国内eラーニング市場、24年度3,693億5千万円予測…矢野経済研究所

 矢野経済研究所は2024年4月11日、国内eラーニング市場に関する調査結果を公表した。2023年度は、BtoB市場は堅調に推移したものの、BtoC市場が前年度割れ。2024年度は前年度比0.1%増の3,693億5,000万円と予測した。

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eラーニング市場規模推移・予測(矢野経済研究所調べ)
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 矢野経済研究所は2024年4月11日、国内eラーニング市場に関する調査結果を公表した。2023年度は、BtoB市場は堅調に推移したものの、BtoC市場が前年度割れ。2024年度は前年度比0.1%増の3,693億5,000万円と予測した。

 調査は2024年1月~3月、eラーニングのシステム開発・構築・販売事業者やコンテンツ開発・製作・販売事業者などを対象に、専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・FAX・メールによるヒアリング調査、文献調査併用で実施した。

 2023年度の国内eラーニング市場規模は、提供事業者売上高ベースで前年度比0.9%減の3,690億円。このうち、法人向け(企業・団体内個人を含む)のBtoB市場は、前年度比6.0%増の1,140億円と堅調に推移。一方、個人向けのBtoC市場は、前年度比3.8%減の2,550億円と前年度割れし、全体市場としてはマイナス成長での推移となった。

 BtoB市場は、コロナ禍で生じたeラーニングの特需は落ち着きがみられるものの、企業のDX推進、リスキリングへの対応としてeラーニングを志向する需要は高まる環境にあり、企業研修におけるeラーニングの利用は堅調な状況を維持している。

 BtoC市場は、学習手段としてのeラーニングは一般化が進み、サービスの多様化が進行する環境にある。しかし、2023年度は学習塾・予備校の生徒数や通信教育の受講者数に伸び悩みがみられ、学習塾・予備校や通信教育で用いられるeラーニングサービスが停滞傾向で推移したことが影響した。

 「ChatGPT」の公開以降、eラーニングの領域でも生成AIを実装したサービスの開発・リリースに加速化がみられる。テストや教材、用語の説明文の作成、英文生成による英単語の暗記学習など、さまざまな用途で活用が進むが、提供している事業者の多くが活用方法を模索している段階にある。また、著作権や競合との差別化、顧客企業がeラーニング事業者に頼らず、eラーニングによる社員研修などを行いやすくなるなど、多くの懸念も指摘されている。

 前年度の調査を踏まえ、矢野経済研究所は、2024年度の国内eラーニング市場規模を前年度比0.1%増の3,693億5,000万円と予測。

 BtoB市場は、堅調な需要を維持し推移するが、顧客単価の下落進行や競合状況の激化、学習塾・予備校業界の不振などを受けて市場成長率は鈍化傾向に進むと予想。BtoC市場は、学習塾・予備校のデジタルを活用した学習サービスで、学習者数の伸び悩みを想定し、減少基調の推移を予測する一方で、資格取得などの学習の増加や、海外出張・旅行機会などの回復を受けて、英語学習関連のeラーニングの需要は堅調に推移するものと見込んでいる。

 調査データの出典資料は、2024年3月25日発刊「2024 eラーニング/デジタル教育ビジネスレポート」19万8,000円(税込)。矢野経済研究所のWebサイトでは、オリジナル情報を掲載したショートレポート「2024 eラーニング/デジタル教育ビジネスレポート」1,100円(税込)も購入できる。

《川端珠紀》

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