東京都教育委員会は2025年6月26日、2025年度(令和7年度)東京都立高等学校入学者選抜における学力検査結果に関する調査の報告書を公表した。前年度(2024年度)と教科別の平均点を比較すると、社会は上昇したものの、国語、数学、英語、理科の4教科が下降した。
東京都教育委員会は、都立高校入学者選抜学力検査結果に関する調査を毎年実施し、結果を公表している。各教科・各問の正答および誤答を分析し、結果を提供することで、各学校の教科指導の改善に役立ててもらうことが目的。調査結果と自校の生徒の学習状況との比較により、成果と課題の把握や、生徒の習熟の程度を高めるために必要な指導方法の工夫・改善等に活用できるという。
2025年度の入学者選抜は2月21日に行われ、約3万5,000人が受検した。教科別受検者数は、国語3万1,414人、数学3万1,415人、英語3万1,266人、社会3万4,999人、理科3万4,998人。各教科(100点満点)の平均点は、国語75.0点、数学60.4点、英語63.7点、社会59.9点、理科59.2点。前年度の平均点と比較し、社会が4.4点上昇。国語は0.9点、数学は1.3点、英語は3.2点、理科は7.6点下降した。
前年度より平均点が4.4ポイント上昇した社会では、分布のピークが前年度の70点~74点から80点~84点に移り、80点以上の受検者の割合が18.7%から23.8%に増加した。
一方、もっとも平均点が下がった理科は、分布のピークが前年度の84~87点から76点~79点に移り、80点以上の受検者の割合は26.1%から23.0%に減少した。
特に正答率が低かったのは、化学式が表す原子の種類や数について思考力・判断力を問う問題(正答率22.6%)だった。図や実験結果を分析し、原理や法則などを深める過程を通して思考力・判断力を育成する活動や、探究の過程を通して原子や分子のモデルを用いて考察し、事物・現象を捉える活動の一層の充実を図ることが、授業改善のポイントになるという。
「東京都立高等学校入学者選抜学力検査結果に関する調査」の報告書は、東京都教育委員会Webサイトから閲覧できる。参考資料として、中学校や高校などに向けて「調査報告書活用のポイント」も公開しており、教科ごとに生徒の実態と授業改善のポイントを紹介している。