【高校受験2016】東京都立トップ校は記述力と読解力がカギ…SAPIX中学部

 東京都では、近年公立高校の人気が高く、特に進学指導重点校に注目が集まっている。平成28(2016)年におけるこれらトップ高校の入試予想および、入試当日までのアドバイスなどを、SAPIX中学部 教育情報センター部長の高橋淳氏に聞いた。

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SAPIX中学部 教育情報センター部長、高橋淳氏
SAPIX中学部 教育情報センター部長、高橋淳氏 全 4 枚 拡大写真
◆首都圏であれば複数校の受験が可能

--これまでのSAPIXの生徒さんで、印象に残ったエピソードはありますか。

 中1から通っていて、マンスリーテストでは良い成績をとれるのに、実力を試すサピックスオープンには弱いという生徒さんがいました。ところが、中1からコツコツまじめにやっていた成果が出て、最終的に女子の最難関である慶應義塾女子高等学校に合格したのが印象的でした。

 ほかには、都立国立高校に合格した生徒さんですね。1月末の国立(くにたち)の推薦に落ちてしまいかなり落ち込んでいたのですが、その後奮起して一般入試で合格しました。都立高校を目指す場合、3月頭の発表までの長丁場になります。その途中で私立や国立(こくりつ)に受かって受験が終わっていく生徒を多々目にして、不安と戦いながら過ごすわけです。推薦を落ちても立ち直り、見事合格をつかんだのは、とても立派でしたね。

--何校ぐらい受験するのでしょうか。

 SAPIXの生徒の場合、平均6~7校受験しています。帰国生はもっと枠が広がりますので、帰国枠もカウントすると10校以上受験する生徒もいます。これは、近県の学校にも通える首都圏のみの特徴です。

--公立のトップ校を目指す場合でも、同レベルの私立トップ校や、併願校も受けるため、受験数が増えるということでしょうか。

 2校のみの受験では、もし第一志望がだめだった場合、併願校に通うことになります。第一志望に近い良い学校が首都圏は多数あり、受験日も違いますので、選択肢を複数もつことが可能です。

--併願が多い分、辞退も多いのでしょうか。

 トップの公立高校を受験する生徒は、私立と併願していても、都立を第一志望にしていることが多いため、合格してからの辞退はそんなに多くはありません。ただし、事前に私立や国立に受かったため、入試を欠席するというケースは多いです。特に難関の都立ほど当日の欠席者が多い傾向にあります。

◆高校受験は自分を成長させる機会でもある

--高校受験に向けてどのような取組みをしているのでしょうか。

 高校受験のためだけではなく、入学後の未来に向けて学習をすることを勧めています。実際、SAPIX出身の生徒は、高校入学後も学力が伸びるケースが多いと言われます。それは、目先のテクニックだけに頼らず、本来の力を身につけられるような学習方法の賜物だと思っています。

 SAPIX中学部は、首都圏を中心に全国で25校舎と少ないながら、高い合格実績を出しています。グループ作成問題で重視されている記述力には従来から力を入れておりました。

 中1、中2では5科または3科で幅広く学習し、中3では「SS特訓」のほか、ゴールデンウィークに行う「GS特訓」で志望校対策の授業も実施します。

 高校受験は長丁場になりますので、生徒たちのケアも含めた受験指導を考えています。受験シーズンに入ったら、生徒には「入試結果が出たら、必ずSAPIXに寄りなさい」と声掛けしています。特に、不合格だった場合にこそ寄ってほしいですね。

 卒業生の保護者の方からは、高校受験の成果として「主体性が増した」「自己管理ができるようになった」といった声も聞かれます。高校受験は、自分の将来の進路を決める第一歩であるとともに、受験を通して成長する大切な機会ともいえるでしょう。

--ありがとうございました。

◆2016年東京都公立高校入試スケジュール
<一次および分割前期>
 願書受付:2016年2月4日~5日
 志願変更:2016年2月15日~16日
 学力検査:2016年2月24日
 合格発表:2016年3月2日
<分割後期>
 願書受付:2016年3月7日
 志願変更:2016年3月8日~9日
 学力検査:2016年3月10日
 合格発表:2016年3月16日
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《相川いずみ》

教育ライター/編集者 相川いずみ

「週刊アスキー」編集部を経て、現在は教育ライターとして、ICT活用、プログラミング、中学受験、育児等をテーマに全国の教育現場で取材・執筆を行う。渋谷区で子ども向けプログラミング教室を主宰するほか、区立中学校でファシリテーターを務める。Google 認定教育者 レベル2(2021年~)。著書に『“toio”であそぶ!まなぶ!ロボットプログラミング』がある。

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