幼稚園・保育所の実態と課題が浮き彫りに…ベネッセ次世代育成研究所が調査
ベネッセコーポレーションのシンクタンクである「ベネッセ次世代育成研究所」は4月17日、「第2回 幼児教育・保育についての基本調査」報告会を開催した。
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3つめの要点としてあげられたのが、保育者の非正規雇用率の高さである。特に国公立の幼稚園・保育所では、前者が47.1%、後者が54.2%とどちらも約半数を占める。背景には、施設運営費が一般財源化されたことにより、人件費の捻出がより難しくなっていることなどがある。真田氏は、「保育の長時間化などの側面を考えると、一概に非正規雇用の増加が悪いとも断定できない。研修期間がとれないなど、専門性を上がりにくくしている要因は取り除くべき」と補足した。
4つめは、保育者の質の向上のためには何が必要かだ。私立幼稚園・保育所の約8割が「保育者の待遇改善」を選択したことがあげられた。私立幼稚園では77.2%、私営保育所では83.4%が回答している。さらに全体では「養成過程の教育内容の充実」(66.2%)、「保育者同士が学び合う園の風土づくり」(61.9%)の順で高ポイントとなっており、保育者育成のために園内外での多様な取組みが求められていることが明らかとなった。
3、4点めについて後藤氏は「保育の量的な拡大は引き続き必要。しかし、それだけでは十分とは言えません。保育者が安心して働ける労働条件の改善や、専門性を高めるための研修機会の保障など、多様な取組みを通した保育環境の質の充実も大切」とコメント。ひいてはそれが、子育て世代が安心してわが子をあずけられる園が増えることにもつながるとした。
締めくくりに、無藤氏が本調査に関して「全国規模で幼稚園・保育園をサンプリングしており、ひとつの調査の中で幼稚園、保育所、認定こども園を比較できるというのが今までにない点」とした。さらに、昨年8月に制定され本年度から実施される「子ども・子育て関連3法」や、関連3法を受けて間もなく始まる「子ども・子育て会議」にも触れ、施策の検討にあたっては本調査の結果も十分参考にし、子どもが家庭や園でよりよく学び、育つための環境整備が進められることを期待するとした。
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