今回の研究成果は、2018年9月7日にスイスの国際学術雑誌「Frontiers in Psychology」に掲載された。
京都大学大学院文学研究科 板倉昭二教授らのグループによると、赤ちゃんは「公平感」に対して高い感受性を持つことが示されている。これまでの研究ではたとえば、物を2人に分配する際に、赤ちゃんはその物が公平に分配されることを期待していることがわかっているという。また、赤ちゃんは自分が予期しない場面を見た場合、その事象を見る時間が長くなることが知られている。
同グループはこの「公平感」の知覚について、イタリアのトレントン大学、スウェーデンのエーテボリ大学らのグループと合同で検討を行った。
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京都大学 研究成果 実験で赤ちゃんに見せた場面
研究では、黄色い三角形がオレンジ色の円を助けてあげる場面と、青い四角形がオレンジ色の円の邪魔をする場面を見せたのち、それぞれの図形がイチゴをほかの図形に分配する場面を見せた。
実験の結果、良いことをした図形が不公平に分配すると、赤ちゃんはそれを長く見たという。その一方で、悪いことをした図形がどのように分配しても、見る時間には差が見られなかった。
この結果から、研究グループは赤ちゃんが「良いことをする者は、公平に分配することを予期している」と分析。他者の利益をもたらすような行動を指す「向社会行動」の理解が、早い時期に生起していることが示されたと述べている。今後は赤ちゃんにおけるそのほかの向社会行動と「公平性」をどのように関連づけるのかを調べていきたいとしている。