子供たちの創造力を育み校務効率化に貢献するWondershareの4製品

 Wondershareが2023年6月14日から3日間にわたって開催されたEDIX関西に、AI連携のPDFelementなど4製品を初出展。展示のようすとともに教育向け製品の特徴や今後の展望などを、同社法人営業部部長の野原利浩氏に聞いた。

教育ICT 先生
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ワンダーシェアーソフトウェア法人営業部部長の野原利浩氏
ワンダーシェアーソフトウェア法人営業部部長の野原利浩氏 全 8 枚 拡大写真

 動画編集などクリエイティブソフトで知られるワンダーシェアーソフトウェア(Wondershare)が、2023年6月14日から3日間にわたって開催されたEDIX関西に初出展。PDF編集ソフト「PDFelement(PDFエレメント)」、動画編集ソフト「Filmora(フィモーラ)」、マインドマップ専用ソフト「EdrawMind(エドラマインド)」、作図&製図ソフト「EdrawMax(エドラマックス)」の4製品を展示し、行き交う教育関係者の関心を集めていた。

 AI連携されているという4製品の特徴や今後の展望などを、同社法人営業部部長の野原利浩氏に聞いた。

校務効率化に貢献するPDF編集ソフト「PDFelement」

 PDFelementは、PDFに直接テキストや画像の追加・削除・修正が可能で、Word・Excel・PowerPoint・HTMLなどのファイルからPDFへの変換、PDFファイルの作成や既存のPDFファイルへの情報入力などもできる。野原氏は「学校では多くのPDFデータを扱いますが、読み取りはできても直接編集ができません。PDFを印刷して手書きする。あるいはどこかに内容をコピーしてデジタルデータとして編集するなど、どうしても工程が多くなりがちです。PDFelementならば、この工程を効率化できます」と導入メリットを説明した。

 授業準備にもPDFelementは有用で、教材作成や提出されたPDFへの添削やフィードバック、PDFによる課題やアンケート調査にも活用できる。「先生方の働き方改革に寄与させていただければと考えています。PDFの直接編集はシンプルな操作性が好評で、たとえば個人情報を墨消しすることもできるので、学校での用途は広いと思います。もちろんPDFデータはWordやExcelなどにも変換できます。ブースにお立ち寄りくださった先生方は、業務を効率化するために、ぜひ導入したいといおっしゃっていました」(野原氏)

 PDFelementは1台のパソコンに1ライセンス。学生・教職員向けのアカデミックライセンスでは年ごとのサブスクのほか、永久ライセンスの買い切りプランが用意されており、学校での利用形態に合わせて選択できるのも導入検討しやすいのではないだろうか。

校務の効率化にも貢献する「PDFelement」
PDFelement

初心者から上級者まで対応した動画編集ソフト「Filmora」

 Filmoraは、初心者にも使いやすく、上級者にも十分な機能を備えた動画編集ソフト。直感的な操作で、動画や音声をドラッグ&ドロップでタイムラインに追加・編集・アウトプットすることができる。オープニングやクロージング、映像表現を豊かにするフィルターやオーバーレイ(画像を合成したときに明るさなどのバランスを調節する機能)、トランジション(動画をつなぎ合わせたときに、次のシーンへスムーズに移行させる機能)などのエフェクト(効果)や、著作権をクリアしたデジタル素材も多数組み込まれている。なおWindowsやMac、専用アプリでのタブレット利用とマルチデバイス対応となっている(Chromebookはカスタマイズすることで利用可能)。

 野原氏は「これからの時代を生きる子供たちは自己PRや発信・配信の機会が増え、ゼロベースから新たに生み出す創造性が求められています」と動画編集ソフトが求められている背景を話した。研究発表のビデオレポートやグループワークによるプレゼンテーション、視覚的なフィードバックと、授業や部活動など活用の場面は広がる。また、教員が簡単に教材の動画を作成できれば、よりわかりやすい授業につながることも期待できる。

説明をする法人営業部部長の野原利浩氏

 「Filmoraは今、子供たちの創造的な活動をメインに利用が進んでいますが、すべての教育機関や教育委員会の情報発信、生徒募集も含めた広報活動にも利用されています。大学などの専門性の高い機関では、理系の実習や建築のプレゼンテーションにも使っていただいています」(野原氏)

子供たちの創造性を引き出す「Filmora(フィモーラ)」は誰でもすぐに使える
動画のシナリオ構成の作成もAIがアシスト
Filmora

ブレインストーミングに有用なマインドマップ専用ソフト「EdrawMind」

 EdrawMindは情報整理やブレインストーミングに利用できるマインドマップ生成ツール。1ライセンスで合計5デバイスの利用で、グループワークにも活用できる。Microsoft Office、MindManager、XMindへのエクスポートとインポートが可能。Windows、Mac、Android、iOSなど複数のプラットフォームにも対応している。現在、高校や大学での導入が進むEdrawMindは、操作もシンプルで使いやすいといった声も寄せられているという。

 「あるテーマをグループでブレインストーミングして1つの解を導き出す、あるいは思考を整理して、どんどん枝分かれして深める授業も増えています。これまでは黒板に書いたり、ホワイトボードに付箋を貼ったりしていましたが、このEdrawMindならばデジタルで行える。またAIを実装しているので特定のキーワードやテーマを指定すると、AIが考えてマインドマップを展開します。日本人はこれまでディスカッションで自分から発信することがあまり得意ではないと言われてきましたが、こうした機能を使えば、子供たちだけで議論がスタートできなかったときにも、きっかけを発見することができますね」(野原氏)

キーワードを指定すると、AIがマインドマップを展開
EdrawMind

幅広いジャンルで豊富なテンプレートを搭載した作図&製図ソフト「EdrawMax」

 EdrawMaxは、フローチャートや各種図版を作成するためのソフト。教育現場では、理科の実験手順や数学・理科の図・グラフ、歴史の年表・地図などを簡単に作成できる。3D・フラット・手描き・絵画など多彩なスタイルで図形を描画、複数のユーザーが同時に作成することもできるため、効率的に作業を進められるという。

 学校をはじめとする教育機関で利用できる素材も充実しており、医学や物理、電気や建築など専門性の高い10,000以上の図形と4,000以上のテンプレートが使用できる。「国立の高等専門学校(国立高専)や工業高校でも導入いただいています。学校では化学や物理のテストを作るときにもお使いいただけます。地図などは行政機関が利用する場合もあります。今はマインドマップのEdrawMindとEdrawMaxのセット購入がもっとも人気です」(野原氏)

理科などのテスト作成にも便利な「EdrawMax」
EdrawMax

子供たちのクリエイティブな活動を支援するAI機能

 Wondershareではいち早く、自社製品のAI技術活用に取り組んだ。紹介した4製品でも、自動化されたタスク処理や言語処理、音声・映像の認識、自動翻訳などを実現。全製品に搭載されたAIによるガイドから、操作方法を教えてもらうことも可能になった。映像編集ソフトFilmoraでは、AIとのやり取りでシナリオの構成が考えられ、自動的にノイズカットや動画の尺を音楽に合わせて調整することもできる。

 「今後はAIによって、さらに子供たちと先生方が教育活動に集中できるよう、またより効果的な学習を促進したいです。ご紹介したEdrawMindのように、AIの支援を得て子供たちがよりクリエイティブな教育活動に進むことができると思います」(野原氏)

コスパとスピードを併せ持った最新技術で教育現場に貢献

 EDIX関西でのWondershareのブースには、先生方が絶えず訪れていたが、それは総じてFilmoraの知名度の高さによるものだという。実際にブースにいらした先生からは「Filmoraを使っています」という声が多く聞かれた。またこのEDIX関西では、特にEdrawMindに先生方の注目が集まっていたと野原氏は振り返る。「特に高校の先生方がロジカルシンキングを導くマインドマップに興味をおもちでした。高校では『総合的な探究の時間』もあり、課題の発見や解決を考えていくきっかけづくりやグループワークも増えていることが背景だと思います」(野原氏)

 また野原氏は、今後の教育現場のデジタル化に向けて「まずは市場より1歩、2歩先んじてコストパフォーマンスが良いもの、最新の技術をスピーディに投入し、デジタル化が進む教育現場を支援したいと考えています」と抱負を語った。

 Wondershareは、紙などの物理的な資料を削減し、環境にも優しい持続可能な教育の実現を目指している。先生方が授業準備を効率的に行い、より良い授業を実践すること。また子供たちが多様な学習マテリアルにアクセスすることで、安心安全なデジタル空間での参加型学習環境を整えることも視野に入れている。「子供たちや先生方により使いやすく。我々はシンプルな操作性を常に考えています。また学校のセキュリティなどの環境面や教育委員会の予算確保の状況に合わせて、買い切りのバージョンやオフラインでインストールが可能なメディアなど、さまざまな納入形態をご用意しています」(野原氏)

家庭での利用で子供たちの創造的な活動が広がる

 現在、AIを含めたテクノロジーと教育の動向は保護者の関心も高い。ICTが身近になってきたとはいえ、学校で利用してこなかった世代には、なかなか理解できない面もあるだろう。Wondershareの製品は家庭のPCやタブレットにもインストールが可能で、どのような機能が役立つかを知ることもできる。

 「たとえば、日頃の学習活動や夏休みの課題などで、ご家庭でWondershareの製品を利用することも考えられます。自由研究などのテーマを発見するときにEdrawMindのマインドマップをいろいろと試してみる。すると、情報や思考が整理されて子供たちには新たな課題の発見が生まれるかもしれません。また実際に資料をまとめるにもEdrawMaxならば多彩な表現ができますし、さまざまな活動で撮影した動画をFilmoraで編集すれば、創造的な活動にもつながります」(野原氏)

教育関係者で賑わうEDIX関西のWondershareブース

 Wondershareは今年、新しいプレゼンテーションソフトをリリースする予定だという。AI機能と多彩なテンプレートや視覚的な効果を搭載するプレゼンソフトは、子供たちの表現の幅を広げ、先生方によるわかりやすい教材作成も可能にする。Wondershareの今後の動向に期待が高まる。

《佐久間武》

佐久間武

早稲田大学教育学部卒。金融・公共マーケティングやEdTech、電子書籍のプロデュースなどを経て、2016年より「ReseMom」で教育ライターとして取材、執筆。中学から大学までの学習相談をはじめ社会人向け教育研修等の教育関連企画のコンサルやコーディネーターとしても活動中。

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