読書量が30年前と比べて半減…小学生白書

 学研教育総合研究所は2019年11月20日、小学生白書Web版・1989年調査を公開した。1か月の読書冊数は、1989年が平均9.1冊だったのに対し、2018年が平均5.0冊と、30年前と比べて読書量が約半分に減っていることが明らかになった。

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1か月の読書量(1989年調査)
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 学研教育総合研究所は2019年11月20日、小学生白書Web版・1989年調査を公開した。1か月の読書冊数は、1989年が平均9.1冊だったのに対し、2018年が平均5.0冊と、30年前と比べて読書量が約半分に減っていることが明らかになった。特に小学4年生で1989年が平均12.9冊、2018年が4.9冊と差が大きい。

 白書シリーズは、1946年から「学習」、1957年から「学習」と「科学」のはがきによる読者アンケート調査「小学生白書」の後継として、学研教育総合研究所が2010年から実施しているインターネット調査をまとめたもの。

 1989年調査(平成元年)は、学習研究社(現:学研ホールディングス)が発行していた月刊「1~6年の学習」に毎号綴じ込まれていた読者はがきによるアンケート調査。1989年に毎月読者から返送されたはがきの中から、小学1~6年生各学年・男女300人ずつの回答を無作為に抽出して集計した。

 2018年調査(平成30年)は、日本全国の小学生(1~6年生)の子どもをもつ保護者を約377万人のモニター母集団から抽出し、保護者付き添いのもとで、小学生本人が回答するように依頼した。1~6年生各学年で男子100人と女子100人ずつとその保護者(計1,200組)の回答が集まったところで調査を終了した。調査時期は2018年9月6日~9月11日。

 読書量について、1989年調査時は1か月に平均9.1冊、男子が平均8.7冊、女子が平均9.4冊。学年別に見ると、小学3年生以上は1か月に平均10冊以上読んでおり、特に小学4年生女子の平均13.8冊、小学4年生男子の平均12.0冊が多かった。1989年は、学習指導要領の改訂や新学力観、大学入試センター試験導入などの影響を受けて中学受験者数が大きく増加した時期だった。

 一方、2018年調査時は1か月に平均5.0冊、男子が3.7冊、女子が6.3冊と女子のほうが多い。特に「10冊以上」読んでいる割合は、女子が男子を11ポイント上回っている。学年別に見ると、学年が上がるにつれて読書冊数は減少傾向にある。高学年は受験や習い事、授業の長時間化など、読書の時間が取りづらい可能性が考えられる。

 好きな教科と嫌いな教科について、1989年調査時の好きな教科(複数回答)は、1位「体育」76.2%、2位「図工」70.6%、3位「理科」63.6%、4位「音楽」61.6%、5位「算数」58.8%、6位「道徳」53.5%、7位「社会」49.8%、8位「国語」49.0%。男女共に、知識習得型の教科よりも、「体育」と「図工」のような、体を動かしたり、自らの感性を形として表現したりする教科が7割を超えた

 1989年調査時の嫌いな教科(複数回答)は、1位「国語」36.4%、2位「社会」34.3%、3位「算数」31.4%、4位「道徳」27.3%、5位「音楽」24.7%、6位「理科」21.1%、7位「図工」17.2%、8位「体育」13.6%。ほぼ「好きな教科」の順位を逆にした結果となった。

 2018年調査時の好きな教科は、1位「算数」23.8%、2位「国語」「図工」同率13.7%、4位「体育」12.3%、5位「理科」8.8%、6位「音楽」7.0%、7位「社会」4.3%、8位「外国語活動(英語)」3.5%などが続いた。また、10.4%の小学生は「好きな教科はない」と回答した。

 2018年調査時の嫌いな教科は、1位「算数」24.2%、2位「国語」21.5%、3位「体育」6.8%、4位「理科」3.8%、5位「社会」3.5%、6位「音楽」3.3%、7位「外国語活動(英語)」2.4%、8位「図工」2.1%など。6年連続で好きな教科・嫌いな教科共に「算数」が1位となった。学年が上がるにつれて嫌いな教科が増えていく傾向は、1989年も2018年も同様にみられた

《工藤めぐみ》

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