英語オンリーのアフタースクール、表現力・創造性・論理思考を育成

 東京インターナショナルスクール センター南アフタースクールは、グローバル人材をそだてるため、国際バカロレアの教育理念を受け継いだ独特なカリキュラムを提供するアフタースクール。子どもたちがどのように過ごしているのか、概要をレポートする。

教育・受験 学習
教室のひとつ
教室のひとつ 全 14 枚 拡大写真
 16時からはキネステティックと呼ばれる身体を使ったゲームやダンスをしたりする時間だ。歌やゲームなどを通じて子どもたちが感情や行動を制御する力を身に付けることを目的としており、この日はブロックを使った色の遊び、風船を使ったゲームなどが行われた。ブロックの色を選び、部屋の中の同じ色のものを探すゲームを通して、色の呼び名を自然に把握することができる内容だった。

 教師と生徒はなにげない会話をしているようだが、文法や発音のチェックも怠らない。御礼をいうときも「Thank you」だけでなく相手に敬意を払うように「Thank you ○○.」と名前を付けるなど、ネイティブならではの細かい指導がなされていた。

 17時からはランゲージストラテジーの時間だ。これは一般的な英語のレッスンと似ており、アルファベットの書き方、単語などが教えられていた。アフタースクールのクラス編成は、生徒が興味関心を持ち好奇心を刺激できるよう、発達段階(学年)に応じたものになっているが、この時間帯のみ英語のスキル別になっている。現在は英語力にあまり差がない小学1年生と2年生のため全員一緒に学んでいるが、各人の英語スキルに差があればレベル分けのレッスンにしたり、スキルの高い子どもは先生のアシスタントをしたりすることもあるようだ。

 17時半になるとストーリーテリングの時間となり、教師が絵本の読み聞かせをしながら、内容の質問をしたり、感想や考えを生徒に話してもらったりしていた。これは教師の英語を理解するだけでなく、自分の考えや意見を英語で伝える訓練にもなっているという。絵本や物語は、知識が身に付くだけでなく、想像力や世界観を広げるにも有効だが、これを英語でも体験できるというのは貴重だろう。

 18時からは曜日ごとにテーマの決まった探究プログラムだ。取材日のテーマは「アート」だった。SEASON POTを作るという課題で、石膏で四角いクッキージャーのようなものを作っており、この日は色付けを行っていた。SEASON POTなので、教室のボードには四季の名前と、それぞれの季節に特徴的な動植物、イベントなどが書かれていた。自分の好きな季節を選んで、それをイメージしたポットを作るわけだが、なにをイメージしてどんな色を使うか、生徒は自分で考え、選んでいた。

 探究プログラムは19時で終了となる。その後はスタッフによる学童保育サービスの時間だ。この時間に夕食が出され、宿題や各生徒の個性にあわせたプログラムなどを行う。預かり時間は21時までなので、保護者は19時以降、各自の都合で迎えに来る。

 アクティビティの合間にセンター南アフタースクールのヘッドティーチャー、サム・コンドウ氏にも話を聞いた。7年間日本のインターナショナルの幼稚園で先生をしたあと、このスクールにやってきたそうだ。授業で気を付けていることは、「幼稚園での勉強や指導と違い、フラッシュカードやものごとを暗記させるのではなく、会話や遊びの中で自然に知識やスキルを身に付けてもらうこと」だそうだ。強制するのではなく、自然に家でも英語がでてくるような英語学習を目指している。

 また、最初は言葉が通じない子どもを相手にするため、会話や指導には繰り返しとオーバー気味のアクションも重要だという。単語や正しい英語を身に付けてもらいたいと考えるから、ボディランゲージを駆使しながらも、単語や表現はあまりブレないようにしているそうだ。たとえば、トイレは「Toilet」「Restroom」「Bathroom」なのか、呼び方をスタッフの間でも統一している。なにかをお願いするときも「Can I」ではなく「May I」を使うようになど、お互いを尊敬しあう英語の利用を促している。

 アクティビティそのものは、ゲームをしたりお絵かきをしたりと特別なことをしているようには見えないが、細部は非常に考えられている。各教師の授業プランは必ず本部トレーナーのチェックが入り、どのプログラムも目的が設定されているという。

 アフタースクールは、週3日から5日までのコースが用意されている。月額授業料はおよそ6万円から9万円台で、送迎と食事付きの学童保育にグローバルスキル+英語力という内容だ。

 また、週1回アクティビティのみを受講できるLTEコース(90分コース、110分コース、3時間コース)もあり、これは月4回の参加で2万円前後の設定となっている。また、7月22日から8月29日までの夏休み期間は、年長から小学3年生までを対象としたサマースクールも開催され、英語ネイティブ教師とともに1週間でひとつのテーマを探求する内容となっている。

 たとえば、7月28日からの第2週は「アニメーション」がテーマとなっており、有名なアニメ・映画について学ぶほか、アニメ制作にも挑戦できるという。「科学技術」をテーマにした第3週は、実験を通じて暮らしを支える科学技術の世界を探求する。そのほか、「神話と伝説」「デザインの世界」「旅行&観光」「ゲーム・おもちゃ」をテーマにした週も提供。時間は10時から15時までの5時間だが、8時から21時までの預かりサービスも提供するという。

 なお、サマースクールには1日単位で参加が可能、1日の定員は30名となっている。申込みの締め切りは7月4日の19時となっている。
  1. «
  2. 1
  3. 2

《中尾真二》

中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。エレクトロニクス、コンピュータの専門知識を活かし、セキュリティ、オートモーティブ、教育関係と幅広いメディアで取材・執筆活動を展開。ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から使っている。

+ 続きを読む

【注目の記事】

この記事の写真

/

特集