【年頭所感】教育業界のキーマンに聞く2019年(2)

 教育業界の未来をキーマンはどのように見据えているのか。これからの教育を率いていかれるであろう方々に、2019年の年頭所感をお寄せいただきました。

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【年頭所感】教育業界のキーマンに聞く2019年(2)
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 2018年は、来たる2年後の新学習指導要領施行に向けて、英語教育、EdTech分野を中心に大きな動きのある1年となりました。かつての「教育」の枠組みにとらわれず、隣接領域、さらには遠隔領域とも結びついた多くの取組みが生まれたことにより、新しい教育の形が具現化しつつあるのではないでしょうか。

 そんな教育業界の未来を、業界のキーマンはどのように見据えているのか。教育関連企業の代表者さま、ご有識者の方をはじめ、これからの教育を率いていかれるであろう方々に、2019年の年頭所感をお寄せいただきました(掲載は、ご所属の組織五十音順)。

 年の瀬のお忙しい時期にも関わらずご回答いただいた皆さま、ご調整いただきました広報担当の皆さま、誠にありがとうございました。リセマム編集部一同、この場を借りて、改めて厚く御礼申し上げます。

開成教育グループ



学院長・永井博氏
 いよいよ平成最後の新年を迎える事となりましたが、40年間続いたマークシート方式による「大学入試センター試験」も来年で最後となります。その後は「思考力・判断力・表現力」、さらには「主体性・多様性・協働性」も試されるわけですが、これらの力は大学に入るために、というよりも卒業後、実社会で必要になる力だともいえるでしょう。
 当グループでは集団指導ではもちろんのこと、ともすれば学習上の弱点克服に終始しがちになる個別指導においても、各学年向けの合宿を年に数回実施し、教科指導と併せて、共に学ぶ仲間との共感を通じて、主体的に学ぶ姿勢の育成を続けてきました。
 また、思考力・表現力を養成するための「読解・作文力検定」・「作文添削教室」といったサービスを提供し、早い時期からまとまった分量の記述力を養成しています。
 大学入試改革を先取りするかのように、中学校入試でも思考力型や科目横断型の入試が増えてきました。「大阪市立咲くやこの花中学校」の入試は、科目横断型で記述表現力が要求される「適性検査」ですが、2018年度入試では80名募集のうち、当グループから50名が合格するなど、成果は数値となって表れています。
 従来の知識偏重の教科学習だけでは通用しない入試への準備はもちろん、新指導要領や新たな大学入試にも対応し、世界で活躍する人材育成の一助となれるよう、当グループ一丸となって取り組んでいきたいと思います。
https://www.kaisei-group.co.jp/


SAPIX YOZEMI GROUP



共同代表(学校法人髙宮学園代々木ゼミナール 副理事長)・髙宮敏郎氏
 SAPIX YOZEMI GROUPにとって、2019年はいくつかの節目の年となります。1957年に創立され、一昨年、60周年を迎えた代々木ゼミナールでは、1989年に衛星通信を利用したサテラインゼミをスタートして30年となります。近年、教育(Education)と情報技術(Technology)の融合が叫ばれていますが、授業配信の先駆者としてITの活用による更なる進化を追い求めたいと思います。
 同じく1989年に創立されたのが、首都圏・関西圏に教室を展開する中学・高校受験のSAPIXです。こちらは討論型の授業が特徴で、難関校を中心に合格実績を伸ばしてきました。新年はSAPIX創立30周年であると同時に、代々木ゼミナールとのグループ化が始まって10年でもあります。
 平成という時代は、我々にとって、技術進歩とface-to-faceの授業に象徴される30年間でした。新しい時代になっても、それぞれの強みを生かすとともに、グループのシナジーを発揮できるよう、2009年に帰幽した代ゼミ創業者・高宮行男が掲げた「日日是決戦」「親身の指導」という建学の精神を体現してまいります。高大接続改革への対応、英語4技能の育成、リーディングスキルテストの開発等の新しい取り組みに是非ご期待下さい。
https://sapix-yozemi.com/


自分未来きょういく株式会社



代表取締役社長・小野誉之氏
 新年あけましておめでとうございます。
 2020年度以降本格化する学校教育及び大学入試における大規模な改革を前に、学習塾業界は今年、大きな変化の年となることと思います。
 今回の改革は、これからの時代を生きる子どもたちに、「自分で主体的に考え、行動に移していく力」を養い、「世界で活躍できる人材」を育成することを目的としています。
 学校ではアクティブラーニングが取り入れられ、「主体的・対話的」に学ぶことが重視されます。そして知識だけではなく、思考力や表現力などが問われるようになります。
このような変化の中、どう勉強に取り組んだらよいのか、戸惑う子どもたちが多くなることが予想されます。
 それを解決するためには、まずは一人ひとりにしっかりと向き合い、目標、性格、知識力、表現力、思考力・・・いろいろな角度からお子様を見つめることが必要不可欠だと考えます。
 当塾では創業以来、お子様の成長には「個別指導」でなければ成せないものがあると考え、個別指導スタイルを貫いてまいりました。個別指導ならではのきめ細やかさ、そして、時代の流れを的確かつスピーディに捉えたサービスを提供することで、お子様の成長をサポートし、保護者様の期待に応えて参りたいと思います。
 本年も何卒、よろしくお願い申し上げます。
https://www.jibunmirai.co.jp/


株式会社湘南ゼミナール



代表取締役社長・福村賢一氏
 あけましておめでとうございます。
 本年は、新しい時代を迎える年であります。不確実性がさらに高まり、これまでの延長線上に置くことのできない新時代を生きる子どもたちにとって、どのような教育を受けるかは、自身の将来を大きく変えうる極めて重大な問題であると思います。教育が果たす役割は、ますます重要となると考えます。当社は、教育の力で100年後のイキイキした未来を創る「教育百年を創造する」企業として、未来に繋がる新しい教育を子どもたちに届けていきます。新しい時代において、学びはAIの力を借りた個別最適化の方向に進んでいきます。しかし、AIがいかに進歩したとしても、人の「心」の成長において、人が果たす役割の重要性が下がることはないと思います。当社は、教育を担う企業として、人の意欲がとことん高まる空間創りを追求し続けています。なぜ学ぶのか? 知識をひたすら多く積み上げてきたこれまでの学習から、課題を解決していくために必要な能力を主体的に高める方向に、学びは変わっていきます。良き支援者として、人(先生)に新たな役割が生まれます。人の力によって子どもたちの意欲を高め、自ら主体的に学ぶことにより、「勉強」はイキイキとした「学び」に変わります。当社は、来る新しい時代において、主体的に課題を解決する力を持った子どもたちを、一人でも多く育んでいくことに邁進してまいります。本年もよろしくお願いいたします。
https://www.shozemi.com/


公益社団法人全国学習塾協会



会長・安藤大作氏
 教育は、そもそも「利他の心」でなされるものだと思います。つまり対象者がよりよく生きていくことを思い念じて、施すものだということです。
 2019年はますますその「利他の心」が問われる年になりそうです。混迷を深める現代、国の未来が描けないということは、子供たち自身も自らの未来を描きにくいということでもあります。それでも人には、とりわけ子供にはたくましく強く、知恵を総動員して自らの未来を描いていく力が内在しています。
 その力を育む役割こそ、今後の教育の本質と定義づけられていくのではないでしょうか?それはこれまでの教育の役割とは変容してきていますから、教育を施す枠組みも今後変わらざるを得ないことを意味します。
 学校の役割、入試の役割、塾や習い事など民間教育の役割、カリキュラムの役割、指導要領の役割、先生の役割・・・そういったことの変容が迫られてきており、その変容の中において変わらざる中心点が「未来に生きる子供たちの幸せを思う利他の心」になりましょう。過去を守るのでも、既得権益を守るのでもなく、未来を守るために、教育に携わる者の矜持が問われるように思うのです。
 2019年は時代がさらに動くでしょう。その時に自然なる変容を果たせるためにも、教育の目的と思い、という動かない中心点だけは強く意識して、堂々と新年も歩いていきたいと思います。
https://www.jja.or.jp/


株式会社中萬学院



代表取締役社長・中萬隆信氏
 子どもたちは、IoTやAIが急速に進化する「Society 5.0」社会で自立して生きる力をつけなければなりません。学習指導要領等にうたわれる「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性」は、その土台となる力であるとともに、成績向上・志望校合格に不可欠な力でもあります。私たちは中学・高校・大学受験、個別指導、外国語教育の5つの事業部制を採っています。例えば昨年導入したICT活用の英語指導をさらに充実させるなどそれぞれの専門性をなお一層高め、保護者の皆さまに「期待以上の成果」を実感していただけるよう、努めてまいります。
 しかし、子どもたちにはもう一つ大切な力を身につけてほしい。それは成績向上や志望校合格という短期ではない、長期的な教育成果です。技術革新はまさに日進月歩。知識やスキルのたゆまぬ刷新が求められます。ですから子どもたちはいつの時代にあっても「学び続ける」ことが必要です。「学び続ける力」をすべての子どもたちに。それには「学ぶ楽しさ」を実感できること、「学ぶ意義」を見出すことが不可欠です。日々の指導と非日常のさまざまな体験機会提供を通し、「学び続ける力」の土台を涵養していきます。
 創業以来「人創り支援」を掲げ65周年を迎えようとしています。保護者の期待する短期的教育成果と次代に求められる長期的教育成果、この2つへのあくなき挑戦こそが私たちの「人創り支援」です。
https://www.chuman.co.jp/


株式会社東京個別指導学院



執行役員 教育事業本部長・中山隆英氏
 教育業界にとって2019年は、「2020年教育制度改革」に向けた大切な1年になります。すでに学校教育や入試制度の変更は始まっており、お子さまに求められる力や学習塾に課せられる役割も少しずつ変化してきました。
 お子さまが時代に沿った学力を適切に身につけていけるよう、支えるご家族のみなさまが迷わずに歩みを進めていけるよう、東京個別指導学院は、アダプティブラーニング・英語4技能対策・アクティブラーニングといった新たな指導ノウハウを取り入れ、「1人ひとり」に合った個別指導にさらに磨きをかけてまいります。
 変わりゆく時代や教育制度の中にあっても、変わらないのが「人の価値」です。お子さま1人ひとりに合ったベストパートナーをお選びいただける当学院の講師陣は、多くの志望者の中から選抜され、研修を積み重ねています。お子さまを課題解決・目標達成に導くべく指導力に磨きをかけ、全国247の教室でみなさまをお待ちしております。
 技術革新目覚ましい社会の中で、お子さまが主体的に積極的に生き抜いていけるように、東京個別指導学院は「人の価値」を大切にして、本年もお子さまの未来に貢献してまいります。
http://www.kobetsu.co.jp/

《編集部》

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