「英語力」の高さ、私生活の充実と相関…グローバル調査

 教育サービス会社のピアソン(本社イギリス)は2024年7月26日、3月に発表した英語学習者に対する調査の結果を教育機関などに向け、まとめて公開した。英語力が高いほど仕事の満足度も高くなる一方、日本では英語教育を受けているにもかかわらず、十分な英語力をもてていないと感じている人が多いことなどが明らかになった。

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 教育サービス会社のピアソン(本社イギリス)は2024年7月26日、3月に発表した英語学習者に対する調査の結果を学習者、教育機関などに向け、まとめて公開した。英語力が高いほど仕事の満足度も高くなる一方、日本では英語教育を受けているにもかかわらず、十分な英語力をもてていないと感じている人が多いことなどが明らかになった。

 調査は2023年10月、日本、サウジアラビア、ブラジル、イタリア、米国(フロリダ州)の5つの国(地域)において、英語を母語としない英語学習者、および英語を職場で日常的に使用している計5,000人(各地域1,000人)を対象に実施した。

 調査の結果、日本では半数以上(52%)が英語を学ぶことで仕事の幅が広がり、また収入増加の可能性が高まる(43%)と考えていることがわかった。英語はキャリアアップに欠かせないと感じていると回答した人も約5人に1人(21%)みられた。

 英語力と収入の関係について、上級または中級レベルの英語力をもつ40%が、年収は800万円以上と回答。一方、中級レベルで年収800万円以上との回答は17%、初級レベルでは10%にとどまったことから、日本では英語力が高い人ほど高収入を得ている可能性が示された。

 同時に、英語力上級レベルの4分の3以上(78%)が、自分の仕事に「とても満足している」または「ある程度満足している」と答えたのに対し、初級レベルの回答者は半数以下(46%)であったことから、英語力は仕事への満足度と相関性があることもわかった。

 調査ではまた、ピアソン独自の英語学習指標である「Global Scale of English(グローバル・スケール・オブ・イングリッシュ)」のフレームワークに沿い、回答者のモチベーションと自信の度合いについても調べた。

 その結果、日本で英語を週に1回以上使う人(42%)について、読む、聞く、書く、話すの4技能すべてに自信があると回答した人は世界平均25%に対し、日本はわずか7%と、18ポイント低かった。また、英語で自分の考えを十分表現できていると感じている割合は14%にすぎず、世界平均の27%と比較しても13ポイント低い値となった。

 日本では76%の回答者が、12歳~16歳までの間に英語教育を受けていると回答。しかし、正規の教育で十分な英語力に達したと感じている回答者は、世界平均45%に対し、日本では17%と28ポイントも低い結果となった。

 おもな原因は、授業以外で英語を使う機会が十分になく(55%)、実際に英語を使うことよりも文法や語彙に重点を置いて学習したに重点が置かれていた(60%)との回答が多かった。

 また、英語の学習方法として、日本の学習者は世界平均よりもアプリ、書籍、Webサイトなどの自己学習ツールに頼っている傾向(日本70%、世界平均56%)がみられた一方、対面やオンラインの正規プログラムを受講している人は41%で、世界平均72%より31ポイント低いことがわかった。

 調査結果を受けて、東京外国語大学の投野由紀夫教授は「日本人は一般的に完璧主義的なメンタリティをもっているため、自分の間違いを他人に見せたくないという思いから、ミスをすることを避けたがります。それが、英語を使うことに自信をもてない理由の1つとなっています。しかし、間違いは語学学習の過程で不可欠な要素です。学習中にミスをすることをもっと寛容に受け入れ、生徒を励まさなければなりません」とコメント。

 ピアソンのジオ・ジョバンネリ氏は、「この調査では、人々が職場や私生活でより充実した日々を送るための英語の重要性が示されました。しかし、まだ多くの人が自分の英語力に自信がもてず、このことが職場での日常業務や他者との交流にも影響を及ぼしています。AIの進化が雇用の不確実性をもたらす時代において、自己を差別化するスキルとしての英語の重要性は増す一方です。だからこそ、英語学習に興味をもつ人々には、今すぐ行動を起こし、自分のレベルにあった学習でスキルを効率的に高めることをお勧めしたいと思います」と述べた。

 学習者向け、教育者向け、企業向けにまとめられた調査結果の詳細は、ピアソンのWebサイトで読むことができる。

《木村 薫》

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