ドラえもんと南極・昭和基地60周年をお祝い!国立極地研究所「南極まつり」を満喫

 南極・昭和基地開設60周年を記念し、東京都立川市にある国立極地研究所で「南極まつり」が開催された。南極の氷や隕石の展示をはじめ、南極・昭和基地とのライブ中継、3月からは最新作「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」が公開されるドラえもんもやってきた。

教育イベント 小学生
南極から届いた本物の「南極の氷」
南極から届いた本物の「南極の氷」 全 10 枚 拡大写真
 毎年、日本からの越冬隊が派遣され、調査を行っている南極大陸。2017年は南極・昭和基地開設60周年にあたり、東京都立川市にある国立極地研究所で1月29日、「南極まつり」が開催された。

 会場では、南極の氷や隕石の展示をはじめ、南極・昭和基地とのライブ中継など、普段はなかなか知ることのできない南極のようすや研究を体験できた。さらに、3月4日からは最新作「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」が公開されるということで、南極つながりでドラえもんも会場にやってきた。

◆南極・昭和基地60周年のおまつり

 「南極まつり」が開催された1月29日は、第1次南極地域観測隊が60年前に東南極のオングル島に上陸し、その地域を「昭和基地」と命名したという、記念すべき日。イベントを開催した国立極地研究所は、南極大陸と北極圏にそれぞれ観測基地を設け、総合研究を行っている大学共同利用機関だ。

 今回の「南極まつり」では、南極基地と会場をネット中継してみんなでお祝いをする「ドラえもんと昭和基地の60周年をお祝いしよう!」のほか、研究者によるサイエンスカフェや、展示・体験ブース、「TACHIHI オーロラシアター」の上映会などが行われた。

◆南極の氷は「空気の化石」

 会場で子どもたちの人気を集めていたのは、体験ブースだ。

 そのひとつが、「南極の氷」を実際に触り、お湯にとかす実験を体験できるブース。南極に観測に行った研究者によると、「南極の氷は、普段見ている氷と違い、たくさんの気泡が含まれている。これは水が凍ったのではなく、降った雪がそのまま凍ったもの」。南極の氷を切り出し、含まれている成分を研究することで、その時期の地球がどんな状態にあったのかを推測できる。現在は、なんと72万年前までの大気の成分が解析されているという。

 実際に、コップに入れた南極の氷にお湯を注いでみると、小さいが確かに「ポコポコ……」と独特の音がして、氷がとけていく。そのようすを子どもたちは興味深そうに観察していた。

 その隣には、球型のブロックのようなものが多数机に置かれており、子どもたちが思い思いの形に組み立てていた。これは、分子の構造を形作る模型で、水や氷の構造の違いを、ブロックを組み立てることで体験するというものだ。

 そのほか、サイエンスカフェでは、研究者がわかりやすく極地の科学について解説。テーマは、地球温暖化やオーロラ、南極陸上生物など。こちらは大人に人気で、いずれの回も満席になっていた。

◆昭和基地とライブ中継、観測員になるには?

 今回の目玉イベント「ドラえもんと昭和基地の60周年をお祝いしよう!」では、事前にインターネットで申し込んだ200人の親子が参加。ライブ中継された南極・昭和基地の観測隊員に質問をしたほか、クイズ大会を行った。

 冒頭にはドラえもんも登場し、新作映画「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」などを紹介し、子どもたちから人気を集めていた。

 質問コーナーでは、小学生たちからさまざまな質問が飛び出した。「南極では、どんなものを栽培していますか」という問いに対しては、「特別に許可を得た種で、レタスや二十日大根、もやしなどの葉物をおもに育てています。うまくいけば、トマトやイチゴも栽培できます。今年はキュウリをたくさん収穫できました」との回答があった。

 また、「南極の観測員になりたい」という、南極大好きな小学生に対しては、「越冬隊にはさまざまな職の人が参加しています。自分の得意分野を生かすことが大切。だから、自分の大好きなことを一生懸命やりつつ、得意でないことにも挑戦し、自分の本当にやってみたいことを見つけてください」というアドバイスが送られた。

 最後に、越冬隊の隊長が「南極の基地では、天気や氷、石などを観測しています。その研究を支えてくれるエンジニアやお医者さんなどがいて、いろいろな人が力を合わせることで観測を続けています。ぜひ日本からも応援してください」とまとめた。

◆常時展示施設の「南極・北極科学館」もあり

 国立極地研究所の敷地内には、広報展示施設の「南極・北極科学館」がある。平日(火~金曜日)に公開されている常設展示で、研究の機材の展示やオーロラシアターなどを無料で見学、撮影できる。

 さらに、毎年8月には国立極地研究所を一般公開する「極地研探検」イベントを行っている。通常は公開していない施設を見学できる「探検ツアー」やサイエンスカフェ、体験展示などのプログラムがあり、夏休みの自由研究の題材としてもおすすめだ。

《相川いずみ》

教育ライター/編集者 相川いずみ

「週刊アスキー」編集部を経て、現在は教育ライターとして、ICT活用、プログラミング、中学受験、育児等をテーマに全国の教育現場で取材・執筆を行う。渋谷区で子ども向けプログラミング教室を主宰するほか、区立中学校でファシリテーターを務める。Google 認定教育者 レベル2(2021年~)。著書に『“toio”であそぶ!まなぶ!ロボットプログラミング』がある。

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