【中学受験の塾選び】SAPIXの特徴と費用、塾活用ポイント(2020年度版)

 中学受験に向けた塾選びの参考として、大手人気塾5塾の特徴や費用、カリキュラムなどを紹介する。中学受験で成功するための塾選びと活用のポイントは、プロ家庭教師集団・名門指導会に聞いた。今回はサピックス小学部(SAPIX)について見ていこう。

教育・受験 小学生
SAPIX小学部
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 中学受験を志そうと決めたら、子どもがどこの塾に通うのがいいか考えるのではないだろうか。塾選びの参考として、大手人気塾5塾の特徴や費用、カリキュラムなどを紹介する。中学受験で成功するための塾選びと活用のポイントは、プロ家庭教師集団・名門指導会に聞いた。今回はサピックス小学部(SAPIX)について見ていこう。

サピックス小学部の指導の特徴



 授業から教材まで「復習中心」の学習法に基づいて構成されている。予習は必要ない。講師の「なぜ?」に子どもたち自らが考えたことや疑問に感じたことを、自分なりの言葉で発表し、全員で討論していく「討論式授業」によって、「思考力」や「記述表現力」を身に付けていく。また、授業で学んだことは、家庭で復習して定着度を高めるとともに、「らせん状」のカリキュラムで、繰り返しながらより深く学ぶことにより、少しずつ理解の幅を広げていく。クラスは、少人数制の学力別コース(=クラス)編成をとり、6年生では志望校別コース編成も取り入れて、ひとりひとりの志望校合格に向けて、きめ細かな指導を行っている。

入塾の時期



 本格的な受験カリキュラムが始まる新4年生(3年生の2月)から、入室するケースがもっとも多い。既出の単元も繰り返し学べるようにカリキュラムを構成しているため、それ以降の入室も可能。どの教科であっても基礎知識として覚えるべき事柄があり、理科や社会は学習する分野も多いことから、そのようなことも考慮したうえで、無理なく学習が進められる時期を、家庭で判断するとよいだろう。

 また、学習習慣や学習姿勢などは受験勉強を始めた(塾に通い始めた)途端に身に付くものではない。塾に慣れたり、学習に興味をもったり、学ぶことが楽しいと思ったり、というようなベースの部分を身に付けるために、低学年から塾に通うケースは一定数ある。低学年から塾に通う児童は、じっくりと育んだ知的好奇心や粘り強く取り組む姿勢が中学受験において強みを発揮するためか、中学受験において第一志望校に合格する比率が高いというデータがある。

入塾前のテストの有無



 月1回程度「入室テスト」(受験料3,300円・税込)を実施している。テストの結果は1週間程度で通知する。入室基準に達した児童は入室することができる。入室後の授業開始は、原則として翌月上旬からとなる。

授業の体験や見学の可否



 防犯上の理由などから、授業の見学は受け付けていない。入室説明会では授業風景を撮影した映像を視聴する。また、1~4年生対象の入室テストでは、入室テスト実施後に「体験授業」を設けている月(回)がある。春・夏・冬休みなど、学校が休みの期間には特別講習がある(実施の有無は学年により異なる)ので、まずは講習を受講して、サピックスの「学ぶ楽しさ」「わかることのおもしろさ」を体験するのもよいだろう。

年間にかかる費用とカリキュラム



 1年生は約22万円、2年生は約26万円、3年生は約34万円、4年生は約60万円、5年生は約75万円、6年生は約137万円(いずれも税込)。なお、費用には、授業の一環として実施するテスト費用、授業中に配付するテキスト・プリントなどの教材費、冷暖房費などがすべて含まれる。

 各学年のカリキュラムは、サピックス小学部Webサイトで確認できる。たとえば、4年生は授業も本格的なものとなり、子どもたちひとりひとりの発想を引き出しながら、思考力を高めていくことをポイントにする。さらに、学習を日常生活のサイクルの中に組みこむことができるように指導していく。

クラス分け



 1コース(=クラス)15~20人程度で、学力別のコース編成になっている。コース分けやコースの昇降にかかわるテストは、1~3年生で約2か月に1回、4~6年生では約1か月に1回実施する。また、6年生で実施する志望校別のコースについては、通塾している児童(家庭)へ事前に志望校調査を行ったうえで、コースを編成していく。希望する学校のコースがない場合でも、出題傾向が類似する学校のコースで学習を進めながら、十分なフォローアップをするため、心配いらない。

通塾の頻度と時間帯



 1~3年生は週1回、4年生は週2回、5年生は週3回、6年生前期は週3回、6年生後期は週4回。なお、1~3年生の土曜日の授業は、校舎によって設置状況が異なる。関西校舎では、一部授業時間帯などが異なる。

・1年生:平日16時~17時30分、土曜日13時30分~15時、16時~17時30分のいずれか
・2年生:平日16時20分~18時、土曜日13時~14時40分、16時20分~18時のいずれか
・3年生:平日16時30分~18時30分、土曜日12時30分~14時30分、16時30分~18時30分のいずれか
・4年生:17時~20時
・5年生:17時~20時
・6年生:平日17時~21時および土曜日14時~19時

授業以外のサポート



 すべての教科の基本となり、難関中学入試で必要とされる「読解力」「記述表現力」を磨くため、専門指導員による記述添削指導「てんさく教室」を月に1回程度、全学年で実施している。ひとりひとりの考え方や個性を尊重しながら、他者に伝わる文章を書く力を育成していく。保護者に対しては、年に3~4回開催する保護者会で現在の学習状況や学習目標を、6年生の個別面談(2回)では学習相談や志望校決定に向けたアドバイスを、担当講師から伝えている。なお、学習相談や面談は、これ以外でも希望によって随時行っている。

通塾に際する保護者の負担



 6年生では一部の特別講習や公開模試において、お弁当が必要な場合があるが、普段の授業ではお弁当は不要。家庭学習の範囲や取り組むべき課題などについては、毎回講師から指示を出す。とはいえ、まだ小学生なので、子どもだけですべてを管理するのは難しいだろう。そのため、子どもの学習が順調に進んでいるかどうか定期的に確認をしたり、その子に必要な課題を取捨選択したりといった学習面の管理、毎回配布される教材の整理、塾への送迎などの面で、サポートをしている保護者は多い。

公立中高一貫校対策



 公立中高一貫校の選抜方法は、私立や国立の難関中学校とは異なるため、特別な学習が必要であるかのように思われがちだ。しかし、形式や内容が異なって見えるだけで、入試(適性検査)において必要となる学力や求められる力に大きな違いはない。サピックス小学部では6年生の夏までは毎回の授業で基礎学力をしっかりと固めて学力の土台を築き、秋以降、演習を通じて応用力や記述表現力などを磨いていく。同時に過去問題集を通じて出題傾向に慣れていくとともに、添削指導などのフォローも適宜行っていくことで、十分に対応できる。

塾選びと活用のポイント


(名門指導会 伊東大輔先生)

 首都圏で最上位校、上位校において圧倒的な実績を誇っているのがサピックス。その実績を支えているのが、「デイリーサピックス」と呼ばれる通常授業のテキストと授業、繰り返し学習のシステム、テストなどで、その設計は他塾の追随を許さない。クラス分けに直結する毎月のテストとハイレベルな授業、進度の速いカリキュラムに、学習サイクルがうまく回らない子どもにとっては、ついていくのが難しい面もある。

 現実的には5年生から通わせる家庭が多いが、本格的な受験カリキュラムが始まる新4年生の2月から通わせるのがお勧め。ただ、4年生になると3年生までに比べて入塾へのハードルが上がる(定員がいっぱいになっている、入塾テストの結果、入塾許可が出ないことが増える)ため、低学年から通わせるという家庭も一定数あるようだ。

 年間のシラバスは年度の始めに配布。毎回の授業で使用するテキストは小冊子形式で、授業のたびに配布される。子どもたちにとっては「予習ができない」わけだが、これは塾からの「毎回授業で始めて見た問題に対して、先入観なく新鮮な気持ちで取り組んでほしい」というメッセージでもある。

 また、テキストがプリント形式ということは、年度ごとに一部改定を実施しやすいということを意味しており、年々その内容やカリキュラム構成の変更、入れ替えなどが行われている。ただ保護者にとっては、このプリント教材の整理、ファイリング、復習への活用が難題であり、否応なしに関与が求められる塾でもある。

 担当講師とのコミュニケーションという面では、教室や講師によってややばらつきがあるようで、宿題チェックなども(サピックスでは宿題ではなく「家庭学習」と呼んでいる)原則的には親の関与を前提としているところがある。

 速い進度の中にも徹底して「繰り返し学習」の仕組みが用意されているので、その仕組みを最大限に活用すれば無駄を最小にした学習ができる。その前提としての学習サイクルの構築、モチベーションの維持が成績アップの最大の要因となる。

 難関と呼ばれる中学校が志望校でなければ、サピックスを選ぶ理由はあまりないだろう。ハイスピードな授業とカリキュラムをこなす学習サイクルを構築し、それをしっかり回していくことを前提に、そのペースメーカーとして塾を活用するのが効率的なサピックスの活用法だ。そのためには家庭の関与がかなり要求され、保護者の負担も大きい塾といえる。

名門指導会 伊東大輔(Daisuke Ito)
サピックスで国語科の主軸として活躍、プロ講師として独立後は、「今まで誰が教えてもやる気にならなかった子が伊東先生の授業だけは楽しみに参加する」という声が多数あがるほど、子どものクセと心の内を見抜く力に優れ、その絶妙な関わり方で、多くの子どもを合格に導いてきた。御三家など難関校指導はもちろん、学力が低迷しているお子さんにとっても頼りになる、学習指南のエキスパート。

《工藤めぐみ》

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