東大 さいえんす寿司BARで考えた「今、空と海で起こっていること」

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「第5回さいえんす寿司BAR」マグロにサーモン、珍しいガスエビなど
「第5回さいえんす寿司BAR」マグロにサーモン、珍しいガスエビなど 全 14 枚 拡大写真
 東京大学大気海洋研究所は2月19日、東京大学柏の葉キャンパス駅前サテライトで「第5回さいえんす寿司BAR」を開催した。「今、空と海で起こっていること」をテーマに、子どもから大人まで限定50名が参加した。

 一般者と科学者や研究者をつなぎ、科学の社会的な理解を深めるイベントとしては通常、「サイエンスカフェ」が一般的だが、コーヒーではなく寿司をつまんで語り合おうという「さいえんす寿司BAR」は、同研究所ならではの企画。2017年は「今、空と海で起こっていること」をテーマに、空と海がどのような影響を日常生活にあたえるのか、地球温暖化による海や気候の変化などについて、同研究所の教授陣による講演が行われた。

◆地球温暖化、寿司下駄の上から消えていくネタは?

 最初に、海洋生物資源部門環境動態分野の伊藤進一教授が「地球温暖化と寿司ネタ」という講演を行った。伊藤教授は、世界の水産物の消費量のグラフを用いて、年々世界中で食用利用が増加し続けており、水産物は人類にとってますます重要な食料となっていると説明した。

 地球温暖化が進むと寿司ネタにはどのような影響があるのか、シロザケ適水温の今後の推測図をもとに説明し、人気のサーモンやイクラとなるサケが、水温の上昇の影響で日本へ戻ってこられなくなる可能性を指摘。サーモンやイクラが食べられなくなる日が来るかもしれない、と説いた。

 また、二酸化炭素による影響で海洋酸性化が進むと、炭酸カルシウムの殻を持つ生物への影響が考えられ、エビやホタテなどの貝類や甲殻類も食べられなくなる可能性もあるという。そのほかにも、伊藤教授はサンマの温暖化影響実験や、魚の回遊経路と成長の推定などについての研究結果を説明。私たちが食生活を守るためにできることとして、二酸化炭素を減らすためのエコな生活と、水産生物への感謝をあげた。

◆感謝のお寿司タイムとギター生演奏

 伊藤教授の用意した、甲殻類や魚がなくなり、たまご、かっぱ巻き、穴子だけが残った寿司下駄のスライドを見た直後のお寿司タイム。気候モデリング研究部門 気候システムモデリング研究分野の木本昌秀教授のギター演奏と歌をBGMに、珍しいガスエビやマグロ、ホタテ、サバなどさまざまな水産生物に感謝しながら美味しいお寿司を楽しんだ。

◆気候変動を抑制するためには?異常気象の考え方

 お寿司を食べたあとは、ギタリストの役目を終えた木本教授の講演「異常気象の考え方」。異常気象とは、木本教授によると「出現度数が小さく平常的には現れない現象または状態」のこと。統計的には「30年に1回以下の出現率の現象」だという。「ジェット気流の蛇行~ブロッキング現象」「長期予報」「降水頻度の変化」など気候の変化について説明し、気候変動を抑制するためには、温室効果ガス排出量の持続的な削減が必要であると説いた。

◆子どもから大人まで学べる年に1度の限定イベント

 両親と一緒に来ていた小学3年生の女の子は、サイエンス倶楽部に通っていて科学がとても好きだという。特に最近は環境問題に興味があり、新聞もよく読んでいるので、専門の先生から教えてもらう機会は得られるものが多いとし、「また来年も来たい」と話した。

 子どもから大人まで空と海の恵みを感じられた「第5回さいえんす寿司BAR」は、2018年も開催する予定だ。

◆東大の柏キャンパスではいつもお寿司が食べられる

 会場にはにぎりたてのお寿司と共に、珍しい深海魚「ニュウドウカジカ」「ヨシキリザメ」「ダイオウグソクムシ」「ボウズギンポウ」などが展示され、来場者の目をひいていた。

 この日、限定50名の来場者のためにお寿司をにぎったのは、7年前に大気海洋研究所が中野から柏キャンパスへ移転した際に、一緒に引越してきたという「お魚倶楽部はま」の店主、濱弘泰氏。珍しい魚が上がる沼津港のセリに、東大生を連れて行くこともあるという。

 「お魚倶楽部はま」は柏キャンパスに併設されており、東大関係者以外の一般の方も自由に来店可能。広い空の下に広がる柏キャンパスを散歩し、「お魚倶楽部はま」で海の恵みに感謝しながらお寿司を味わう…。そんな休日の過ごし方もお勧めだ。

《田口さとみ》

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