共通テスト「情報I」導入、教員の8割超が不安…学ぶ環境が不十分

 スプリックスが運営するプログラミング総合研究所は2024年4月4日、「情報I」科目に対する意識調査の結果を発表した。多くの教員が共通テストの「情報I」科目に対して不安に思っていることや、学校現場において、「情報I」を学ぶ環境が十分に整っていないと感じていることが明らかとなった。

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2025年共通テストの「情報I」について不安を感じているか
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 スプリックスが運営するプログラミング総合研究所は2024年4月4日、「情報I」科目に対する意識調査の結果を発表した。多くの教員が共通テストの「情報I」科目に対して不安に思っていることや、学校現場において、「情報I」を学ぶ環境が十分に整っていないと感じていることが明らかとなった。

 「情報I」科目に対する意識調査は、教員の意識や学校現場の状況を把握することを目的に実施したもの。2024年2月20日から3月8日にかけて、全国の教員・学校関係者462名を対象にインターネット調査を実施した。

 2025年共通テスト「情報I」導入について、86.7%が不安に感じていると回答した。不安に思っている理由は「生徒の理解度が共通テストのレベルに追い付いているかがわからない」が53.6%と最多で、「指導時間の不足」50.9%、「生徒の理解度が深まっていない」49.9%と続く。試作問題は公開されているものの、初めての実施を前に、どこまで対策を行えばよいか推し量れないことに不安を感じていることがうかがえる。

 「情報I」を学ぶ環境について、35.2%が十分に整っていないと回答した。特に、生徒が自学に活用できるようなアプリやソフトウェアを導入できていないことや、教員不足により専門免許を持っていない教員が臨時で対応していることなどを理由にあげる回答が多かった。

 共通テスト「情報I」に向け実施している具体的な対策は、「実習形式での授業の実施」が52.2%と半数を超え最多となった。一方で、32.3%が「現状具体的な対策を行えていない」こともわかった。また、今後の対策として導入を希望するものは、「生徒が自学時に活用できるアプリやソフトウェアの導入」57.5%、「授業で活用できるアプリやソフトウェアの導入」55.9%が、それぞれ6割近くにのぼり、座学にとどまらない実践形式の学びを実現するコンテンツを活用したいと思っている教員が多くいることもわかった。「全国基準でレベルを測れるテスト」も4割超が希望している。

 地域別にみると、共通テスト「情報I」を不安に思っている割合がもっとも多かったのは北関東エリア(茨城・栃木・群馬)の93.6%で、ついで中国エリア(鳥取、島根、岡山、広島、山口)の90.3%、首都圏エリア(東京・神奈川・千葉・埼玉)の89.4%と続く。一方で、もっとも低い割合である四国エリア(徳島、香川、愛媛、高知)についても約8割が不安に思っていると回答していることから、全体的にみて学校現場では「情報I」の対策について試行錯誤が続いていることがうかがえる。

 また、「情報Iを学ぶ環境が整っていない」と回答した割合が半数以上の約6割にのぼったのは北関東エリアのみということが明らかになった。

《中川和佳》

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