「人生に意味が生まれる」大学教育がアジアの女性にもたらすもの
アジア女子大学によるファンドレイジングイベントが、4月22日に草月会館にて開催された。女子教育をテーマとしたドキュメンタリー映画「Girl Rising-少女たちの挑戦-」が上映され、その後にアジア女子大学の第一期卒業生によるスピーチが行われた。
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衣食住もままならない国に生まれながら、また社会的理解も得られない中でも、哲学から経済まで幅広い高等教育を受けた彼女たち。大学を卒業する彼女たちは今、教育の価値をどのように認識しているのだろうか。
教育の意義を語るうえでポイントとなるのは“自立”にあると話すのはキムスルーさん。「教育は私を自立させ、自立することで家族を助けられる。そして社会を助けられる。人生に意味が生まれる。」と語った。
カマラさんは「教育の価値は本を読んで知識を得ることに留まらず、直面する現実や現実の問題に対処する方法を探す術を学ぶことにある」と話す。また、大学生活で得たこととして、困難に立ち向かい、正しいことを行う姿勢をあげた。高校までの教育は先生の話を丸暗記する勉強であって、手を挙げて間違いを指摘することなど考えられなかったと言う。しかし大学での教育は主体的に考えることが許される点で異なる意義を有するのだと言う。
教育を受けた今だから、「間違ったことにはノーと、正しいことにはイエスと言える。それがたとえ“私一人”であろうとも」と力強く語る。
また自身が受けた教育は間接的に家族に伝播すると述べ、教育の及ぼす影響の広さも指摘した。
◆将来の夢は「母国を変えるチェンジメイカーになりたい」
二人は卒業後大学院に進学する予定だが、彼女らの心には、その先の夢がすでに描かれているようだ。
キムスルーさんの夢は、カンボジアの社会を変える“チェンジメイカー”となること。教育学修士を取得したら帰国して、教育の機会の改善に尽くしたいと語る。
カマラさんの夢は、出稼ぎ労働者の問題に取り組むこと。「出稼ぎ労働者たちは、お金をもってネパールに戻ってくるが、それをどのように投資していいかのアイデアがない。私は彼らのためにソーシャルビジネスを立ち上げ、彼らがふたたび出稼ぎに出なくていいように助けたい」と話す。彼女は現在、韓国・梨花女子大学の修士コースで学びながら、アジア財団でのインターンもこなしている。
最後に、カマラさんは変化を起こす当事者としての自覚を、バラク・オバマ大統領の言葉を借りながら表現し、スピーチを締めた。
「誰かがしてくれるだろう、いつかそうなるだろうと待っていたら、変化は訪れない。私たちが待っているのは自分自身。変化を起こすのは私たち自身だ。」
その後、支援企業のひとつであるフィアット クライスラー ジャパンのティツィアナ・アランプレセ(Tiziana Alamprese)氏が、卒業生への祝辞と寄付の呼びかけを行い、イベントは幕を閉じた。
なお、現在フィアットのみならず、アジア女子大学を支援する企業や財団は増えてきているという。
現地(バングラディッシュ)ではグラミン銀行、日本企業ではユニクロ、日立、三菱商事、電通をはじめ多くの企業がパートナーとなった。また安倍総理夫人の安倍昭恵氏も昨年パトロンとなり、同イベントにビデオ出演した。
《北原梨津子》
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