11/14夜8時20分「スーパームーン」 68年ぶりの近さに疑問
11月14日(月)の月は「スーパームーン」。天文学の正式な用語ではないため定義ははっきりしないが、通常の満月より大きく見え、今年の満月のうちで最大とされていることから注目されている。観察に適した時刻や場所はどこだろうか。
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◆スーパームーンとは
国立天文台によると、「スーパームーン」とは天文学の正式な用語ではなく、定義もはっきりしていない。ただし、通常の月よりも大きく見えることから観察に期待が集まっており、ネット上では「今年(2016年)最大の満月らしい」と話題だ。
◆なぜ大きく見える?
アストロアーツによると、月の公転軌道は楕円であるため、月と地球との距離は約36万kmから40万kmの間で変化する。そのため、最接近のタイミングと満月となるタイミングが近いと、月が大きく見える仕組み。国立天文台によると、最大の満月は最少の満月と比べ直径で14%、面積で約30%大きい。しかし、月の大きさを何か月も正確に記憶しておくことは難しく、「今日の月は大きい」とはっきり感じ取ることは困難かもしれない。
そもそも、「今日の月は小さいな」「大きいな」と感じるのは“錯覚”の一種。夕方に昇ってきたばかりの月をとても大きいと感じることはないだろうか。国立天文台は、この月や太陽が地平線(水平線)近くにあるときに大きく見える現象は「目の錯覚によるもの」としているが、なぜこのような錯覚が起こるのかについては未解明だという。
◆68年ぶりの近さ!? 観察に適した時間は?
とは言え、錯覚だとわかっていても大きな満月を確認したい場合はどうすればいいのか。アストロアーツは、2016年11月14日(月)の月の最接近タイミングは午後8時20分ごろとしている。月が地球に約35.7万kmまで最接近し、その約2時間半後の22時50分ごろにちょうど満月になるという。
アストロアーツが1900年からの満月を距離が近い順に並べた「満月の近さランキング」によると、2016年のスーパームーンの距離は35万6,521km。この距離は1912年1月の35万6,375km、1930年1月の35万6,405km、1948年1月の35万6,490kmの次に近く、1948年との差は約30km。「68年ぶりの近さ」「68年ぶりの大きさ」と称されているのは、この1948年と比較してのことである。
国立天文台はこの「68年ぶり」との意味が一人歩きしている現状にコメント。月を地平線近くで見るか、天頂近くで見るかによって観察者から月までの距離は約6,400km違うことは話題にならず、約30kmの「小さな差」が取り上げられるのは「やや不思議な感じがしませんか」と疑問を呈している。そもそも、満月の近さランキングを見ると、1972年11月は35万6,524km、1993年3月は35万6,530kmと、近年でも今年同様の近さが観測されている。
スーパームーン、ブルームーン、ピンクムーン…月の呼び方はさまざまだが、呼び名だけではなく、天体現象をきっかけとした宇宙の秘密も学んでみてはいかがだろうか。
《佐藤亜希》
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