20年受け継がれる「J-POWERエコ×エネ体験ツアー」巨大ダムの底とブナの森で学ぶ水力発電の世界

 J-POWER「エコ×エネ体験ツアー」は、自然と水と電気のつながりについて親子で同じ体験をしながら学ぶプログラム。奥只見ダムと発電所の見学、ブナの森の体験プログラム、わかりやすく楽しい発電実験など、20年目の節目に全国から集まった親子が、ともに学び、交流した1泊2日の旅のようすをレポートする。

教育イベント 小学生
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20年目の「J-POWERエコ×エネ体験ツアー」森からはじまるエネルギーを体験から学ぶ
20年目の「J-POWERエコ×エネ体験ツアー」森からはじまるエネルギーを体験から学ぶ 全 90 枚 拡大写真

 J-POWER(電源開発)が主催する「エコ×エネ体験プロジェクト」は、2007年のスタートから今年で20年目を迎えた。「エネルギーと環境の共生」をテーマに、エネルギーと自然環境のつながりを、体験を通じて伝える学習プログラムで、環境教育の専門家らと協働しながら活動を続け、これまでに延べ3,257人の小学生親子や学生らが参加している。

 小学4年生から6年生の親子を対象としたエコ×エネ体験ツアーは例年、新潟県の奥只見と岐阜県の御母衣を舞台に開催。参加費無料(集合・解散場所までの交通費を除く)でありながら、普段は立ち入ることのできない発電設備の見学や自然体験を通じて五感で学べる貴重な機会だ。20年にわたり多くの家庭から支持を集め、今年も定員を大きく上回る応募が寄せられた。リセマム編集部は今年、奥只見コースのA日程(2026年8月19日・20日)に同行した。20年目の節目に全国から集まった親子がともに学び、交流した2日間のようすをレポートする。

子供の「なぜ?」を育てる体験の力
佐藤亮子氏から保護者へのメッセージ

 ダムを見上げた驚きも、発電所の巨大な設備を前に感じた迫力も、実験に目を輝かせた瞬間も、親子で共有した体験は子供の心に長く残る。そうした「本物に触れる経験」は、子供たちの学びや成長にどのようにつながるのだろうか。3男1女を東京大学合格へ導いたことで知られる「佐藤ママ」こと教育評論家の佐藤亮子氏にメッセージをいただいた。

教育評論家 佐藤亮子氏

子供の「なぜ?」を育てる体験の力

 毎日、机の上での勉強に忙しい子供たちも、ふと手を休めて顔を上げるとそこには、自分を取り囲む日常生活、外に出れば空に雲に太陽、見上げるように聳え立つ大きな木、雨の日は遥か上の方から落ちてくる雨という名の水。「なぜ?」と考えれば、不思議なことばかり。歴史を紐解けば大昔の夜空には、月と星の明かりのみでした。今、夜道を歩くときには、遠い月より明るい街灯や家々の明かりに守られながら家路を急ぎます。

 J-POWER「エコ×エネ体験ツアー」で、家庭の中で何気なく使っている電気というエネルギーの大元を実際に目にしたことは、参加した親子にとって、一生残る感動的な体験だったことでしょう。親子での参加は、現地での経験を共有できるので、自宅に帰ってからも、思い出話に花を咲かせることができます。目に焼き付けたダムの壮大さは家に帰ってから電気をつけるたびに思い出すに違いありません。空から降ってくる小さな一滴の雨とダムのとてつもない量の水、同じ水なのにダムの水からは、私たちの生活に不可欠な電気を生み出すというのは魔法のようです。子供たちはその仕組みを知ることで、科学技術の素晴らしさ、またその魔法のような仕組みの面白さをもっと知りたいと尽きない興味をもつことでしょう。これからの未来に必要なのは、子供たちの純粋な探究心、そして、その子供たちの探究心を育んでいきたいという大人たちの気合いです。

 AIが大きな影響力をもつこれからの時代には、私たちは、「人間らしいとはなにか?」を自らの心で考えることがより重要になり、子供たちが豊かな人生を歩むために、自然の偉大さに謙虚になることも必要かと思います。子供たちの好奇心を自然の中に解き放ち、たくさんの体験を用意し、たくさんの「なぜ?」を追求するお手伝いをしていただきたいと思います。


 奥只見の大自然と水力発電の現場を舞台に、多くの驚きと発見に出会ったツアーのスケジュールは以下のとおり。

エコ×エネ体験ツアー「日本最大級の水力発電所!ブナの森でつながりを学ぶ」奥只見編日程

1日目
JR浦佐駅集合→昼食→奥只見発電所の体験プログラム→奥只見電力館見学→電気の話・お互いを知る時間→夕食→夜の観察会→交流会→お風呂・就寝

2日目
朝食→遊覧船でダム湖を横断→森の体験プログラム→まとめのワークショップ→昼食→尾瀬三郎劇場→振り返り→JR浦佐駅解散


 ツアーでは、参加者親子もスタッフも本名ではなく、それぞれが名付けたキャンプネームで交流を深める。本文中もキャンプネームで紹介する。

長いトンネルを抜けて奥只見発電所へ、いざ出発!

 集合場所のJR浦佐駅には続々と参加する親子が集まり、スタッフが旗をもって笑顔で出迎えた。15組30名の親子がバスに乗り込み、奥只見ダムのすぐ近くにある宿、ネイチャーカレッジ緑の学園をめざす。

エコ×エネ体験ツアーへようこそ! JR浦佐駅ではスタッフが笑顔で出迎えた

 バスの中では、ツアーのキャプテンを務めるJ-POWERの「てるさん」が挨拶。J-POWERグループは全国約100か所で発電所を運営し、水力をはじめ、火力、風力、地熱、バイオマスなど多様なエネルギーを活用して電力の安定供給を支えていることを紹介した。参加した子供たちからは「すごい」「知らなかった」といった声があがった。

J-POWER「てるさん」が挨拶。「今朝お家で使った電気も、J-POWERがつくった電気かもしれません」
2日間のプログラムをチェック
参加者に配布された学習キット

 続いて、山梨県清里を拠点に自然体験や環境教育活動を行うキープ協会の「みかんちゃん」が、車窓から見える魚沼地域の自然や歴史を紹介した。奥只見ダム建設のために資材運搬専用道路として整備された奥只見シルバーラインを通りながら、参加者の理解と興味を深めるクイズ大会も開催された。キープ協会の「しゅんしゅん」と「もっちゃん」が盛り上げる全6問に、子供たちは元気よく手をあげて挑戦した。

シルバーラインのトンネルの長さは?
奥只見発電所ではいつ電気がつくられているのでしょうか?

 電気の世界を学ぶDVDを楽しみながら「シルバーライン」を進む。全長22kmのうち約18kmがトンネル区間で、途中には翌日のプログラムで訪れる銀山平へ続く分岐もあるという。バスはそのまま直進し、長いトンネルを抜けると宿泊施設「緑の学園」に到着した。

 まずは昼食タイム。赤・青・黄・緑の4組に分かれて美味しいカレーライスをいただき、食後は自己紹介をしたり、近況を話したり、初対面の緊張をほぐし、午後の見学に備えた。

美味しいカレーのお米はもちろん魚沼産コシヒカリ
食後の体操でリフレッシュし、午後のプログラムに備える
自己紹介タイム。「どこから来たの?」「宿題終わった?」初対面同士でもすぐに距離が縮まった

ダムの大きさを実感! 暮らしを支える電気がつくられる現場に潜入

 いよいよメインプログラム「奥只見発電所の体験プログラム~五感を使って発電所を探検~」へ。ヘルメットを着用して安全を確認し、奥只見ダムの頂上「天端(てんば)」を歩いて向かう。

右手にダム湖、左手にダム堤体(ていたい)を望む天端(てんば)を歩き、発電所へ向う
案内してくれた小出電力所、奥只見電力館の皆さん
ヘルメット良し! 足元良し! 服装良し! 笑顔良し! 指さし呼称で安全チェック
ダム湖を見ながら天端を歩く

 奥只見ダムは、重力式コンクリートダムとして日本一の高さ(157m)を誇り、総貯水量は約6億トンで、東京ドーム約480杯分に相当する。面積は約11平方キロメートルにおよび、東京都の文京区や千代田区とほぼ同じ広さだ。

 奥只見ダムで発電された電力は、首都圏や東北地域の電力供給を支えている。また、黒部ダム、御母衣ダム、奥只見ダムは「日本三大ダム」として知られるが、このうち御母衣ダム(ロックフィル式)と奥只見ダムはJ-POWERが管理・運営している。

右側には奥只見湖と森が広がり、その雄大な景色に思わず目を奪われる

 広大な奥只見湖に貯められた水は、水力発電の原動力だ。 水を高低差によって落下させ、その位置エネルギーを利用して電気を生み出している。反対側からダムの堤体(ていたい)を見下ろすと、その高さと、大量の水を支える重厚な施設の迫力を実感した。

親子で天端からダムの底を見下ろし、そのスケールの大きさを確かめる
ダムの下を流れる只見川。川の環境を守るため、河川維持流量が常に放流されている。送電線も見えた
天端を歩きながら発電所について質問。「この下に発電所がある!」と地下発電所に興味津々
いよいよ発電所内に潜入

 発電所はダムの地下深くの位置にあるため、年間を通じて室温は10度前後だという。上着を着て、天端のほぼ中央にあるエレベーターで139メートル下まで降りていった。

地下ではないため「B」が付かない、下に向かって数が大きくなる不思議なエレベーター

 連絡通路のある11階に到着。「急に寒くなった!」という子供たちの声が響き、ひんやりとした連絡通路を進んでいく。側溝に流れる水に触れてみると8度ほどだった。

ダム内の連絡通路は年間通じて室温は10度前後。エレベーターを降りると一気に冷たい空気になった
側溝の水はとても冷たい
通路の壁にはコケが生育。蛍光灯の光で光合成し、鮮やかな緑色になっている

 通路を進むと「ドクター」が待っていて、ダム湖の内部で、水力発電の仕組みを学ぶミニ実験が行われた。雲、ダム、発電機、指令塔の役を子供たちが演じ、「発電開始!」の合図でミニ発電機の電球を灯した。実験を通して、水力発電には水が欠かせないことや、人が発電を制御していることを体感した。

「水がつくられるのに必要なのは何?(ドクター)」「雨! 雲! 発電機!(子供たち)」
「発電開始!」の指令で地下水を流すと、ミニ発電機が点灯。電気をつくる「指令塔」の役割を体感した

 連絡通路を進みエレベーターでダムの底部まで降りると、先ほど歩いた天端を、下から見上げられる場所に到着した。

角度は51度。スキージャンプ台の斜度(約35度)をはるかに超える急傾斜に圧倒される
天端を見上げると…誰か手を振っている!

 最上部に見える水色の水門とジャンプ台のような設備は緊急放流用の洪水吐(こうずいばき)。大雨や台風などでダムの水位が限界になりそうなときに、ダムの崩壊を防ぐために水を安全に下流へ逃がすための設備だが、奥只見ダム湖は大きく、溜まった水は水圧鉄管へ送られ発電に使われるため、この水門が開いて放流されることは滅多にないという。

目を凝らして見るとエコ×エネ体験ツアーのスタッフが手を振っている姿が見えた!
普段は立ち入ることのできないダムの底部から見上げる景色に圧倒された

 発電機室に向かう前に、水車発電機の模型を使った説明を聞いた。ダムの水が取水口から水圧鉄管を通って大きな水車を回し、回転軸でつながった発電機が回ることで電気がつくられる。

実物の見学を前に、発電機の模型で仕組みを学ぶ子供たち

 発電機室に到着した。奥只見発電所は、電気の使用量が増えるピーク時などに発電を行う。先ほど体験したミニ発電実験で学んだように、需要の高まりを受けて「発電開始!」の指令を受けた1号機が実際に稼働していた。発電機から伝わる振動に触れながら、水力発電が暮らしを支えていることを肌で感じられる瞬間だった。

巨大な1号機の発電機のカバーに手を当てると、低く力強い振動が伝わってきた
4号機の回転軸を見学するようす。軸には天然記念物であるイヌワシのステッカーが貼られており、発電中はストロボの点滅周期をダイヤルで回転速度に合わせることで、回転軸が止まって見える仕掛けになっている
巨大な設備と響く音に驚きながら、発電所の大きさを体感した

 発電所の見学を終えて天端に戻ると、枯葉を落とし、上昇気流によって空へ舞い上がるようすを観察する体験に挑戦した。この日は風がほとんどなかったが、参加者は天端から身を乗り出すように下をのぞき込み、上昇気流を感じようとしていた。さらに、福島県と新潟県の県境を親子でまたぐひと幕もあり、一歩で県を越える特別な体験に笑顔が広がった。

もういちど覗き込み、高さを再確認
上昇気流を感じる
一歩で新潟県から福島県へ。親子一緒に県境またぎを体験

歴史を振り返る「奥只見電力館」

 続いて「奥只見電力館」に移動し自由に見学した。奥只見の四季やダム・発電所建設の歴史をダイナミックに紹介するパネル展示を観たり、自転車を漕いで発電する乗り物を楽しんだり、タブレットで映像教材を視聴したりした。

発電所見学の後は奥只見電力館へ。体験した内容を親子で復習した

 大型スクリーンでは、戦後の高度経済成長期の深刻な電力不足を支えるため、国家的プロジェクトとして建設された奥只見ダム・発電所の歴史を学んだ。親子は当時の貴重な映像を見ながら、豪雪地帯の険しい山中で進められた大規模工事のようすや、その過程で尊い命が失われたことに触れ、日本の暮らしを支える設備の歴史に思いをはせていた。

ダムカードも贈呈された
いただいたダムカードとお土産
奥只見ダム建設工事で亡くなった方々の慰霊碑
映像で学んだ雪深い奥只見でのダム建設工事の苦労に思いをはせながら慰霊碑に黙とうをささげた
水と緑に包まれた奥只見ダムを背に、心に残る記念撮影

電気の話/学び合い・お互いを知る時間

 「緑の学園」に戻った後は、座学で電気の特性や安定供給と環境保全を両立する取り組みについて学びを深めた。J-POWERの「ヤミー」は電気の仕組みを解説。電気は光とほぼ同じ速さで移動すること、貯めておくのが難しいこと、すべての設備が健全に稼働するよう人の手で常に管理されていることなどを学んだ。2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、安全性(Safety)を大前提に、S+3E(Safety=安全性、Energy Security=安定供給、Economic Efficiency=経済効率性、Environment=環境適合)を同時に実現していく考え方の重要性についても学んだ。

今日の体験を思い出しながら理解を深める時間

 J-POWERの「シゲさん」は、水力発電の仕組みや奥只見ダムと他のダムとの構造の違い、歴史について解説した。地下発電所は山の景観を守れるだけでなく、自然災害時にも安全な運転が可能であることなど、その特徴についても学んだ。

 また、2003年に完成した4号機の建設では、絶滅危惧種であるイヌワシやクマタカ、希少生物と生態系への影響を考慮し、地上での露出工事を最小限に抑えるよう設計。自然との共生を重視した発電所づくりが進められ、生態系の維持を目的としたエコパークも整備された。

緑の学園へ向かうバスの車窓から見えたエコパーク。4号機建設時に生態系の保全を目的として整備された

 さらに、ダムの下流の川の環境を守るために常に流している「河川維持流量」を活用し、24時間365日発電を続ける奥只見(維持流量)発電所についても紹介した。本来は河川環境維持のために放流する水を有効活用した発電所で、水資源を無駄なく利用する取組みだという。日本一の出力を誇る奥只見発電所のダイナミックな設備の陰で、環境保全と発電を両立する維持流量発電所が稼働していることを知り、参加者は水力発電の奥深さを感じていた。

「電気料金はなぜ値上がりするの?」「エネルギー効率って何?」親子から次々と質問が飛び交い、熱心にメモを取る姿が見られた
ダムや発電所の感想、明日の遊覧船への期待など、それぞれの思いを交えながら自己紹介した

 チェックイン後は夕食の時間。魚沼産コシヒカリや、魚沼産の米で育ったもち豚、布海苔を使ったへぎ蕎麦、八海山の湧水で育ったニジマスなど、魚沼の味覚を堪能した。

「いただきます!」
魚沼の旬と郷土の味を楽しむ夕食

電気(灯り)のない夜の世界を体験

 食事が終わりひと休みした後は建物の電気を消して夜の散歩へ。目が暗闇に慣れていくうちにだんだんと足元の草や山並みの影、そして星が見えてきた。葉を閉じているクローバーを観察し、蛙や虫の声など「自然の音」を感じた。広場ではシートを敷き、寝転がって夜空を見上げると人工衛星がスーッと動くのを観察できた。

寝転がって見上げた星空

 赤色のライト(暗闇での目の順応を邪魔しない)から白色のライトに変え、片目を隠して、左右の目で暗闇での見え方や色の感じ方がどう変化するかを確かめる暗順応を体験。光のありがたさとともに、人が本来備えている力のすごさを実感する学びとなった。

暗い中での生き物の観察や目の順応を体験

 遊びを通じてさらに仲良くなる夜の交流会では、J-POWERオリジナルの「エコ×エネかるた」で真剣勝負をしたり、スタッフに質問をしたり、皆の距離は縮まって仲良くなっていくようすが見られた。

エコ×エネ体験プロジェクトの学びが詰まったオリジナルかるた
資料を読んだり、エコ×エネかるたや発電実験を楽しんだり、質問をしたり。思い思いに交流しながら1日目を締めくくった

1日目終了後インタビュー

「ゆっこさん」&「あっくん」親子


 小学校4年生から応募し続け、最後のチャンスとなる6年生でようやく当選しました。普段入れない発電所の奥深くまで見学できたことや、大地の温もりを背中で感じながら寝転んで見上げた星空に深く感動しました。また、ダム建設で100人以上が亡くなった歴史を知りました。昔の人々の多大な努力でできた電気を無駄にしないよう、ゴミの分別や削減をしていきたいです(ゆっこさん・お母様)。

 ダムと発電所はとても大きくて迫力がありました。夜の散歩で、灯りのない真っ暗闇で過ごしたことはとても貴重な経験でした。普段、当たり前のように浴びている電気のありがたみに気づくことができました。日ごろから電気を無駄にしないよう、節電を意識していきたいと思います(あっくん・お子様)。

「きよさん」&「あーちゃん」親子


 子供のころ、親に連れてきてもらった思い出の地に、今度は娘と一緒に新しい学びの場として再訪できて感慨深いです。一度流した水を下流にあるダムで繰り返し使って発電する仕組みを知り、大変驚きました。ダムが水資源を賢く循環させているように、家庭でもお風呂の水を繰り返し活用するなど、資源を大切にして無駄を減らす工夫を実践していきたいです(きよさん・お母様)。

 ダイナマイトを使い、多くの人の手で造られたダムの大きさに圧倒されました。昭和30年代の古い発電設備が、今も中身をアップデートしながら動いていることや、普段乗っている電車など日々の暮らしに電気が繋がっていることがわかり、とても感動しました。ダムの歴史や裏側を知ったからこそ、これからはエアコンや冷蔵庫の使い方に気を配り、大切に使っていきたいです(あーちゃん・お子様)。


遊覧船でダム湖を横断「森の体験プログラム」で自然とエネルギーのつながりを感じる

 2日目の朝。朝食を終えてチェックアウトを済ませると、遊覧船でダム湖を横断し、銀山平の森へ向かった。深い森に囲まれた奥只見湖の景色を眺めながら、「奥只見ビンゴ大会」で魚や流木、鳥などを探し、船上でのひとときを楽しんだ。

美味しい朝食をしっかりいただいた後はチェックアウト
遊覧船に乗ってダム湖を横断
ダム湖から見える天端。見る場所が変わることで、ダムの大きさをあらためて実感した
湖上から楽しむ奥只見の大自然
挨拶をしたり、景色の中からお題を探したり。ビンゴ大会を楽しみながら交流を深めた
すれ違う遊覧船に手を振る
広いダム湖を遊覧船で横断する贅沢な時間
デッキに出ると、風と水しぶきが心地よく、自然と笑顔がこぼれた
銀山平の船着き場に到着!

 船を降り、尾瀬三郎の像がある広場に向かう。まずは尾瀬三郎の像の前の広場で「葉っぱじゃんけん」大会を行った。各自で自由に葉っぱ3枚を選び、対戦相手を見つけ、葉の大きさや長さ、ギザギザの多さなどを比べて勝ち負けを楽しく対決した。

万年雪が見えた
冬になると、尾瀬三郎の帽子のあたりまで雪が積もる
うるし(左)とツノハシバミ(右)は触るとかぶれるので気を付けて葉っぱ探し
大きい葉っぱ、ギザギザが多い葉っぱ、長い葉っぱ…見つけた葉っぱで対決
どちらが強い?
楽しい遊びの相棒の葉っぱに感謝し、自然へ返した

 4つのグループに分かれてブナの森に向かって歩いていく。ブナの実、ブナの芽生え、生き物のすみか、キノコ、足元に広がる自然を観察しながら奥へと進んでいくと、雪の重みで根元が曲がった美しいブナ林に到着した。

森の奥へと進んでいく
白い幹が美しいブナ林
ブナ林の土はフカフカしている
ブナの実を発見
五感を使って水の音や風、土や葉の匂いなど、森の恵みを感じる

 親子ペアでお気に入りのブナの木を見つけ、シートを敷いて寝転んで目を閉じる。清々しい空気と静けさを感じる癒しのひとときを過ごした。

心地よさそうな根元を探して親子で寝転ぶ
目を閉じて、癒しの時間を過ごした
ブナの木陰でひと休み

土の違いを知り、皆で力をあわせて実験

 船着き場に戻ると、次は「ドクター」と助手の「ヤミー」による実験教室だ。森と水力発電の関係について、実験を通して学んでいく。親子は先ほど探索したブナの森を思い出しながら、水を蓄える森の土の役割について理解を深めた。

森と水力発電の関係について、実験を通して学ぶ
虫や微生物、落ち葉などがつくる「森の土」と、固く締まった「グラウンドの土」を再現した実験キットで違いを比較
ペットボトル装置で透水実験を行い、土の違いを比較。水や空気を通しやすい森の土の役割を確かめた
ひとりひとりの水をつなげてダムをつくる
集めた水で水力発電

 豪雪地帯である奥只見では、ブナ林に降り積もった雪や雨が土にしみ込み、地下水となってダム湖へと流れ込む。参加者は実験を通して、その水が水力発電に利用される仕組みを目で見て、手で確かめた。森が育む「緑のダム」と奥只見ダムのような人工のダム。その両方によって水力発電が支えられていることを実感できる学びの時間となった。

森が育む「緑のダム」と奥只見ダムのような人工のダム。その両方によって水力発電が支えられている
フレミングの法則をラップで覚える「フレミングだYO!」

五感で学んだエコとエネを振り返る

 昼食では、魚沼をこよなく愛した作家・開高健が考案した「開高めし」を味わった。食後は、「ドクター」の演出による即興劇の時間だ。演じるのはお母さん、お父さんたちで、題材は、魚沼市奥只見・銀山平エリアに伝わる尾瀬三郎の悲恋物語だ。子供たちは普段とはひと味違う親の姿を楽しみながら、尾瀬の地名の由来となった物語に耳を傾けていた。

奥只見湖を眺めてランチタイム。ツアーを見守る電気の妖精「でんき犬(けん)」も一緒にパチリ
「ドクター」の演出による尾瀬三郎の悲恋物語
突然の配役にもかかわらず、保護者たちは感情豊かに熱演。子供たちは大爆笑

 最後のプログラムは2日間の振り返りの時間。参加者は、森の観察や発電所見学などを通して感じたことを、ブナの葉をかたどった紙に書き込んでいく。それぞれが静かに思いをつづり、ひと組ずつ発表した。

「ブナって強くて優しい」「エコとエネがつながっていることがわかった」など、ひとりひとりの思いが込められていた
1枚1枚の葉が、大きな森になった

 戦後の大規模工事で造られた奥只見ダム・発電所が今も暮らしを支え、水力発電が自然の恵みで成り立っていることを学んだ2日間。 帰りのバスでは「てるさん」から、ブナの葉の手紙や皆さんの笑顔に感動したこと、そしていつか成長した皆さんと大学生向けツアーで再会したいという思いが伝えられ、それぞれの思いを胸に奥只見を後にした。

2日目終了後インタビュー

「ほっしー」&「カービー」親子


 水力発電は原子力のように常に電気をつくり続けているものだと思っていましたが、実際はダムに水を貯めておき、「必要な時だけ上から下に落として発電する」という仕組みを初めて知り、目から鱗が落ちる思いでした。水量を賢くコントロールする水力発電の合理性やダムの役割を学ぶことができ、大人にとっても非常に深い学びの機会となりました(ほっしー・お父様)。


 ダムの中に入れたこと、家の周りよりも何十倍も綺麗に輝く星空を眺められたことが本当に楽しかったです。森では、オオカマキリやキリギリス、ヤマアカガエルなど、大好きな生き物たちにもたくさん出会えて大満足でした。今回の体験で電気のありがたみがよくわかったので、エアコンをつけっぱなしになっていたら消して、節電を頑張りたいです(カービー・お子様)。


「あっこ」&「なっつん」親子


 娘が社会科見学を機に「発電」に興味をもったことから応募しました。電気は「貯めておけない」という事実をあらためて学び、無駄遣いをせず大切に使う重要性を親子で実感しました。実は10年近く前に上の娘とも参加したのですが、当時と変わらないプログラムの素晴らしいクオリティに感謝するとともに、これからも親子で環境に優しい暮らしを心がけていきたいです(あっこ・お母様)。


 学校で習った、雪の重みに耐えて斜めに曲がるブナの姿や、森の土が雨水をろ過してダムへ送る仕組みを自分の目で確かめられて感動しました。夜の探検で、暗闇に慣れる目の仕組みがわかる暗順応の実験を体験したこともおもしろかったです。電気の裏にある人々の苦労やありがたみを知ったので、これからは部屋を出るときは絶対に電気を消すなど、学んだエコを必ず実践します(なっつん・お子様)。


「エコ×エネ」変わらぬ思いをつなぐ

 J-POWERグループの若手社員が自ら志願し、ツアー当日、参加者をサポートすることも、エコ×エネ体験ツアーの大きな魅力だ。子供たちの挑戦と成長を見守りながら2日間を支えた、スタッフからのメッセージを紹介する。

4グループにそれぞれリーダーとして配置されたJ-POWERグループの皆さん(左から、「シモン」「ずっきー」「こみこみ」「ゆう」)

 只見川とダムの壮大さに魅了されて入社した私にとって、当社の設備や事業を皆さんに知っていただけるこのツアーへの参加は念願でした。参加者の皆さんとのコミュニケーションを通じて、一般の方々が当社の事業やエネルギーをどう見ているか客観的に学べたことは、自身の仕事を見つめ直す大変有意義な機会となりました。ただ我慢して切り詰める節電ではなく、エネルギーを無駄なくメリハリをつけて大切に使うことを意識して、2日間の学びをご家庭でも思い出していただけたら嬉しいです(シモン)。

 子供たちの素直で鋭い質問に、思わずタジタジになる場面もありました! 入社1年目で志願し、初めての体験で最初は不安もありましたが、お互いに刺激を受け合う素晴らしい「学び合い」の場になりました。電気がつくられる現場を目にした感動を胸に、ツアー後も色々な発電所を訪ねて関心を広げてもらえると嬉しいです(ずっきー)。

 水力発電関係の事務をしているのですが、初めて奥只見の現場を訪れることができました。日ごろ発注している発電機の部品が、この壮大な現場で実際にどう使われているのかを目の当たりにして、豊かな森と綺麗な水、そして人々の努力のつながりを深く実感しました。スイッチ1つでつく便利な電気の裏側にある物語を少しだけ想像して、日々の中での「優しい節電」を心掛けてほしいです(こみこみ)。

 普段のデスクワークから離れ、スタッフとして他部門の仕事や参加親子の生の声に触れたことで、視野が大きく広がりました。夜の暗闇体験で感じたように、普段の「当たり前」を当たり前と思わず、いつでも不自由なく電気が使える日常の中で、自分たちにできる小さな省エネをひとりひとりが意識し続けてほしいと願っています(ゆう)。

エコ×エネ体験ツアー担当2年目J-POWER「なっしー」

 エコ×エネ体験ツアーは、今年で20周年を迎えました。これまで多くの皆さまに支えられながら続けてこられたことに、心より感謝申し上げます。

 J-POWERは、電力会社としての視点だけでなく、自然環境教育やエコツーリズムなど、さまざまな分野の専門家と協力しながら、五感を使った実体験を通じて、自然とエネルギーのつながりを感じる機会をお届けしてきました。今年も参加者の皆さまからは、「何気なく使っている電気の裏側を知ることができた」「想像以上の学びだった」といった声をお寄せいただいています。エネルギーを取り巻く環境が大きく変化する中、このツアーで感じたことや気づいたことが、身近な電気や自然、そして未来の社会について考えるきっかけになれば嬉しく思います。

 来年もエコ×エネ体験ツアーの開催を予定しています。20年にわたり大切にしてきた「実際に見て、感じて、学ぶ」という体験を、これからも多くの皆さまにお届けしていきたいと考えています。自然やエネルギーに興味のある方はもちろん、新しい発見や体験をしてみたい方も、ぜひご応募ください。このツアーが、皆さまにとって心に残る発見や学びにつながれば幸いです(なっしー)。


 実物を体感し、豊かな社会の作り手となる一歩を踏み出す「エコ×エネ体験ツアー」。これから小学4~6年生を迎えるご家庭は、例年5月ごろに始まる募集をお見逃しなく。

ひととエネルギーと環境を“つなぐ”
J-POWER エコ×エネ体験プロジェクト

《編集部》

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