色をつくる!草木染めの研究
かかる時間:1日 難易度:★
草木染めとは、植物を使って布を染めること。どんな植物からどんな色を染めることができるだろうか。花の色や媒染剤によって染まり方がどのようにちがうか、調べてみよう。
用意するもの
黄色や赤色の花 綿と化学繊維(ナイロンなど)の布 焼きミョウバン ボウル なべ 菜ばし 不織布のごみ袋(三角コーナー用) 輪ゴム 計量スプーン
実験の手順 1
染色液を作って、布を染める
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黄色の花はヒマワリやオオアワダチソウなどでもいいよ。花屋さんでいろいろな花を探してみよう。鉢植えでもOK。
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1mL=1ccだよ。ステンレスかホーローのなべでないと正しい結果が出ないよ。
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染めるときは、はしでかき混ぜないと、むらになることがあるよ。
実験の手順 2
媒染剤を使って、色がどのように変化するか調べる
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焼きミョウバンは、スーパーなどで漬け物用として売られているよ。
焼きミョウバンを加えてから沸騰させると、うまく染まらなくなるよ。
実験の注意とポイント
●染色液をつくったり、布を染めるときにやけどをしないように注意しよう。
●なべに色が残ることがあるので、おうちの人に断ってからなべを使うようにしよう。
●花の種類によっては、黄色の花でも染まりにくいものもあるよ。
●どの布が何の実験の結果かわからなくならないように、布のはしに油性のサインペンで印をつけておくと便利だよ。また、実験の過程を撮影しておくと、あとでまとめやすいよ。
今回の実験では、花を使って染めましたが、ヨモギなどの草、なすや玉ねぎなどの野菜の皮、ブルーベリージャムなど、さまざまなもので染めることができます。いろいろ試してみると、楽しいですよ。
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サイエンスセミナー
草木染めで布が染まるのは、ふくまれている色素のため
草木染めに使う植物には色素がふくまれています。色素には、ニンジン、トマトなどにふくまれ、ダイダイ・赤色などを示すカロチノイド、玉ねぎの皮やミカン類の皮などにふくまれ、黄色を示すフラボノイド、野菜などの緑色のもとになるクロロフィル、なすの皮などにふくまれるアントシアニンなど、さまざまなものがあります。
赤系のカロチノイドは水にとけにくく、今回の実験のように煮出して使うことはできません。そのため、赤色の花でうまく染まらなかったのです。赤い花に酢水を加えてよくもみ出すと、色素が抽出でき、下の写真のように染めることができます。
クロロフィルは酸性の液では黄褐色、アルカリ性の液では鮮やかな緑色になります。アントシアニンも酸性で赤色、アルカリ性では青、緑、褐色などを示します。色素の性質を利用すると、水溶液の酸性・アルカリ性を調べることもできるのですね。
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媒染剤ってどんなもの?
染色液に布をつけると色がつくけれど、これは布の表面に色素がくっついているだけです。特に植物の色素は繊維の中になかなか入りません。ですから、洗うと色が落ちてしまうことがあります。
そこで、色素を染めるものにしっかりつけるはたらきをするのが媒染剤なのです。媒染剤には色止め効果のほかに、化学反応による発色効果があります。
媒染剤には、下の表1のように、ミョウバン(アルミニウム)や硫酸第一鉄などの水溶性の金属化合物が多く利用されます。色素と化学反応を起こすので、同じ染色液を使っても、ちがう色に染まります。また、下の表2のように、材料によって適する媒染剤がちがいます。
今回の実験で使用した焼きミョウバンは、硫酸アルミニウムに硫酸カリウム水溶液を混ぜてつくられたものを加熱して水分を除いたものです。水にとけにくいので、熱湯に入れるか、加熱してとかしますが、沸騰させると変質します。
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発展研究
媒染剤による染まり方のちがいを調べる実験
媒染剤にはミョウバン以外にもいろいろなものがあります。染まり方にどのようなちがいがあるか調べてみましょう。
準備
黄色の花、布、さびた鉄くぎ、酢、消石灰
実験
1)さびた鉄くぎに酢250mLと水500mLを加え、分量が半分になるまで煮る。あら熱が取れたら、口の広いびんなどに入れ、1週間置き、鉄媒染剤をつくる。
2)先に行った実験の手順1と同じように、黄色の花で染色液をつくる。それを2つに分け、一方には鉄媒染剤、一方には消石灰小さじ1ぱいをそれぞれ加える。鉄媒染剤を加えた染色液に布を入れ、弱火で3分間加熱。消石灰を加えた染色液に布を入れ、そのまま置く。
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結果
鉄媒染剤を加えると、染色液が黒っぽい色になり、布もうすい褐色に染まった。消石灰では染色液の色がうすくなり、布がほとんど染まらなかった。
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ワンポイント
●さびた鉄くぎと酢水でつくったのは酢酸鉄水溶液。鉄を媒染剤に使うと、暗くてしぶい色に染まる。
●染色液によって染まりにくい媒染剤もある。石灰はあずき染めなどに適している。石灰を加えてから加熱すると布をいためるので、加熱しないこと。
素材による染まり方のちがいを調べる実験
繊維の素材によって、染まり方がどのようにちがうかを調べてみましょう。
準備
黄色の花、中細~極細の編み糸(綿、毛、絹、アクリル)、焼きミョウバン
実験
1)先に行った実験の手順1と同じように、染色液をつくる。
2)4種類の糸をそれぞれ30cm定規に5回巻きつけ、二つ折りにしてから結ぶ。
3)実験の手順1と同じように染める。
4)焼きミョウバンを加え、実験の手順1と同じように染める。
結果
染色液だけだと、次の上の写真のように、綿・毛は少ししか染まらなかったが、媒染剤を使うと下の写真のように鮮やかに染まった。絹は染色剤だけでもある程度染まったが、媒染剤でより鮮やかになった。
アクリルは染色液だけでは染まらず、媒染剤を使っても染まらなかった。
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ワンポイント
●一般に動物性の繊維は染まりやすく、植物性の繊維は染まりにくいといわれている。動物性の繊維の主な成分はたんぱく質で、染色液で煮ることで、色素と結びつきやすい。
●化学繊維のうち、ナイロンは絹と同じくらい染まりやすいが、レーヨン、ポリエステルは綿と同じくらい染まる。アクリルはほとんど染まらない。
*写真は、すべて(c)バンティアン
<内容>
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