日本の15歳の読書習慣、OECD平均を下回る…読解力にも影響

 経済協力開発機構(OECD)が実施したPISA調査によると、読書を楽しむ日本人学生の割合がOECD平均を下回った。読書習慣がある生徒は、読書をしない生徒に比べ文章読解力が高い傾向にあることから、読書を楽しむ機会を増やす必要性があるという。

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OECD、楽しみとして読書をする学生の割合、2000年〜2009年(英語)
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 経済協力開発機構(OECD)が実施したPISA調査によると、読書を楽しむ日本人学生の割合がOECD平均を下回った。読書の習慣がある生徒は、読書をしない生徒に比べ文章読解力が高い傾向にあることから、読書を楽しむ機会を増やす必要性があるという。

 PISA調査では、OECD加盟国の15歳を対象に、学生が好んで読書をする習慣があるかを調べた。調査結果によると、加盟国における対象学生の37.4%が勉強以外では読書をしないと答え、日本では44.2%とOECDの平均以上だった。楽しみとして読書をすると答えた国内学生の中でも、1日30分以内の短時間に限られた読書が25.4%で、約7割が1日30分以上の読書をしていない結果となった。

 一方で、勉強とは関係なく読書を行うと答えた生徒が45%たった2000年に比べると、2009年の割合は56%まで増加。日本は加盟国の中で増加傾向にある数少ない国のひとつだが、OECD平均と比較すると割合は低いという。

 学生が読書に費やす時間が注目される理由のひとつは、読書を行う時間が文章の読解力に関係しているからである。PISAの学習到達度調査結果を踏まえ、読解力不足を文部科学省が問題視していることを考慮すると、読書に費やす時間が少ないことも理由のひとつかもしれない。

 ただ、OECDが定義する「読書」には、新聞、ノンフィクション、フィクション、漫画・コミック、雑誌といったジャンルが含まれる。ジャンル別OECD平均を見ると、フィクションを読む学生は読解力が高く、非読者に比べ53ポイント高い成績を収めたという。日本でも、フィクションを読む学生は約50ポイント高い読解力があるとされている。ノンフィクション、新聞、雑誌を読む学生も同様で、非読者に比べると高い読解力があるという結果だった。

 その一方で、漫画・コミック読者のOECD平均成績は、非読者の平均を下回る。数値だけで見ると、漫画やコミックを読むと読解力が下がるという結果だが、読書が生徒の読解力に与える影響は、国により大きく異なっているのも見逃せない。たとえば、フィクションを読む生徒が非読者に比べ成績が悪かったメキシコや、漫画・コミックの読者の方が成績が良かったベルギー、ノルウェー、イタリアなど、OECD平均とはかけ離れた調査結果が出た国も多いのが現状だ。

 日本においては、漫画・コミックを読む学生の読解力が非読者に比べ高かった反面、雑誌を読む学生の読解力は非読者を下回った。「漫画・コミック」「雑誌」という定義の問題もあるが、総合的には読書の習慣がある学生に比べ、習慣のない学生の方が読解力が低いのが現状。

 学校、部活、塾に忙しい15歳には、読書に費やす時間が限られているのも現状だが、読解力がOECD平均に及ばないのは、問題視すべきだろう。「楽しむ読書」が読解力につながることが明らかになった今、読書を楽しむ学生が増えてくれることを願う。

《湯浅大資》

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