発達障害グレーゾーン、小学校低学年の困りごととは?

 発達障害グレーゾーンの集団生活の困りごとは、小学校低学年で1位「気持ちの切り替えができない」、2位「一斉指示に従えない」であることが2021年6月7日、パステルコミュニケーションの調査結果から明らかになった。

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発達障害グレーゾーン低学年の集団生活の困りごと1位「気持ちの切り替えができない」34%
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 発達障害グレーゾーンの集団生活の困りごとは、小学校低学年で1位「気持ちの切り替えができない」、2位「一斉指示に従えない」であることが2021年6月7日、子供の発達の悩みごとを解消する情報サイト「パステル総研」を運営するパステルコミュニケーションの調査結果から明らかになった。

 「発達障害グレーゾーンの子の集団生活における人とのかかわりに関するアンケート」は、パステル総研読者・メルマガ読者等を対象に4月14日~18日に実施。回答者187人のうち、小学校低学年の子供をもつ保護者89人の結果分析を発表した。

 小学校での集団生活については、低学年保護者の92%が「困りごとがある」と回答。集団生活での困りごとは、高学年の分析でも90%が「ある」と回答しており、低学年にありがちなものというわけではないことがうかがえるという。

 低学年の集団生活の困りごとは、「感情的になると、気持ちが切り替えられない」が34.15%ともっとも多く、「一斉指示に従えない」28.05%、「自分の話を一方的にしてしまう」「自分から友達の輪に加われない」各26.83%、「次の活動にスムーズに切り替えることができない」24.39%、「みんなと一緒に行動できない」23.17%と続いた。

 全体的にみると、低学年では大きく分けて「自分の気持ちや思いを感じ適切に行動する力」「他の人の気持ちに配慮して行動する力」「指示を聞いたりして周りにあわせて行動する力」という3種類の困りごとが目立っていた。パステルコミュニケーションでは、「これらの力が小学生になると期待されてくるということができるが、発達障害・グレーゾーンのお子さんにとってはその特性から苦手なことと言える」と分析している。

 パステルコミュニケーションではさらに、それぞれの困りごとを子供の発達タイプ別に解析。1位の「感情的になると、気持ちが切り替えられない」は、自閉症スペクトラム(ASD)タイプ46%、注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプ21%、ASDタイプやADHDタイプの特性をもっている混合タイプ14%等。コミュニケーションに苦手さのあるASDタイプの特性をもつ子供に比較的目立つ困りごとであった。

 2位の「一斉指示に従えない」は、混合タイプ30%、ASDタイプ26%、ADHDタイプ22%、学習障害タイプ4%等。ASDタイプ、ADHDタイプ、両方の特性をあわせもつ混合タイプそれぞれ、一斉指示に従い行動することが課題となっていることがうかがえる結果となった。

 3位の「自分の話を一方的にしてしまう」は、ADHDタイプ36%、混合タイプ32%、ASDタイプ18%等。「自分から友達の輪に加われない」は、ASDタイプ55%、混合タイプ14%、定型発達タイプ9%、ADHDタイプ5%等。ADHDタイプの特性による衝動性や多動性から相手の感情やようすに気をつけながら伝えることへの課題、コミュニケーションに苦手さのあるASDタイプは自分から友達の輪に加われないようすが目立つ結果となった。

 一方、「回答された困りごとの解決につながるトレーニングがおうちでできるとしたら、やってみたいと思うか」との質問には、93%が「やってみたい」と回答した。パステルコミュニケーションは「集団生活での困りごとは、実は、お家でお母さんがお子さんとコミュニケーションをとりながら対応していくことができる」と説明。発達障害・グレーゾーンが集団生活で必要とされる「ソーシャルスキル」を自宅で身に付けるためのトレーニング教材がついた小冊子を間もなくリリース予定で、メールマガジン登録で案内を届けるとしている。

《奥山直美》

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