パソコンを自分で作る?大人も子どもも夢中になる「Kano PC」の魅力

 2020年8月7日、子ども向け組み立てタブレットPC「Kano PC(カノピーシー)」が日本で販売開始された。Kano Computing・CEOのAlex Klein氏に、日本での製品発売の経緯や今後の展開について聞いた。

教育ICT 小学生
2020年8月7日に日本での販売を開始した、子ども向け組立てタブレットPC「Kano PC(カノピーシー)」
2020年8月7日に日本での販売を開始した、子ども向け組立てタブレットPC「Kano PC(カノピーシー)」 全 9 枚 拡大写真
 2020年8月7日、子ども向け組立てタブレットPC「Kano PC(カノピーシー)」が日本上陸を果たした。リリースを見た瞬間、従来のパソコンの概念を根底から覆す軽やかなデザインに心奪われた方も多いのではないだろうか。テーマは「遊びながら学べるPC」。まさにおもちゃのような愛らしい姿が魅力的なデバイスだ。

 開発したのは、英ロンドンに拠点を置き、教育向けコンピューターを手がけるベンチャー・Kano Computing。CEOのAlex Klein氏に、日本での製品発売の経緯や今後の展開について聞いた。

--この度日本での発売に踏み切った理由を教えてください。

 日本では2020年4月から小学校においてプログラミング教育が必修化になりました。さらに今、GIGAスクール構想が進行しています。今こそが、子どもたちの好奇心を刺激し、デジタルスキルを成長させる機会だと考えました。テクノロジーをもっと身近なものにすること、そしてテクノロジーを理解することで、ただの消費に終始するのではなく誰もが創造できるようにすること。それが私たちKanoの使命です。ユーザーを中心に形成されている私たちの世界的なクリエイターコミュニティが、日本にも広がることを嬉しく思っています。

2020年8月に日本での販売を開始した「Kano PC」

--すでにイギリス国内やアメリカなどでプロダクトを展開していますね。先行して展開している国や地域で、Kano PCはどのように受け止められていますか。

 非常に好評です。昨今の新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、各国でオンライン学習が急速に浸透したこともあり、イギリス、アメリカともに需要が高まり、急遽在庫を補充しているところです。諸々の状況もあいまって、両国とも我々の想定していた販売数をはるかに上回る結果になっています。

--Kano PCのこだわりを教えてください。

 Kano PCのユニークな特徴は5つあります。

組立て式であること
 丈夫でカラフルなモジュラーパーツを組み合わせて、取り付けることで、パズルのように簡単に組立てられます
コンピュータの仕組みを理解できること
 Kano PCの背面は透明になっており、状態を示すLEDが光ることでPCがどのように動いているかを理解することができます
強度と耐久性
 1.2mの高さからの鉄球の落下に耐えるタッチスクリーンを備え、JISキーボード付きのカバーも付属しているため、子どもたちも安心して取り扱うことができます
充実の専用アプリ
 プログラミングを学ぶ「Kano Code」、デザインを学ぶ「Make Art」、コンピュータの仕組みを学ぶ「How Computers Work」など、年齢を問わず直感的に学べるので家庭学習に最適です
子どもの学習用としても使いやすい手頃感
 打ちやすいキーボードと長時間稼働できるバッテリーを搭載しているだけでなく、多くの子どもたちにご利用いただけるように低価格に抑えました

カラフルなモジュラーパーツは子どもでも簡単に組立て可能

--対象年齢はどのくらいを想定されていますか。

これまでのKano製品同様、子どもたちが初めて触れるコンピューターとして6歳以上を対象にしています。Kano PCは子どもたちのために設計され、検証も子どもたちを中心に行われていますが、Kanoの専用アプリはさまざまなレベルに対応していますので、たとえ大人であっても創造性が刺激され、楽しむことができるようになっています。

--当初御社では、Raspberry PiをベースにしたDIYコンピュータキットを販売されていましたね。今回あえてWindowsを搭載した理由を教えてください。

 Windowsをベースにすることによって、家庭、学校いずれの学習にも対応したデバイスを提供できるようになりました。今回の開発にあたり、学校現場においても12,000時間以上の実証実験を行い、先生方からの「従来の教科のみならずSTEMの学習にも使用できるコンピューターが欲しい」という強いニーズに応えられるようにデザインしました。

日本の家庭や教育現場になじむよう、搭載OSやキーボードをアップデート

--日本での発売を機にアップデートした機能はありますか。

 3つの専用アプリである「How Computers Work」「Kano Code」「Make Art」はすべて日本語に対応しています。また、Kano PC日本版は、JISキーボードを付属しています。

--子ども用PCの相場は5~10万円と言われています。その点、Kano PCは非常に良心的な価格ですね。低価格を実現できる理由を教えてください。

 私たちは、テクノロジーとは一部の限られた人々だけではなく、皆が扱えるものであるべきだと考えています。そのためにも、Kano PCは手頃な価格帯にしようと考えていました。シンプルな設計により、不必要な要素を省くことで実現することができました。

--Kano PCを家庭で使う際、保護者はどのように関わったら良いでしょうか。

 Kano PCは親子、そして先生と子どもたちが一緒に使用することを念頭に置いて設計しました。機械が苦手な方でも子どもたちと一緒になって楽しむことができるように、Kano PCはモジュラーパーツによる組立て式になっています。

インタビューに応じてくれたKano Computing・CEOのAlex Klein氏

 さらにKano PCには、取扱い方法を学べるガイドアプリもプリインストールされているので、子どもたちと保護者が一緒に楽しみながら学ぶことができます。子どもたちにテクノロジーとのより深い関わりをもたせ、電子機器に対する抵抗感をなくすことができるように設計しています。

 加えて、Kano PCのソフトウェアは組立てた直後からすぐに使うことができるようになっています。すべてのユーザーがストレスなく使用でき、コンピュータに触れる時間がポジティブなものになるようにデザインしています。

--Kano PCで実現したい世界、御社の今後のビジョンを教えてください。

 Kanoの使命は、テクノロジーの力を解き放ち、あらゆる年齢の人たちがテクノロジーを作り出せるようにすることです。

親子、子どもたち同士でも楽しめるチャイルドフレンドリーなデザイン

 私たちはKano PCをこの課題に取り組むために設計し、有意義で使いやすく、耐久性のあるタフなデバイスとして開発しました。まずは電子機器に触れてみることから、真に役立つデジタルスキルに関する学びは始まります。その学びの入り口となるKano PCは、コンピューティングに創造性をもたらしてくれると期待しています。

--ありがとうございました。

 かわいいだけにとどまらず、本格的な学びも展開できるKano PC。「遊びながら学ぶ」ことこそが、子どもたちにとって将来必要なスキルを定着させる最短ルートなのかもしれない。

Kano PC

《野口雅乃》

【注目の記事】

この記事の写真

/

特集