パソコンが一般家庭に普及し始めた1990年代後半も、その配置について多くの議論がなされた。リビングに置くべきか、はたまた仕事部屋を作るべきか。当時と現在が異なるのは、パソコンの利用頻度と利用目的の幅の広がりだろう。
家族皆が快適にそれぞれの仕事や学びに向き合える住環境について『子育てインテリア術』の著者である一級建築士・おおぬきゆーじ氏に聞いた。
今こそ知りたい!パソコンどこに置く問題
--パソコンはどこに置くべきかというテーマは、かねてから議論されていますね。おおぬきさんはどのようにお考えですか。
家族が集うリビングか、個別にパソコンを所有することを前提に仕事部屋ないし子ども部屋という2つの選択肢で迷われることが多いですね。
昨今の休校にともなうオンライン授業の浸透で、子どもたちがいちばん苦痛に感じているのは「休み時間に友達とワイワイできないこと」だと聞きます。要は学習と学習の間の時間での気分転換ができない。その気分転換に付き合ってあげるためにも、パソコンはリビングに設置し、親をはじめとする家族がパソコン対子ども個人の密な関係を緩和させてあげるのが良いと思います。
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またリビングにパソコンを置くことは、家族のコミュニケーションの促進にもつながります。パソコンに触れ始めたばかりの子どもは、親のサポートが必要です。とはいえ、デジタルネイティブといわれる世代、中学生にもなれば、デジタルスキルはすぐに親を上回り、かえって親が教えてもらったり、自宅のパソコンやインターネット関連の管理を任せるほどになるかもしれません。仕事や学習のツールとしてパソコンを家庭に所有し、皆が快適に使うということは、立場は変われど、親子のコミュニケーションなしでは成立しないものではないでしょうか。
家族の存在や会話がリモートワークの閉塞感を緩和してくれる
--たしかにここ最近、同じ室内で大人はリモートワーク、子どもは学習をするという場面が増えたと思います。たとえばリビングダイニングを想定した場合、どのようにパソコンを配置するのが望ましいでしょうか。
わかりやすいようにイラストを描いてみました。Aは親はダイニングテーブル、子どもはパソコンデスクを使う例。Bは、親も子どももダイニングテーブルでそれぞれの辺に座る例です。いずれもそれぞれの作業に集中しやすい一方で、コミュニケーションがとりにくいという懸念があります。

Cは幅の広いパソコンデスクを用意し、親子が並んで座る例です。隣同士に座ることで気軽に会話できる雰囲気を作ることができ、親子のコミュニケーションにとって良い環境です。液晶モニターの中でも、BenQアイケアモニターのように画面の角度を左右に調整でき、さらに広視野角のものであれば、横に並んで同じ画面を見ながら会話する際にも快適です。
Dはそれぞれ専用のデスクを並べて配置した例です。それぞれのパーソナルスペースを確保できるため、お互いに集中しやすく、かつコミュニケーションもとりやすい理想的な配置といえます。ある程度の横長のスペースが取れるご家庭であれば、ぜひ実践してみてください。
--インテリアとしてのパソコンの特徴を教えてください。
良くも悪くもパソコンは存在感があります。とはいえ、人を招き入れる可能性もあるリビングダイニングは、インテリアもこだわりたい。私がお勧めするのは、液晶モニターをリビングに1台設置し、家族それぞれがノートパソコンを所有するパターンです。キーボードやマウスといった付属品で机上が煩雑になることもありませんし、ノートパソコン自体は本棚に立てて片付けられますので、デスクまわりをすっきりさせることができます。

BenQアイケアモニターの裏面には、HDMI、DisplayPort、D-subの接続ポートがあります。「大画面で作業したい」と思ったら、自分のノートパソコンに簡単に接続することができます。子どもが遠隔授業で長時間動画を視聴しなければならないようであればタブレットに接続し直すなど、ケーブル1本で臨機応変にモニターの譲り合いができるのが嬉しいです。
集中力を増し、視力を守る…在宅勤務&学習の救世主・液晶モニター
--液晶モニターを使用するメリットは他にありますか。
大きなモニターは学習の集中力が上がると言われています。映画鑑賞をイメージしてください。スマホの小さな画面と比べ、映画館のスクリーンで観ると、より映画の世界に浸れる感覚があるはずです。その理由は、視野に対し画面が占める割合が大きいため、画面以外に集中を阻害するノイズが目に入りにくいためです。
特に集中力を自分でコントロールすることが苦手な子どもは、学習に大きなモニターを利用するのをお勧めします。画面の大きさゆえ、その作業に集中できるだけでなく、近づいて覗き込む必要がないため、視力維持を気にされるご家庭にとっては重要なポイントですね。
--液晶モニターを設置するのに適したデスクはどのようなものでしょうか。
モニター自体のサイズによって異なります。モニターサイズは、子どもがひとりで使うことが多いのであれば24インチで十分だと思います。複数のウィンドウを開く必要がある場合や、込み入った調べ学習や仕事での使用頻度が高ければ27インチあると使いやすいです。子どものオンライン学習のサポートなど、親子で同じモニターを見る機会が多いのであれば、大きいサイズのほうが便利ですね。
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モニターと目との適正距離は60~70センチが目安とされています。私の場合は、画面の大きさによる圧迫感を考慮しながら、机の奥行きを調整してモニターと目の距離を離すようにしています。
一般的には、24インチモニターの場合は机の奥行50センチ以上、27インチモニターの場合は60センチ以上あると良いです。子どもが学習に使用する場合は、同時に教科書やノートなどを使うことも多いため、その分のスペースも確保するようにすれば、必然的にモニターに近づきすぎない家具選びができます。
--子どもが快適に学習するための環境を整えるために、私たちができる工夫について教えてください。
子どもがリビングダイニングで学習する際の注意点は、ダイニングチェアとテーブルをそのまま使うと高さが合わずに、子どもの姿勢が悪くなってしまうことです。長時間座り続けることで疲れを感じ、集中できなくなる可能性もあります。

これは「差尺」を適正にすると解決します。「差尺」とはテーブル面と座面の高さの差のこと。イラストに示したように、テーブルの高さ70センチ、椅子の高さ40センチの場合は、差尺30センチとなります。これは大人向けの一般的な家具のサイズで、皆さんのご自宅のダイニングテーブルや椅子もほぼこの寸法で作られています。この30センチの差尺は大人にとっては快適ですが、身長の低い子どもには合いません。クッションを敷くなど、座面を高く調整するのが理想です。もし着席時に足が床に届かずにぶらぶらしてしまう場合は、足置き台を置くことで姿勢が安定し、学習に集中しやすいでしょう。
モニターと子ども、適度な距離感を
座高に合わせてモニターの高さを調整することも必要です。簡単にモニターの高さの調整ができるものをお勧めします。子どもが使用する際、自分自身で適した環境に整えることができるからです。それに加え、BenQアイケアモニターはモニターの角度自体も調整できるので、家族それぞれの身長・座高に合わせることができますね。
--親も子どもも自宅で過ごす時間が増えた今、お互いが会話をしながら快適に暮らせる住環境の形を、多くの家族が見つけられると良いですね。本日はありがとうございました。
新しい生活様式に適応するためにも、家族それぞれが快適に働き、学び合い、集える住環境をいち早く整えたい気持ちもある。以前にも増して生活必需品となったパソコンをどこにどのように配置するかは、家族皆の心身の健康維持を前提に、変わりゆく日常の中でそれぞれの家族がコミュニケーションを通して模索していく必要がありそうだ。
24インチ:GW2480T
27インチ:GW2780T
おもな特徴
・IPSパネルによる広視野角
・フリッカーフリー、ブルーライト軽減機能搭載・輝度自動調整B.I.機能搭載
・カラーユニバーサルモード、高さ調節/ピボット機能搭載