読み聞かせなど家庭での英語インプットは学習効果を高める

 ワールド・ファミリーバイリンガルサイエンス研究所は家庭でのインプットがバイリンガルの子どもの語彙力にどのように作用するかを調べた論文を考察し、「家庭での英語インプットは、学習効果を高めることができる」と発表した。

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 ワールド・ファミリーバイリンガルサイエンス研究所は家庭でのインプットがバイリンガルの子どもの語彙力にどのように作用するかを調べた論文を考察し、「家庭での英語インプットは、学習効果を高めることができる」と発表した。

 ワールド・ファミリーバイリンガルサイエンス研究所は、「家庭での言語インプットが後続性バイリンガル児の語彙知識に与える効果(2019)」という論文に注目した。

 論文では、プリスクールで第2言語を学んでいる子どもが、「家庭の日常的な場面で絶えず2つの言語にふれた場合、両言語の語彙がどのように発達するか」という点を研究によって明らかにしている。

 この研究では、広東語を第1言語とし、親は英語を十分に話せないが、子どもに英語(第2言語)を話せるようになってほしいと考え、英語が学べるプリスクールに子どもを通わせているアメリカの移民を対象とした。

 研究者は、家庭でのインプット量が子どもの語彙力に与える影響を調べるため、「夕食中に会話する」「本を読み聞かせる」「お話を聞かせる」「単語ゲームで遊ぶ」「家族と遊ぶ」「友だちと遊ぶ」の6つの場面での、広東語・英語の使用状況について、親へのアンケート調査を実施した。

 親によるアンケート回答は、理解語彙、表出語彙、概念的語彙のテスト成績とあわせて分析。家庭での使用状況と子どもの語彙発達との相関関係の強さを算出した。

 その結果、広東語・英語の両方とも、家庭でのインプット量は、語彙テストでの高成績と強い関連性があった。相互関係が特に強いものが「広東語の理解語彙と表出語彙のテスト成績」と、「夕食を食べているときや家族と遊んでいるときに広東語が使用される量」だった。

 実験に参加した親子の88.7%は夕食中の広東語使用率が80から100%だったというデータからもわかるように、家族で体系化されていない遊びや会話をするときには、何も気にすることなく自然に第1言語(広東語)が使用され、子どもの語彙を増やした可能性が高いと考えられる。

 一方、「英語の理解語彙と表出語彙のテスト結果」は、「本を読み聞かせるときに英語を使う量」がもっとも関係していた。たとえば、英語で書かれている絵本であれば、英語が話せない親も自然と英語で読み聞かせる。ほかの場面よりも英語の使用率が増えていたので、得意でない英語を安心して使う機会になっていた可能性がある。このような限られた量の英語使用であっても、子どもの英語の語彙を増やしていたと考えられる。

 調査結果から、子どもが学校で第2言語を学んでいる場合であっても、子どもが2つの言語を使えるようになるうえで、家庭環境は重要な役割を果たす可能性があり「家庭での英語インプットは、学習効果を高めることができる」ことがわかった。

 ワールド・ファミリーバイリンガルサイエンス研究所は、夕食を食べる時間や、家族とゲームで遊ぶ時間、本や話を読み聞かせる時間を活用して、英語などの第2言語を家庭環境に取り入れて使ってみるとよいとアドバイスしている。

《鈴木あさり》

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