東京都は2025年6月6日、水痘(水ぼうそう)の患者報告数が第22週(5月26日~6月1日)に注意報基準を超えたと発表した。都内31保健所のうち、文京や練馬区など11保健所地域で注意報レベルにあり、ワクチン接種やマスク着用など感染予防を呼びかけている。
水痘は、一般に「水ぼうそう」として知られる水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症。潜伏期間は10~21日。特徴的な症状は水疱(水ぶくれ)と38度前後の発熱で、全身に直径3~5mm程度の盛り上がった赤い発疹(丘疹)が出現する。通常は軽症で、一度の感染で生涯その感染症にかからない終生免疫を得ることが多いが、成人は重症になることがある。
東京都内264か所の小児科定点医療機関から報告された定点あたり患者報告数によると、第22週(5月26日~6月1日)の患者報告数は1.06人。定点あたり患者報告数が1を超えるのは、2020年からの直近5年間で初めて。保健所別では、31保健所のうち11保健所で患者報告数が水痘の注意報基準1.0人に達している。11保健所管内の人口合計は、東京都全体の39.1%になる。
注意報レベルにある11保健所の発生状況をみると、「文京」3.75人がもっとも多く、「練馬区」2.38人、「町田市」2.25人、「新宿区」1.88人、「大田区」1.69人、「多摩小平」1.67人、「みなと」1.50人、「北区」1.43人、「多摩府中」1.43人、「渋谷区」1.00人、「池袋」1.00人と続いている。
東京都では、定点医療機関からの患者報告数が都全体で基準値1.0人を超えた場合、または注意報レベルにある保健所の管内人口が東京都全体人口の30%を超えた場合に注意報を発令している。直近では、第17週(4月21日~27日)にも注意報基準を超えたが、その後、注意報基準を下回り、今回再度、注意報基準を超えた。
水痘の感染経路には、咳やくしゃみなどのしぶきに含まれていたウイルスが空気中に漂い、そのウイルスを吸い込むことによる「空気感染」、ウイルスが含まれる咳やくしゃみなどのしぶきを吸い込むことによる「飛まつ感染」、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる「接触感染」がある。
もっとも有効な予防法はワクチン接種。東京都では、定期接種の対象期間(1~3歳未満に2回接種)での確実な接種とともに、外出時のマスク着用、こまめな手洗いなど、基本的な感染症対策を呼びかけている。