがADH(アルコール分解酸素)によりアセトアルデヒドに変化する。さらにALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵素)により酢酸へと変化するという。アセトアルデヒドには毒性があるため、体内に残ると気持ちが悪くなってしまう。したがってALDH2の働きの弱い人は、アセトアルデヒドの分解能力が低く、体内に残るためお酒を飲めない人もいるという。

 このように「お酒に強いか?弱いか?」を決める要因は、アルコール代謝に関わる「ALDH2遺伝子」の遺伝子型(正常型/変異型)によって決定される。つまり「正常型」を持っていればお酒に強く、「変異型」を持っていればお酒に弱いというのが基本だ。
  1. 1
  2. 2
  3. 続きを読む

《井上猛雄》

【注目の記事】

この記事の写真

/

特集