パソコンに接続して投影する、文字を書くという従来の機能だけに止まらない、進化を遂げた最新のプロダクトをピックアップして紹介する。
既存のテレビを電子黒板に:エルモ「つたエルモん」
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画像:エルモ「つたエルモん」
電子黒板の導入に際して、悩ましいのが既存のテレビや黒板の扱いである。仮に新しい電子黒板に総入れ替えしようとすると、その経費たるや膨大なものだ。その悩みを解決するため、エルモはユニット型電子黒板「つたエルモん」を展示していた。既存のテレビの上部に小型のセンサーを取り付け、USB受信機をパソコンにセットするだけで、画面がタッチパネル化するというもの。後付けの装置のみなので、既存の資産を活用することができるうえに、手の届きやすい価格帯が提示されている。付属の電子黒板化ソフト「EIT(Elmo Interactive Toolbox)」をパソコンにインストールすれば、画面の拡大、描画、保存、再生などの操作が可能になり、電子黒板として使用できる。
筆圧を認識して操作も表現も自由自在:NaRiKa「CyBoard」
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画像:NaRiKa「CyBoard」
複数のタッチを認識してくれる機能はほかの出展ブースでも見られたが、NaRiKaの「CyBoard」のデュアルペン機能は、その先を行くもの。使用開始時に、ペン・指それぞれの筆圧を登録をすることで、別の入力ツールであることを認識させる。たとえば1人で板書をする際に、従来は都度ペン・消しゴムの機能切り替えを行わなければいけなかったものを、ペンで書き、指で消すといった使い分けが可能なので、直感的な動きができる。さらに筆圧情報認識機能があることで、タッチの繊細な強弱を識別できる。そのため、ペンを使ってトメ・ハネ・ハライを表現することも可能だ。
韓国発、座標で読むタッチスクリーン:イー・ジー システム「SmartSheet」
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画像:イージーシステム「SmartSheet」
韓国発の電子黒板メーカー、イー・ジー システムのブースで紹介されていたのは、壁面に貼り付けるだけで使用できるスクリーン「SmartSheet」と、タッチペン「SmartPen Blue」。スクリーンをよく見ると細かい座標が印字されており、それによってスクリーン上に書いた文字を認識し、Bluetoothを経由してパソコンに保存できる。購入者専用のページからは、同じように座標が印字されたA4サイズのシートをダウンロードでき、入力を切り替えることで、そのシートに書いた情報も認識できる。韓国国内では小学校、大学、塾など、すでに約300校、3,000教室で導入されているという。
世界に追いつけ追い越せ:シャープの4Kタッチディスプレイ「BIG PAD」
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画像:シャープ「BIG PAD」
シャープによると、「世界の電子黒板はすでに4Kが主流」。世界に遅れを取るまいと、ブース内では最新のタッチディスプレイ「BIG PAD」を紹介していた。4K解像度で鮮やかな画面であることはもちろん、指やペンが触れた時点で初めてタッチを検出する静電容量方式タッチパネルを採用しているため、タッチペンでの操作も正確でスムーズだ。緻密な作業を行う建築設計やデザインの現場への導入事例も多い。2017年にはグッドデザイン賞も受賞している。
「目に優しい」のが新しい:BenQ「インタラクティブ・フラットパネル RPシリーズ」
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画像:BenQ「インタラクティブ・フラットパネルRPシリーズ」
「健康を大切に考えるデジタル学習デバイス」というキャッチコピーに誘われて立ち寄ったBenQブースで見つけたのは「インタラクティブ・フラットパネル RPシリーズ」。普段は「あたりまえ」すぎて気づかない要素を盛り込んだ、体に優しいICT機器だ。スクリーン表面を銀ナノイオン物質を多層コーティングする抗菌仕様で、タッチスクリーンの清潔さを保ってくれるだけでなく、液晶ディスプレイのバックライトのちらつきを抑制するフリッカーフリー機能、ブルーライト軽減機能も搭載している。最新の機器というと、つい操作方法や機能の新規性にばかり注目しがち。そのなかで、液晶ディスプレイを長時間使用することで起こるとされる、眼精疲労や睡眠障害に着目し、「子どもや教員の健康を守る」という視点は新鮮に感じた。
ICT環境を楽々持ち歩き:日立コンシューマ・マーケティング ポータブルタッチスクリーン「TS-01J」
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画像:日立コンシューマ・マーケティング「TS-01J」
日立コンシューマ・マーケティングのブースでは、小型プロジェクター「SMART PROJECTOR(SP-1J)」とポータブルタッチスクリーン「TS-01J」を展示。「SMART PROJECTOR」自体は2016年に販売を開始したポータブルの超短投写プロジェクターで、重さ1.2kgの本体から至近距離で投影が可能だ。今回の展示での新規性は、2018年5月8日にリリースしたポータブルタッチスクリーンをあわせて使用することで、外出先でも快適なICT環境が構築できるというもの。二つ折りのバックタイプで持ち運びしやすいだけではなく、映し出された情報に指やタッチペンで描画し、それを画像として保存できるなど、タッチスクリーンとしての最新の機能も十分に備えている。
老舗が示す、電子黒板の未来:サカワ「Josyu(ジョシュ)α版」
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画像:サカワ「Josyu(ジョシュ)α版」
会場の中で多くの人が足を止めていたのが、老舗黒板メーカーのサカワの展示ブース。2018年5月15日に発表したばかりの授業AIアシスタント「Josyu(ジョシュ)α版」のデモンストレーションを行っていた。教師役のスタッフの発話をリアルタイムでドキュメンテーションしたり、繰り返し使用された「重要単語」をラインナップして表示したり、関連するものをAIが分析し画像検索したり、授業の終わりには自動的にまとめ資料やテストを作成してくれたりと、夢と驚きが詰まった未来の黒板に聴衆一同感心。5月17日現在、サカワでは無料体験の希望や、導入モデル校を募っており、商品化に向けて動き出している。
【番外編】某おもちゃを思い出さずにはいられない:テクニカルアーティスト「電光こども黒板」
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画像:テクニカルアーティスト「電光こども黒板」
番外編として紹介したいのが、テクニカルアーティストの「電光こども黒板」。スクリーン上に配された1万4,000~70万個(商品のサイズによって異なる)もの穴に小さな金属のボールがはめてあり、指やペン、筆などで触るとそのボールが外れ、背面から当てられた光が穴を通って表に見えるようになる。その光によってまるで描いたように感じられる仕組みだ。描いたものを「消す」際には、磁石のついたイレイサーで触れることで再びボールが穴にはまり、光を遮断してくれる。大人にとっても幼い頃落書きして遊んだ某おもちゃを連想させ、どこか懐かしさを感じる商品。就学前教育を対象とし、保育園や幼稚園への導入を目指すとしている。
ひとくちに電子黒板・プロジェクターといっても、そのスペックはさまざま。教育現場は、自治体ごと、学校ごとに予算や施工場所といった状況がそれぞれ異なる。最新の技術だけが一人歩きしてしまうことのないよう、各々ふさわしいプロダクトを導入するための冷静な判断が必要だ。多様な現場に対応できるよう、産業界には今後もバラエティ豊かなプロダクトの開発を期待したい。