優秀賞は地域活性化と計算プリントの自動生成…MS教職員ICT活用実践コンテスト
「マイクロソフト教職員ICT活用実践コンテスト」の表彰式が7月29日、日本マイクロソフトの品川本社にて開催された。表彰式には、優秀賞に選ばれた2校と、奨励賞に選ばれた4校のうち3校の先生方が出席した。
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優秀賞のひとつは、大阪市立東都島小学校による「こんな都島区にしたいねん(都島区の活性化に向けて)」だ。この事例は、キャリア教育の一環として、地域の課題を児童たちと話し合った中で、防犯対策を練ったり、ICTを活かして地元の名物商品を開発したりといったものだ。
もうひとつの優秀賞は、福岡県大任町立大任中学校の「スパイラル計算学習コンテンツの開発・活用」である。こちらは、Excelを活用し、生徒ごとに、過去問題をベースに自動的に計算プリントを作成するというもの。単にプリントを自動生成するだけではつまらないということで、問題を解くと先生からのメッセージが解読できるという「メッセージ計算プリント」といった機能も工夫されている。
奨励賞の「PowerPoint + VBA(テキストボックス)+ コードによる情報の共有化」(京都市立下京中学校)は、PowerPointのスライド教材に、Excelのマクロによって数式を入力するとグラフを自動作成してくれる機能を組み込み、それを先生同士で共有するしくみも考えたものだ。
同じく奨励賞「Microsoft Excelで算数ドリルを作ろう他」(愛知県新城市立千郷中学校)は、過去11年にわたる地域の先生方のExcel教材をまとめた算数ドリルと、算数、国語、社会のフラッシュカードコンテンツである。反復練習にICTをうまく活用した事例だ。
「人と人とのつながりを大事にしたICTの活用 ~ PowerPointを活用して手話を楽しく、主体的に学ぶ ~」(大阪府立生野聴覚支援学校小学部)の、聴覚障害をもつ児童向けに作成された、映像コンテンツを埋め込んだPowerPoint教材も奨励賞を受賞した。このコンテンツでは、下水処理場の紹介ビデオを、実際の職員が、ボランティアで覚えた手話を使って下水処理場の紹介を行っている。この取組みが評価され、全国の聴覚障害支援学校に配布されている。
受賞コンテンツの紹介の後、審査員を代表して、奈良教育大学 大学院教育学研究科 小柳和喜雄教授が、受賞校の選定ポイントなどについて説明と講評を行った。小柳教授は、21世紀に子どもに求められる能力として、協同・協働して取り組む力、熟達したコミュニケーション力、自律的・自己管理能力、知識構成できる力、学習のためにメディアを選択し、それを活用できる力、現実世界の問題解決と革新へ挑む力の6つをあげた。
そのうえで、優秀賞2件と奨励賞4件は、それぞれどのポイントが評価され受賞につながったかを図によって説明した。たとえば、優秀賞の「こんな都島区にしたいねん~」では、現実世界の問題解決と革新へ挑む力をはじめ、メディアを活かす力、協働する力などが特にポイントとなり、「スパイラル計算学習~」では自律的・自己管理能力とメディアを活かす力が高いと評価されたという。
表彰式終了後、小柳教授に今回のコンテストについての感想を聞いてみたところ、今回の選定は難しかったとし、「学力をつける、さまざまな学校で実践しているという点で、PCベースの取組みが多くなったが、今後は「現実世界の問題解決」の部分でフィールドに自由に持ち出せ、カメラや録音も1台で可能なタブレットが教育に果たす役割はもっと大きくなるはずです。」と語ってくれた。
優秀賞を受賞した東都島小学校の藤本白織先生は、「名産品の開発には地元の企業にも協力してもらいました。受賞は非常に嬉しいです。」、平安山英郁先生は、「子どもたちに、よくやってくれたと言いたいです。」と喜びを語った。
また、大任中学校の森孝太郎先生は、「まさか受賞できるとは思っていませんでした。プリントの自動生成は先生たちには評判がよいのですが、子どもにとっては、ただのプリントと同じでつまらないものだったので、モチベーションを高めてもらう意味でメッセージプリント機能を考えました。」と自身の驚きとともに、先生だけでなく、子どもへの配慮が評価につながったのではないかとのコメントだった。
優秀賞に選ばれた大阪市立東都島小学校と福岡県大任町立大任中学校の2校は、2014年にスペイン バルセロナで開催されるMicrosoft Partners in Learning Global大会に招待される。
※お詫びと訂正:初出時、大阪府立生野聴覚支援学校小学部の実践内容に誤りがありました。正しくは「下水処理場」です。お詫びして訂正いたします。
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