【自由研究・化学】牛乳からプラスチックを作ろう(中学生向け)

 夏休みの自由研究のテーマは決まっているだろうか。家庭ですぐにできてよくわかる「牛乳からプラスチックを作る」方法をご紹介。自由研究テーマ選定の参考にしていただきたい。

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【化学】環境にやさしいプラスチックを調べてみよう~牛乳からプラスチックを作ろう~(中学生向け)
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 毎年夏休みに小中学生の宿題に出される「自由研究」は、普段はなかなか時間をかけて取り組むことが難しい研究や実験に挑戦できるチャンス。化学、物理、地学、生物…さまざまな分野から、おすすめのテーマをご紹介する。

 ここでは、家庭ですぐにできてよくわかる「牛乳からプラスチックを作る」方法をご紹介。自由研究テーマ選定の参考にしていただきたい。

自由研究:中学生向け 小学生向け

環境にやさしいプラスチックを調べてみよう~牛乳からプラスチックを作ろう~


第1分野【化学】実験


制作時間:1時間 難易度:★★★



 家庭や工場から出るゴミが、環境破壊の一因になっています。そのため、うめると土にもどるプラスチックの必要性が高まっています。この実験では、そのプラスチックを牛乳から作ります。

用意するもの

 
かき混ぜ棒※、牛乳、電子レンジ※※、クッキーなどの抜き型、軍手
そのほかのもの 耐熱グラス(2個)※※※、クッキングペーパー、酢、ガーゼ
※スプーンでも代用できます。
※※500Wのものを使用しています。
※※※耐熱性のものならグラス以外の容器でも問題ありません。

用意するもの

実験 やってみよう 牛乳と酢でできるプラスチック



手順 全4工程


 わたしたちが飲む牛乳に含まれるタンパク質は、水分の中で、バラバラになって浮かんでいます。
 そこに、酢を加えるとタンパク質どうしが集まって、ねん土のようなかたまりになります。加熱すると固くなる性質を利用して、電子レンジを使ってプラスチックを作ります。


手順1

 沸騰させた牛乳100mL をかき混ぜながら、中にかたまりが見えるまで、酢を1滴ずつ加える。

手順2

 空のグラスの上にガーゼをしき、1の牛乳からかたまりをこし取り、ガーゼのまま、3分間水で洗う。

手順3

 ガーゼから取り出したかたまりをクッキングペーパーの上で転がし、水気を取る。

手順4

 3のかたまりを、抜き型で型を取ったあとグラスに入れ、固まるまでレンジで何度か加熱する。

うまくいかないときには



レンジでくり返し温め、固さを確認

●牛乳が温かいうちに酢を入れましょう。冷えた牛乳に酢を入れても、牛乳は固まりません。
●工程4の電子レンジでの加熱は10分くらいかかります。ただし連続10分ではなく、1分ごとにレンジから取り出し、かたまりが固くなっているかかき混ぜ棒などで確認してください。

なぜそうなるの? ~タンパク質が熱で固まる~



熱により脱水されて「重合(じゅうごう)」が起こる

 牛乳の成分の約9割は水です。水以外の成分には、タンパク質と脂肪分、ミネラル(無機質)などが含まれています。

 この大半の成分は、「カゼイン」と呼ばれるタンパク質で、取り出した状態ではねん土程度の固さです。これに熱を加えると、含まれている水分がぬけて、残されたカゼインどうしが強く結びつきます。こうして、固い「カゼインプラスチック」ができるのです。

レポートのまとめかた



 牛乳にも「低脂肪乳」や「加工乳」など、さまざまな種類のものが発売されています。これらを使って、カゼインプラスチックを作り、固まりかたや色のちがいを確かめてみましょう。

 牛乳から作ったカゼインプラスチックは、「生分解性プラスチック」といって、微生物によって分解されます。そこで作ったカゼインプラスチックを土の中にうめて、どれくらいの日数で分解されるか調べてみましょう。

自由研究 中学生の理科 Newチャレンジ

発行:永岡書店

<著者プロフィール:野田 新三(のだ しんぞう)>
1970年大阪生まれ。不思議に思ったことは「自分で確かめたい」という気持ちから、理科に興味を持つ。95年千葉大学大学院教育学研究科を修了後、理科の教諭として教壇に立つ。

《リセマム》

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