奨学金の延滞者、8割が年収300万円未満…不安定雇用と低所得

 日本学生支援機構による奨学金の延滞者は、8割が年収300万円未満であることが3月27日、同機構の調査結果より明らかになった。常勤職員は4割に満たない一方、非常勤や無職などの比率が高く、不安定な雇用や低所得が奨学金延滞の背景にある実態が浮き彫りとなっている。

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 日本学生支援機構による奨学金の延滞者は、8割が年収300万円未満であることが3月27日、同機構の調査結果より明らかになった。常勤職員は4割に満たない一方、非常勤や無職などの比率が高く、不安定な雇用や低所得が奨学金延滞の背景にある実態が浮き彫りとなっている。

 平成25年度末現在、同機構奨学金の返還を要する貸与者は342万4,000人。このうち、返還している者は309万人、1日以上の延滞者は33万4,000人、3か月以上の延滞者は18万7,000人となっている。

 今回公表されたのは、「平成25年度奨学金の延滞者に関する属性調査」。平成25年10月末において、奨学金返還を3か月以上延滞している者を「延滞者」、奨学金返還を延滞していない者を「無延滞者」として、無作為に抽出して調査した。

 本人の職業は、無延滞者では「常勤社(職)員」が67.9%にのぼったのに対し、延滞者では「常勤社(職)員」は36.2%にとどまった。「非常勤社(職)員」(14.7%)、「任期付常勤社(職)員」(8.4%)、「派遣社員」(6.6%)、「無職・失業中/休職中」(15.8%)の比率はいずれも無延滞者より高かった。

 本人の年収では、延滞者の8割が「300万円未満」であった。延滞者全体では、「100~200万円未満」が24.0%ともっとも多く、「200~300万円未満」21.8%、「1~100万円未満」19.3%、「0円」15.1%と続いた。

 延滞が始まった理由は、「家計の収入が減った」が最多で72.9%にのぼった。滞納が継続している理由では、「本人の低所得」が51.1%ともっとも多かったほか、「奨学金の延滞額の増加」も29.9%あった。

 同機構の奨学金に対する延滞者の意識では、80.9%が「現在、奨学金の返還が負担になっている」と回答。「給付型の奨学金が必要である」という回答も62.3%にのぼった。

 一方、返還期限の猶予制度に対する認知度は、延滞者と無延滞者で差がなく、いずれの層でも「知らなかった」が過半数を占めた。

《奥山直美》

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