早産の赤ちゃんの社会性発達に関わるリスクマーカーを発見

 京都大学大学院教育学研究科の明和政子教授と武蔵野大学教育学部幼児教育学科の今福理博准教授らの研究グループは、早産の赤ちゃんの社会性発達に関わるリスクマーカーを発見した。

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 京都大学大学院教育学研究科の明和政子教授と武蔵野大学教育学部幼児教育学科の今福理博准教授らの研究グループは、早産の赤ちゃんの社会性発達に関わるリスクマーカーを発見した。

 日本や世界の国々では、早期産(在胎週数22週から37週未満)・低出生体重(出生体重2,500g未満)での出生率が増加している。最近行われた欧米の大規模コホート(長期縦断)調査では、早産児・低出生体重児は、就学期までに自閉スペクトラム症(自閉症)等の発達障害と診断されるリスクが、満期産児と比べて2倍から4倍も高いことが明らかになっている。

 研究は、在胎24週から37週未満の早産児49名と満期産児29名を対象に行われた。修正齢で生後6・12・18か月の3時点で、「人と幾何学図形の動きを左右に配置した動画」と「人が物体に視線を向ける動画」を見せ、その間の視線の動きを視線自動計測装置(アイトラッカー)により計測。それらをもとに、「人が映像を見た時間の割合」「視線を追う頻度」「視線方向の物体を見た時間の割合」を算出した。

 さらに、生後18か月に達した時点で、「乳幼児期自閉症チェックリスト(M-CHAT; Modified Checklist for Autism in Toddlers)」を使って社会性発達のリスクを評価し、言語発達の評価も行うことで社会的注意の個人差との関連を調べた。

 その結果、「修正齢6・12・18か月の時点では、早産児は満期産児に比べて人に注意を向ける時間が一貫して少なく、人の視線を追う頻度も少ない」「修正齢18か月の時点では、早産児は満期産児に比べて自閉症リスクが陽性と判別される割合が高く、理解・発話の語彙数も少ない」「修正齢18か月の時点では、人に注意を向ける時間が少ない児ほど、自閉症リスクが陽性と判別され、また、人の視線を追う頻度が低いほど発話できる語彙数が少ない」ことが明らかになった。

 これまで、早産児は社会性や言語発達のリスクの高さが指摘されてきたが、それがどのくらい早期から特定されるのか、また、そうしたリスクに関連する要因についてはわかっていなかった。今回の研究では、早産児と満期産児の発達早期(乳児期)に着目し、それぞれの乳児が示す社会的注意の個人差が発達リスクを予測することを見出した。

 人を見る時間が少ないほど早期自閉症スクリーニングで陽性と判別される割合が高い、人の視線を追う頻度が低いほど発話語彙数が少ないといった関係を実証的に明らかにしたのは、今回の研究が初めて。社会的注意は、早産児をはじめとするリスク児の発達評価や早期介入支援の効果を評価する客観的指標として、臨床現場での応用が期待される。

 今後の課題は、早産児の社会性発達リスクが予測しうるマーカーのメカニズムをより詳細に解明することだという。また、発達早期に特定されたリスクが、学齢期以降の自閉症の診断(罹患率)や社会性発達、実生活での対人関係の問題などとどのように関連するかを長期的に追跡調査することも重要だとしている。

 研究成果は、2021年4月15日に国際科学誌「Infancy」のオンライン版に掲載された。

《外岡紘代》

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