【大学受験】2020年度初年度納入金平均額、公立・私立大で上昇…旺文社

 旺文社教育情報センターは2020年10月29日、「2020年度学費平均額」をWebサイトに掲載した。初年度納入金平均額は、公立大学と私立大学ともに上昇傾向。国立大学では、千葉大学、東京医科歯科大学、一橋大学が授業料を値上げしている。

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2020年度 公立・私立大 学部系統別 初年度納入金平均額 (c) 2020 旺文社 教育情報センター
2020年度 公立・私立大 学部系統別 初年度納入金平均額 (c) 2020 旺文社 教育情報センター 全 3 枚 拡大写真
 旺文社教育情報センターは2020年10月29日、「2020年度学費平均額」をWebサイトに掲載した。初年度納入金平均額は、公立大学と私立大学ともに上昇傾向。国立大学では、千葉大学、東京医科歯科大学、一橋大学が授業料を値上げしている。

 旺文社は、7月14日発売の進学情報誌「螢雪時代8月臨時増刊」において全国の大学を対象に学費の調査を実施している。「2020年度学費平均額」では、2020年度の学部系統別の初年度納入金平均額を算出した。希望する進路に必要な学費の目安を想定したうえで、早めに備えてほしいとしている。なお、初年度納入金とは、入学金や授業料、施設費、実習費、諸会費など、1年次に支払う学費全体のことを指す。

 国立大学の学費は、入学金と授業料は文部科学省の決めた標準額の20%増を限度に各大学が決定することになっている。2020年度の標準額は、昼間部で入学金28万2,000円、授業料53万5,800円で、初年度納入金は81万7,800円。

 2020年度の国立大学は一部を除き、どの大学・学部も文系・理系を問わず、標準額のとおりに設定している。ただし、2019年度に値上げを行った東京藝術大学、東京工業大学に続いて、2020年度入学者から千葉大学、東京医科歯科大学、一橋大学が授業料を値上げした。授業料は、東京工業大学が63万5,400円、千葉大学、東京医科歯科大学、東京藝術大学、一橋大学が64万2,960円。これまで、標準額どおりに学費を定めることが慣例となっていた国立大学だが、今後の動向に注意が必要だという。

 公立大学の授業料は、大半が国立大学と同じに設定。入学金は大学により幅広く、地元出身者には低く設定している大学が多い。旺文社のデータによると、同学部系統で地元出身者とそれ以外(地域内・外)の差は13万~17万円程度あり、医学部・歯学部系統ではその差がさらに大きくなっている。

 私立大学の学費は大学・学部などによりさまざまで、特に学部系統によって初年度納入金は大きく異なる。旺文社によると、初年度納入金の平均額は高い順に「医→歯→薬→看護・医療・栄養→農・獣医畜産・水産→芸術→工・理→体育・家政→文系学部」となっている。平均額がもっとも低い法学部と、もっとも高い医学部では約603万円もの差がある。学費の高い系統は、実験や実習があること、そのための専用施設が必要であること、少人数や個別の指導が行われることなどが影響しているという。

 公立大学と私立大学について、初年度納入金平均額を昨年(2019年)と比較すると、公立大学では全体的に上昇傾向。入学金・授業料とも地域内・外とも昨年と変わらない学部系統がもっとも多いが、入学金を増額した学部系統が次に多かった。私立大学では多くの学部系統で入学金が減少しているが、授業料は増額しており、初年度納入金が上昇している。

 旺文社によると、学費を調べるとき、授業料など1つの項目だけを見て「高い」「低い」と判断せず、初年度納入金全体をしっかりと確認することが必要だという。また、初年度納入金全体が高かったとしても、その理由が少人数教育だったり、施設・設備が充実していたりする場合もあるため、教育内容と比較し、その金額が妥当かどうかを考えてみることも必要だとアドバイスしている。

 旺文社教育情報センターのWebサイトでは、公立・私立大学の分野別初年度納入金平均額を公開している。「螢雪時代8月臨時増刊」には、個々の大学の実際の学費についても掲載している。

《外岡紘代》

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