学校の働き方改革、残業時間上限は月45時間…中教審が答申

 中央教育審議会は2019年1月25日、学校における働き方改革の方策を文部科学省の柴山昌彦大臣に答申した。同日策定したガイドラインでは、教員の残業時間の上限目安を月45時間、年360時間と定め、答申には「上限ガイドラインの実効性を高めることが重要」と明記している。

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学校における働き方改革に関する総合的な方策パッケージ工程表
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 中央教育審議会は2019年1月25日、学校における働き方改革の方策を文部科学省の柴山昌彦大臣に答申した。同日策定したガイドラインでは、教員の残業時間の上限目安を月45時間、年360時間と定め、答申には「上限ガイドラインの実効性を高めることが重要」と明記している。

 「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」は、中央教育審議会による中間まとめの提言を受けて1月25日に策定。同日の中央教育審議会による答申「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」にも添えられた。

 ガイドラインでは、教員の残業時間の上限の目安時間を「1か月45時間」「1年間360時間」と規定。実効性を担保するため、服務監督権者である教育委員会にガイドラインを参考にした公立学校教員の勤務時間上限に関する方針策定などを求めている。

 また、働き方改革推進法の改正により、客観的な方法での勤務時間の把握が事業者の義務として明確化されたことを踏まえ、在校時間はICT活用やタイムカードなどで客観的に計測することとした。

 一方、答申やガイドラインでは、上限目安時間の遵守を形式的に行うことが目的化することを危惧。「実際より短い虚偽の時間を記録に残す、または残させたりすることがあってはならない」と記した。ガイドラインには「上限の目安時間を守るためだけに自宅などに持ち帰って業務を行う時間が増加してしまうことは、本ガイドラインのそもそもの趣旨に反するものであり、厳に避けること」との記述もある。

 このほか、答申では勤務時間制度の改革として、「1年単位の変形労働時間制」の導入も提言。学期中と長期休業期間とで繁閑の差が存在する教員の勤務態様を踏まえ、一定期間集中した休日の確保が可能となる「1年単位の変形労働時間制」を適用できるよう法制度上措置すべきとした。

 答申では、学校における働き方改革の諸施策実施による勤務時間縮減の目安も列挙。登校時間の見直し、学校徴収金の徴収・管理事務の負担軽減、外部人材の参画、部活動指導時間の適正化などによる縮減効果例を具体的に示している。

《奥山直美》

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