ICT利活用、高等教育機関9割以上「重要」と認識…学修支援など課題

 大学ICT推進協議会(AXIES)は、2015年度調査「高等教育機関におけるICTの利活用に関する調査研究」の結果を公表した。ICT利活用教育は、9割以上が「重要」と認識。ICT環境は、インフラ整備が進む一方、学修支援、学生支援、広報活動にかかわる導入率は低い傾向にあった。

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ICT利活用教育の重要性の認識(機関種別)
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 大学ICT推進協議会(AXIES)は、2015年度調査「高等教育機関におけるICTの利活用に関する調査研究」の結果を公表した。ICT利活用教育は、9割以上が「重要」と認識。ICT環境は、インフラ整備が進む一方、学修支援、学生支援、広報活動にかかわる導入率は低い傾向にあった。

 「高等教育機関におけるICTの利活用に関する調査研究」は、ICT活用教育の現状における特徴を明らかにするため、AXIESのICT利活用調査部会が、全国1,212の高等教育機関(大学、短大、高専)を対象に実施した。有効回答数は792機関、回収率は65.3%。学部研究科は、全4,204機関のうち、1,915機関から回答を得た。

 ICT利活用教育については、大学、短大、高専、学部研究科のいずれの機関も9割以上が「重要である」と回答した。2013年度に実施した前回調査との比較では、いずれの機関も「重要である」という回答が増加し、「重要でない」という回答が減少。特に短大と学部研究科で重要性の認識が増していた。

 大学のLMS(学習管理システム)導入状況は、国立89.9%、公立50.0%、私立63.2%。LMSを用いている科目の割合は平均で、国立14.6%、公立14.8%、私立26.0%。「100%利用している」と回答した大学は、国立1校、公立1校、私立13校の計15校だった。

 ICT環境の導入状況については、「インフラ」「教務管理」「学修支援」「学生支援」「大学広報」という5つのカテゴリに分類して調査を行った。インフラでは、「キャンパス内の無線LAN」は大学が89.34%と高い導入率である一方、短大や高専は8割に満たなかった。「メールシステム」は、短大が82.43%と低いものの、9割以上の高等教育機関が導入していた。

 教務管理では、「シラバスの公開」がいずれの機関も約9割と高い導入率であった。「履修登録システム」は、大学は80.04%の導入率だったが、短大は54.05%、高専は12.96%と低かった。

 学修支援、学生支援、大学広報については、ICT環境の導入が進んでいない現状にあった。このうち、「eポートフォリオ」の導入率は、大学38.0%、短大21.2%、高専7.4%。今後の導入を予定・検討しているとしたのは、大学29.5%、短大24.3%、高専53.7%だった。

 結果報告書では、「ICT環境のインフラはほぼ整えられた一方、学修支援や学生支援、広報活動に関わる環境整備はまだ途上であることが明らかになった。今後はこれらの導入にとどまらず、導入後の利用促進や活用について、運用面も含めて検討する必要があると考えられる」としている。

《奥山直美》

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