都立高校、2021年より発達障害のある生徒向け通級指導開始

 東京都教育委員会は、2021年度からどの都立高校に進学しても発達障害等のある生徒が特別な指導を受けられる環境を整備し、発達障害教育の充実を図ると発表した。都内公立小・中学校の特別支援教室で行なっている「通級による指導」を都立高校でも開始する。

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都立高校における発達障害教育の充実について
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 東京都教育委員会は、2021年度(令和3年度)からどの都立高校に進学しても発達障害等のある生徒が特別な指導を受けられる環境を整備し、発達障害教育の充実を図ると発表した。都内公立小・中学校の特別支援教室で行なっている「通級による指導」を都立高校でも開始する。

 発達障害教育の充実は、「東京都特別支援教育推進計画(第二期)・第一次実施計画」および「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)」に基づき実施されるもの。対象となる生徒は、都立高校または都立中等教育学校後期課程に在籍する生徒で、知的障害がなく発達障害など(自閉症、情緒障害、学習障害、注意欠陥多動性障害)があり、通常の授業におおむね参加でき、一部障害に応じた特別な指導を必要とする生徒。生徒本人と保護者が通級による指導を希望し、学校および都教育委員会に指導が必要であると認められた場合に、高校における「通級による指導」が受けられるようになる。

 「通級による指導」では、将来の自立や社会参加を目指し、「コミュニケーション」「感情のコントロール」「自己理解」などが苦手な生徒に対し、その実態に応じて指導を行う。たとえば、クラスメイトに自分の思っていることを上手に伝えられない生徒に対しては、気持ちの伝え方や自分に合った表現の方法を身に付けられるようにする。各生徒の実態や障害に応じて、一部の時間、通常の授業とは別に特別な指導を受けることができるようになる。

 指導は在籍校の先生と専門的な知識やノウハウ、発達障害のある生徒への指導経験のある支援員が、ティームティーチング形式で実施。あくまで障害による学習上または生活上の困難を改善・克服することを目的とした指導であり、教科の補習といった学習の遅れを取り戻すことを目的とした指導は行わない。

 各学校で通級による指導の目標を定め、十分にその目標が達成できたと校長が判断した場合には単位認定を行う。通級による指導を通して、進学先や就職先で必要なスキルを身に付けるとともに、必要な支援や配慮を依頼する力を身に付けることも期待される。

 なお、都立高校の生徒を対象に学校以外の会場で実施している「コミュニケーション アシスト講座」については、引き続き実施していくという。詳細は東京都のWebサイトに掲載。指導については、在籍校の先生または、入学予定高校の先生に相談のこと。

《畑山望》

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