【Googleと教育6】ほかのPCとどう違う?Chromebookの特徴と導入事例

 Googleが教育業界に参入した背景やねらいを探る連載「Googleと教育」。第6回では、日本で2014年5月にリリースされて以降、教育機関での導入が進んでいるというGoogleのハードウェア「Chromebook(クロームブック)」について深く掘り下げてみよう。

教育ICT 先生
郁文館夢学園の授業のようす
郁文館夢学園の授業のようす 全 4 枚 拡大写真
 教育ICTに関わる業界の裾野は実は幅広く、Googleも2006年から教育分野への進出・取組みを始め、ソフトウェア、ハードウェア、プログラミング教育の3つの分野で教育業界の変革に携わってきた。

 連載「Googleと教育」第1回から第3回では、Googleアジア太平洋地域担当エデュケーションエヴァンジェリストのSuan Yeo(スアン・イェオ)氏にGoogleが教育業界へ参入した目的や背景、これまで展開してきたプロダクツ・コンテンツのねらいについて聞いたが、利用者にとっての目下の疑問は「それらをどのように使うのか?」といったことだろう。

 Google for Education日本統括責任者の菊池裕史氏に、各サービスの詳細や導入校の実例を交えた活用例を聞いた。よくある質問に対する答えも一挙公開。第6回では、日本で2014年5月にリリースされて以降、教育機関での導入が進んでいるというGoogleのハードウェア「Chromebook(クロームブック)」について深く掘り下げてみよう。

◆Chromebookとは何ですか

 「Chromebook」とは、スピードと使いやすさを追求した新しいタイプのパソコンです。Chromebookのオペレーティングシステムである「Chrome OS」には、便利なGoogleアプリやセキュリティー機能が組み込まれており、一元管理を簡単に行えるなど、従来のパソコンにはない特長があります。

◆教育機関で利用する際に知っておきたい3つのポイント

 教育機関でChromebookを利用する際には、総所有コスト、管理機能、共有性、この3つのポイントに着目してほしいですね。

 端末を教育機関に導入する際には、初期導入費用だけでなく、複数年利用する際に必要となる総所有コストを認識しておく必要がありますが、Chromebookはほかのパソコンと比較して3年間の総所有コストを61%削減できることが第三者機関の調査により報告されています。また、Chrome管理コンソールを活用することにより、数台から数万台単位の端末を一元的に管理することも可能です。この機能を活用すれば、学校への端末導入時間が従来の93%削減できることが報告されています。

 さらに、共有性の高さもChromebookを利用するうえでは見逃すことができない特徴でしょう。教員や生徒は、1台の端末を共有しつつ、それぞれのユーザーが持つアカウントでログインするだけで、自分の環境・設定で共有端末を利用できるのです。

◆導入事例を教えてください

 Chromebookを導入し、新しい学習環境を構築している学校のひとつに、郁文館夢学園が運営する私立校、郁文館中学校・高等学校があります。2015年から2016年にかけて、郁文館夢学園の750名の生徒に対して1人1台の環境でChromebookを配布しました。

 郁文館夢学園がChromebookを導入する際に特に着目したポイントは、Chrome管理コンソールを活用することにより、端末の管理を容易に行える点です。郁文館夢学園によると、端末の管理に必要な時間が削減されたことにより、教師は生徒と向き合う時間をより多く確保できるようになったそうです。

 また、郁文館夢学園の学習に関する興味深い取組みには「0時間目の活動」というものがあります。この取組み中に、生徒が1人1台の形で端末を所有することで、個人の学習進度に応じた個別的な学習を実現できるようになりました。現在はChromebookを利用し、さまざまなWebサービスを活用して、英語のリスニング、ディクテーション、スピーキングの学習などを「0時間目の活動」として実施しているそうです。

◆ほかのパソコンとどう違うの? そのほかよくある質問を菊池氏に直撃

【質問1】Chromebookとほかのパソコンの違いは何か。

 Chromebookは作業効率化を考えて作られた新しいタイプのパソコンです。そのため、オペレーティングシステム(OS)として、Googleの利点を組み込んだ、クラウドストレージ対応かつ多層セキュリティーの「Chrome OS」を採用している点がほかのパソコンと異なる点です。

【質問2】従来のパソコンと比較して、Chromebookが安価なのはなぜか。

 Googleは、メーカーと連携して教育機関向けのChromebookを「お手頃な価格」で提供するよう努めているからです。総所有コストの削減を考えて作っていますので、端末価格は管理とサポート費用込みで、1台3万円台から提供しています。Chromebookなら、大部分のソフトウェアについて費用をご心配いただく必要もありませんし、Chrome Webストアの豊富な無料アプリから学習のためのアプリをお選びいただけます。

【質問3】Chromebookはオフラインで使用できるか。

 オフラインでの利用も可能です。インターネットに接続していないときでも、オフライン対応のアプリを使用してChromebookで引き続き作業できます。たとえば、次のようなアプリがオフラインに対応しています。

・メールの読み書き:オフライン Gmail
・メモ、リスト作成:Google Keep
・ドキュメント、スライド、スプレッドシートの作成と編集:Google ドライブ用アプリ(Google ドキュメント、スプレッドシート、スライド)
・予定の表示、出欠確認:Google カレンダー
・保存した写真の表示と編集:フォトエディタ(組込みアプリ)
・音楽や映画の視聴:メディア プレーヤー(組込みアプリ)

【質問4】ファイルはオンライン(クラウド)で保存する必要がありますか。

 ファイルをChromebook内に保存するか、「Google ドライブ」のようなクラウドベースのファイルストレージサービスを使用してオンラインで保存するかは、ユーザーが選択できます。「Google ドライブ」に保存したデータは、Googleの厳重なセキュリティーで守られたデータセンターに格納されており、Googleの利用規約には、「ユーザーのものは、そのままユーザーが所有します」と明記されています。

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 連載「Googleと教育」は、Googleが教育業界に進出したねらいや背景、これまでとこれからの取組みについて解き明かす全6回。

《編集部》

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