学習塾「創英ゼミナール」を運営する創英コーポレーションは2025年3月12日、Classroom Adventureが開発した謎解きゲーム型メディアリテラシー教育プログラム「レイのブログ-Ray's Blog-」を、創英ゼミナールの約7,000人の塾生に無料で提供することを発表した。
世界経済フォーラムの2024年グローバルリスク報告書によれば、「誤情報・偽情報」が世界でもっとも懸念される脅威としてあげられている。国内でも、2024年1月の能登半島地震では、偽の救助要請や陰謀論といった誤情報が拡散し、救助活動の妨げとなる社会的混乱を引き起こした。また、生成AIの急速な発展により、「ディープフェイク」と呼ばれる高精度な偽の画像・動画・音声の作成が容易になり、一般市民が真偽を見分けることはますます困難になっている。
創英ゼミナールでは、子供たちに深刻化する社会問題に立ち向かう力を付けてほしいという思いから、「レイのブログ-Ray's Blog-」を学習塾としては過去最高規模の約7,000人を対象に無償で提供する。このプログラムは、慶應義塾大学発EdTechスタートアップのClassroom Adventureが開発したもので、ストーリーと実際のインターネットを駆使した没入型の謎解きゲームを通じて、参加者はプロのファクトチェッカーさえ難しいとする最新の誤情報・偽情報を見抜く能力を自然と身に付けていく。
Classroom Adventureの強みは、実際のファクトチェック記事を執筆するメンバーが開発に関わり、本当のプロが使う最先端の検証手法を学べる点にある。ゲーム内では、生成AIによるフェイク画像の見分け方、位置情報を特定して真偽を暴くジオロケーション、一次情報の探し方など、通常の授業では学べない実践的スキルを習得できる。3カ月ごとに最新の誤情報傾向を反映してアップデートされるこのプログラムは、朝日新聞社主催「大学SDGs ACTION! AWARDS 2024」でグランプリを受賞し、日本最大のスタートアップコンテストTokyo Startup Gateway 2024でも最優秀賞に選ばれた。
近年、大学入試では学校推薦型選抜や総合型選抜など、学力試験だけに頼らない多様な入試形態が増加している。これらの入試では、情報収集力、論理的思考力、そして課題解決能力が重視され、学生自身が情報を適切に収集・分析し、自らの言葉で表現する力が問われている。このプログラムを通じて、生徒たちは単なる知識の暗記ではなく、情報リテラシーという21世紀型スキルを身に付けることができる。情報の真偽を見分ける、研究テーマを探す際に一次情報にアクセスする、志望理由書作成に信頼性の高いデータを引用するなど、実践的なスキルとして即座に活用できる点が大きな強みだという。
高校の無償化が始まる今、誰もが平等に教育を受けられる環境が整いつつある。ただ「進学する」だけでなく、「学生時代に何を身に付けるか」がこれまで以上に重要になっている。創英ゼミナールでは、学力向上はもちろんのこと、生徒たちが将来、社会の中で自分らしく活躍できる力を育むことを大切にしており、これからも時代に即した教育を提供し、生徒たちの可能性を広げるサポートを続けていくとしている。