【子どものアレルギー4】身近な食材「にんにく」「ねぎ」が咳・腹痛の原因に?
にんにくを食べると咳が出る、腹痛、下痢などのアレルギーをおこす子どももいる。アレルギーに関する情報サービス「クミタス」を運営するウィルモアの石川麻由社長に、身近な食材のアレルギー症状について聞いた。
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◆場合により1日以上症状が続くことも…にんにくに含まれる成分の特徴
にんにくを切る・すりおろす・潰すなどすると、にんにくに含まれる「アリイン」と、酵素「アリナーゼ」が反応し、硫黄性化合物の「アリシン」が生成されます。
「アリシン」は分解されると硫黄化合物の「ジアリルジスルフィド」となり、「ジアリルジスルフィド」が酸化すると「アリシン」に戻ります。「アリシン」からは、「ジアリルトリスルフィド」、「アホエン」などの硫黄化合物も発生し、「ジアリルジスルフィド」はアレルゲンになると考えられている物質で、「ジアリルトリスルフィド」は、抗がん作用が報告されています。
また、ほかに以下の効果も期待されています。
・アリシンを加熱してできる「アホエン」には、強い抗血栓作用やコレステロール抑制作用がある
・動脈硬化を予防し血液をサラサラにしてくれる。血行がよくなり肩こりや冷え症、神経痛などにも効果がある
・大腸を刺激し便秘や下痢などを改善する整腸作用がある。胃の粘膜を刺激し胃液の分泌を促す
・肝臓の細胞を活性化するはたらきがある
・脳神経を刺激し血圧を安定させる
◆にんにくの抗菌・殺菌作用による下痢
にんにくの匂い成分の素でもある「アリシン」には、強い抗菌・殺菌作用があり、コレラ菌、チフス菌、赤痢菌、院内感染の原因菌となることもあるMRSA、大腸菌O-157への抵抗性・殺菌性があるとの報告もあります。アリシンのもつカビ、細菌、微生物への成長阻害性はとても有用なのですが、腸内の有益な細菌をも殺してしまう強さがあります。そのため、人によっては胃、腸の荒れ、腹痛、下痢といった症状が誘発されることもあります。ラーメン、焼肉、キムチを食べたら胃痛がある、下痢をするといった症状は、にんにくが原因の可能性もあります。
◆アリシン量の調理による変化、品種差
「アリシン」はビタミンB1と結びつくと「アリチアミン」という新しい物質に変化します。「アリチアミン」にもにんにくの香り、抗菌・殺菌作用がありますが、すりおろした生にんにくよりは低くなります。
また、嘉定種などの暖地系品種の方がアリシン産生量がより高いとの報告もあります。「アリシン」を多く含むのはにんにくですが、そのほかに、ねぎ、玉ねぎ、ニラなどのユリ科ネギ属の植物にも含まれています。
◆摂取量の調整を
「アリシン」は水溶性のため、カット、潰したにんにくを軽く水で洗うことでも「アリシン」量を減らすことはできますが、にんにくの抗菌・殺菌作用を少なくすることにはなるものの、硫黄性化合物の生成量も減ることになり、硫黄性化合物によるほかの効果も低くなります。
にんにくを摂取して腹痛、下痢が起こる方においては、空腹時の摂取は避け、どの程度の量で症状が出るかを確認しながら、家庭での摂取量を調整されると良いでしょう。
《編集部》
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