アンフェアに挑んだ27歳、3つの教育格差をゼロに…アオイゼミ塾長 石井貴基氏

 中高校生向けにスマートフォンやタブレットを使ったライブ授業を提供している「オンライン学習塾アオイゼミ」。アオイゼミを起ち上げた株式会社葵代表取締役兼塾長の石井貴基氏に、IT技術を活用したアオイゼミの設立から教育への展望までを聞いた。

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株式会社葵代表取締役の石井貴基氏。塾長としても、生徒たちから慕われている
株式会社葵代表取締役の石井貴基氏。塾長としても、生徒たちから慕われている 全 6 枚 拡大写真
◆画面を抜け出した交流が高評価、保護者からも届く感謝の声

--アオイゼミの利用者やその保護者からはどのような声がありますか。

 保護者からの声としては「自分で勉強するようになった」というご意見をよくいただいています。ライブ授業を中高生向けに無料で配信しているのはアオイゼミだけです。また、2か月に1回ほど会社見学を行っており、参加する生徒は直接先生に会って質問したり、生徒同士の交流をしたりと、楽しんでいるようです。付添いの保護者の方からも、「画面越しに見ていた先生がこんなにも教育のことを真剣に考えてくれていて信頼度が上がった」という感想をいただきました。

 そのほかにも、利用者からは「自分から進んで勉強するようになった」というレビューや「勉強が楽しくなった」という意見、さらには実績として「テストの点数があがった」という感想もありました。アンケートでは、87%が「成績があがった」、97%が「定期試験の役に立つ」と回答しています。夜遅くまで塾に通わなくてもいいけれど、塾みたいな教室でみんなと受けているような感覚で楽しい。そして楽しいから勉強が続けられるというわけです。

◆教育の格差をゼロに…「伴走」とIT技術で子どもの未来をサポート

--今後、どのようなサービスを子どもたちに届けたいとお考えですか。

 私たちのやっていることは、生徒たちが将来「何かになりたい」というものを見つけて、それを実現できる手伝いをするサービスです。今はセンター試験制度の改革などをはじめ、教育業界自体が揺れている時期ですが、英・数・国・理・社などの基礎学力の必要性に関しては絶対になくならないと思っています。単なる受験テクニックを伝授するのではなく、"気付き"を与えられるサービスでないと生き残れません。

 たとえば、高校講座の現代文では生徒が主体的に考えるきっかけを与えられるような授業をすでに実践しています。中高生までの時期に、"文章や問題の本質"を考えられる力をどれだけつけられるか、そういった授業をほかの教科でも実践していきたいと思います。それに加え、将来を考えるという意味で、社会科見学やお金に関する授業などをコンテンツとして備え、広い視野をもってほしいと思います。

 私たちは生徒たちの伴走者で、「一緒に頑張る」ことしかできません。しかし、伴走者であり、指導者でもあるので、生徒が頑張るためにはどういうサービスをすればいいのかということを常に考えています。

 そして、私たちのミッションは「教育の格差をゼロにすること」です。その格差とは、「経済格差」、近くに良質な学習塾がないといった「地域間の格差」、そして「意識の格差」の3つです。無料で受けられるアオイゼミは経済格差をなくすひとつの方法で、2015年4月にスタートした特進コース「SACLASS(サクラス)」は地域間の教育格差をなくすためのものです。「SACLASS」はIT技術によって地方にいても24時間体制で最高品質のサポートを提供できます。

 また、「学校に行きたいけれど、行くための方法がわからない、お金がない」といった問題は、たとえば奨学金制度のことを知っていれば解決できたかもしれません。私たちは勉強をやる気にさせる意識づくりや、将来の夢や目標を見つけるきっかけになりたい。だからこの3つの格差をゼロにしたいと思っています。

--ありがとうございました。

 生徒たちから「塾長」として親しまれている、飾らない人柄の石井氏。言葉の端ばしから、アオイゼミへの熱い思いと、教育への情熱が伝わってきた。ITという武器で教育業界に斬りこんだその志で、子どもたちに新しい勉強の楽しさを伝えてくれるだろう。
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《相川いずみ》

教育ライター/編集者 相川いずみ

「週刊アスキー」編集部を経て、現在は教育ライターとして、ICT活用、プログラミング、中学受験、育児等をテーマに全国の教育現場で取材・執筆を行う。渋谷区で子ども向けプログラミング教室を主宰するほか、区立中学校でファシリテーターを務める。Google 認定教育者 レベル2(2021年~)。著書に『“toio”であそぶ!まなぶ!ロボットプログラミング』がある。

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