公立は2月・3月と2回のチャンス
--滋賀県の公立高校入試の特徴について教えてください。
滋賀県では2月と3月の2回、入試があることが特徴です。2020年度は2月5日と6日に特色選抜および推薦選抜が実施されます。特色選抜では総合問題I(文系科目)、総合問題II(理系科目)、小論文の検査が実施されます。推薦選抜では、面接、作文、実技を課す学校が多いです。
特色選抜、推薦選抜では定員の30~50%程度の募集をする高校が多数です。2月の入試に合格すると、その高校に進学することになるので、2月は必然的に第1志望校を受験することになります。
一般選抜の学力検査は3月10日と11日、5教科(英語・数学・国語・理科・社会)の試験が行われます。内申点の割合は30%、40%、50%と、学校によって異なります。多くの進学校の内申点の比率は30%となっており、当日点重視の傾向です。
--絶対評価になり、内申点で学力を測ることが難しくなっていると聞きますが、滋賀県ではいかがでしょうか。
中学校によって内申点の付け方が異なるので、たしかに、同じ内申点でも実力差はありますね。内申点が高くなりやすい学校とそうでない学校がありますし、学校ごとに定期テストの難易度も異なります。
--難関校は内申をあまり重視せず、当日の試験の点数を重視するという傾向でしょうか。
はい、そのとおりだと思います。しかし、実際に受験した生徒を見ていると、内申点もおろそかにはできません。当日の点数が重視されるとはいえ、内申点で合否が逆転することもあります。
記述式が多く対策が必要
--出題傾向はいかがでしょうか。
特色選抜も一般選抜もどちらも記述式問題が多いことが大きな特徴です。単純な知識だけを問うような問題はほぼありません。
--以前から滋賀県の入試はそのような傾向だったのでしょうか。
この10年くらいで大きく変わってきましたね。以前はやや簡単な出題内容でした。たとえば理科の記述問題も、以前はほんの一部だったのが、今は半分程度を占めています。そのような傾向は全教科で見られますね。現在では滋賀県の一般入試の問題レベルは全国的に見ても難しいと思います。特色選抜はさらに記述問題が多いのでこちらも難度は高いと思います。
特色選抜は多くの進学校で採用されています。特色選抜の定員は募集定員の3割程度です。倍率も3~4倍と高倍率になりますが、積極的にチャレンジしてほしいですね。
--滋賀県の入試問題は記述式が多くて難しいということで、大学入試改革の先取り感がありますね。
滋賀県は2006年度入試から学区制が廃止され、特色選抜が導入されました。この時期から記述問題が多く出題されるようになりました。当初は特色選抜での記述問題の出題が目立っていましたが、ここ最近では一般選抜でも記述問題は多く出題されます。思考力、記述力が問われるという意味では、確かに大学入試改革の影響の先取りと言えるかもしれません。
上位難関校の多くで募集定員減少
--人気校など、2020年度入試の傾向について教えてください。
滋賀県には特色ある公立高が多く、魅力はさまざまです。そのような中でも特に人気があるのは膳所高、彦根東高、石山高などです。いずれも難関校で、彦根東高、膳所高は最近野球部が甲子園に出場するなど、文武両道でも知られています。
今年の話題としては、膳所高、石山高、東大津高などの定員が削減されることがあります。
--定員が減るということは、受験生の人口が減っているということですか。
募集定員は卒業予定者数や進学動向等を考慮して毎年調整されています。これまでも卒業予定者数にほぼ比例して定員が減少していましたが、膳所高のようなトップ校で減少するのは久しぶりのことで驚きました。
--ますます競争が激化して、生徒への影響が心配ですね。
トップ校の定員が変更されると、他の高校への影響が大きくなることがあります。必要以上に弱気になる必要はありませんが、移行期はどうしても不安になります。こういったときだからこそ志願動向、自分の学力、内申点などを正確に見極める必要がありますので、その際にはぜひ我々のような受験の専門家を上手に活用していただきたいですね。
圧倒的な公立志向
--私立高はどうでしょうか。
私立高が第一志望の生徒は、京都の私立高を目指すことが多いです。滋賀県では私立高志向はあまり高くなく、公立志向がかなり強いと言っていいと思います。滋賀県の9割以上の中学生は、公立高が第1志望です。
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--公立人気が高い滋賀県では、どのような併願パターンがありますか。
滋賀県の南部か北部かによって変わってきます。
南部は京都・大阪に通学しやすいので、京都や大阪の私立高を併願するケースが多いですね。滋賀の私立高も併願して、標準的な受験生は3~4校受験します。トップの公立高を目指すような生徒は洛南高や同志社高など、京都の私学を併願しています。
彦根などの北部になると京都・大阪まで通うのに1時間を超えてきますので、県内の学校を選ぶ生徒が多いです。ですから、彦根東高などの北部にある公立進学校を第一志望に選ぶという生徒もいます。
受験生の記述と過去問対策
--受験生(中3生)に向けて、入試までの学習についてアドバイスをお願いします。
滋賀県の入試の特徴は記述問題が多いことです。ですので、記述問題を苦手にしない、できれば得意にして入試に挑んでほしいと思います。記述問題は部分点がありますから、とにかく書いて部分点が取れるようにしましょう。入試では1~2点の差で順位が大きく入れ替わります。
ただし、なんでも書けばいいというわけではありません。記述問題は、資料などを見てわかることを読み取って書くような、思考力を問われる問題がほとんどです。正確な基礎知識を身に付けることと、いろいろなパターンの出題をこなして練習しておくことが必要です。他地域の公立高、私立高の過去問などを解いて練習しておくことが、公立高の記述問題への対応力にもつながります。
--過去問に取り組むにあたっての注意点はありますか。
過去問は本番と同じように、時間を計り、緊張感をもって取り組まないと意味がありません。
11月には、京進の生徒は過去問を解き始めています。過去問は、直前にやってできないことがわかっても対処のしようがないですから、始める時期はできるだけ早いほうがいいでしょう。
通塾していない生徒であれば、中学3年生の3学期に入ってからでしょうか。学校によっては3学期に入っても教科書が終わっていない場合がありますが、2月になると私学の入試も始まります。遅くても年が明けるころには始めておきたいですね。
--記述問題は自己採点が難しいと思いますが、どうすればいいでしょうか。
塾や学校の先生に添削してもらうのがお勧めです。京進の記述問題の指導では、添削して上手く書けている部分、足りない部分を個別にアドバイスしています。実際の出題形式に慣れるのは中3の後期からでよいでしょう。土台ができていないと記述問題はできないので、それまでは学校や塾の勉強にきちんと取り組み、正確な知識を身に付けるとよいと思います。
--間違えた問題についてはどうすればよいですか。徹底的にやり直したほうがよいのでしょうか。
徹底的にやり直すかどうかは、志望している学校の出題傾向や問題の難易度によって変わってきます。間違えた問題を完全にマスターすべきかどうかの判断は生徒だけでは難しいので、塾、学校の先生に相談してほしいですね。
トップ校である膳所高でも入試で満点を取る必要はありません。70~75%の得点ができれば、合格ラインを超えますので、得点できなくてもいい問題もあります。間違えた問題を全部やり直す、できるようになるまで全部繰り返すことが効率的とは言えません。
中2生はワンランク上を目指す
--中2生へのアドバイスもお願いします。
まず意識してほしいのが、目標とする学校を早期に決めることです。その際には今の自分の成績、学力よりも1ランク上の学校を目指してほしいです。目標設定を上におくことで、日々の学習のモチベーションも上がります。
--勉強の仕方として、受験生になる前に意識しておくべきことはありますか。
学習面では、苦手分野を作らないことです。特に理科や社会でしょう。理科や社会は単元ごとに学習が進むので、前の単元が不十分な理解だったとしても、次の単元を頑張ればある程度の成績を取ることができます。そのため、苦手分野が放置されてしまうこともあります。苦手分野を残さないように、日々の学習、特に学校の定期テスト対策にもきちんと取り組んでほしいですね。
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--ありがとうございました。
公立高校の人気が高い滋賀県では、特色選抜も一般選抜も記述問題が多く、大学入試改革を先取りした思考力や記述力を問う問題が出題されるという。受験当日まで残された時間は残りわずか。志望校合格を目指し、しっかり準備をして入試本番に向かってほしい。
イベント情報
京進では、今冬も模試や冬期講習会など受験生等を対象としたイベントが予定されている。最新情報については公式サイトで確認してほしい。
中3滋賀特色選抜模試
開催日:2019年12月14日(土)
対象:中3生
中3滋賀県立高模試
開催日:2020年1月13日(月・祝)
対象:中3生
新中3滋賀県立高模試
開催日:2020年1月19日(日)
対象:中2生
冬期講習会
開催日:2019年12月22日(日)~2020年1月7日(火)
(校・クラスにより開講日は異なります)