【大学入学共通テスト2022】平均点低すぎ…「難化」と話題の数学IA、数学IIBを振り返る

 予備校の講評、SpesDen代表の久保山氏へのインタビューから、2022年1月16日に実施された大学入学共通テストの数学IA、数学IIBについて振り返る。

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2022年度大学入学共通テスト試験場のようす
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 2022年の大学入学共通テスト(旧センター試験、以下共通テスト)が1月15日、16日に実施された。各予備校では試験終了後から分析を開始。難易度や予想平均点も公表している。

 そんな中、SNS上では2日目に実施された数学IA、および数学IIBが難化したともっぱらの話題である。中には難しすぎたゆえに、試験終了後に泣き出した受験生もいたようだ。

 そこで、今回、東進・河合塾、データネット(ベネッセ・駿台)が発表している1月18日現在の予想平均点と、大学入試センターが発表した2017年~2021年度の5年分の平均点を一覧にしてみた。なお、2020年度以前は「大学入試センター試験」のものとなる。

予備校の分析は…

 各予備校での見解はどうだったか。東進、河合塾、データネットの講評を振り返ってみる。

数学IA

東進:「会話文で考察やヒントを与える中問が昨年の1題から2題に増えた。全体で4ページ減ったが、三角比の表を用いて角の大きさを評価したり、グラフ表示ソフトでのグラフの動向など、共通テスト仕様の出題が増えたこともあり、時間的な余裕はなかったであろう。」

河合塾:「数学Iの分野については、目新しい問題が多く、センター試験を含めても過去問の演習だけでは対応できないようなものであった。一方で、数学Aの分野については、昨年の共通テストと比べると、会話文や証明問題がなくなり、ページ数も減少し、センター試験と同じような形式の問題に戻った印象がある。」

データネット:「第1問〔2〕では現実事象を扱い、三角比の表を利用する問題が出題された。第2問〔1〕ではグラフ表示ソフトを用いた対話形式の問題が出題された。選択肢の問題は8~10問(解答数12~16)であり、昨年より3~4ページ少なかった。全体的に導入部分から解法の方針が立てにくい問題が多く、昨年より難化。」

数学IIB

東進:「解き進めるためのヒントの会話文が3つの大問で挿入されている点、1つの問題を複数の方法で考察する問題などが目新しい。大問構成は昨年と同様であるが、ページ数は21年度の14~16ページから19~21ページ(問題の選択による)と大幅に増加。」

河合塾:「問題文が長く、ページ数も昨年より5ページ増加した。各大問の最後の設問を解くためには、それまでに行われてきた議論を振り返る必要がある。時間内にすべての問題を解くのは大変だろう。」とし、「三角関数」が単独の大問として出題されず、第1問[1]「図形と方程式」の後半で、別の求め方として問われた。昨年は会話形式の問題が1題だけであったが、今年は会話文を含む問題が多かった。また、解答群から正しい答えを選ぶ問題も昨年より増加した。昨年に比べて「数学的な問題解決の過程を重視する」出題が多く、とくに「数列」は(昨年の第2日程に続いて)日常生活を題材として出題された。」

データネット:「第1問〔1〕において、2019年度センター追試験以来みられなかった「図形と方程式」の出題があった。第4問「数列」では、現実事象を扱った対話文を含む問題が出題された。第5問「ベクトル」では、対話文をもとに考察を進めていく平面ベクトルの問題が出題された。全体を通して幅広い知識の活用が求められ、難易は昨年より難化。」

解いてみた感想は…

 なお、「okenavi」上でいち早く「数学I・数学A」「数学II・数学B」の解答速報を作成・公開し、リセマムに情報を提供してくれたSpesDen代表の久保山氏に、今回のこのテストについてどのように感じたかを聞いてみた。

--実際に今回解いてみた感想はいかがでしたか。

 脳と手が疲れました(笑)。

--前年度(2021年度)と比較してどういった点が違うと感じましたか。

 個人的には前年度との違いとして、

数学IA
・計算量の多い設問が増えた(第2問[2]、第4問)
・誘導の行間が広い設問が増えた(第1問[3]、第2問[1]、第5問)
・より細かなデータの読み取りが要求された(第2問[2])

数学IIB
・複数の考え方を提示して選ばせる設問が登場した(第1問、第4問)
・説明文の日本語が長かった(第4問)

が挙げられます。

--共通テストへの移行直前期のセンター試験と傾向が似ているように感じたと16日の試験直後におっしゃっていました。難易度的にはいかがでしたか。

 移行直前期のセンター試験と似ていると感じたのは、思考力の深さです。問題の形式自体はやはり「共通テスト型」になっています(会話文や日常を題材にした問題など)。

 前年度との違いとして挙げた要因により、難易度は上がっていると感じます。前述の、誘導の行間が広かったり(数学IA)、複数の考え方から選ぶ必要があったり(数学IIB)という点で、昨年よりも求められる思考力が上がり、また読み取りが細かくなり(数学IA)、計算量が増え(数学IA)、読解量が増えた(数学IIB)ことにより、求められる情報処理能力も上がっています

--今回の数学は予備校でもおおむね難化・やや難化したとの分析でした。久保山さんが解かれた実感として、具体的にはどの問題、どんな点が受験生にとって難しかったと思われますか。

 先にも述べたように、求められる思考力と情報処理能力がどちらも上がった一方で、問題数は変わっていないため、必然的に時間が足りなくなった受験生が多かったのではないでしょうか。本番の緊張感の中、誘導にうまく乗れなくて焦ったり、計算や情報処理に追われたりしてリズムを崩し、1つの大問に時間を使い過ぎてしまうなど時間配分が難しかったのではないかと思います。

 例えば数学IAの第2問や第4問では、途中式の掛け算や割り算の桁数が大きく、思いのほか時間が取られますし、数学IIBの第4問では、問題の状況説明に丸1ページ分が充てられていて、残り時間の少ない受験生は焦ったと思います

--ありがとうございました。

 今後、1月19日に受験者数、最高点、最低点、標準偏差等の「中間発表」を控えており、1月21日には得点調整の実施の有無が発表となる(数学は得点調整は行われない)。最終発表は2月7日。

 今回の共通テストは、初日に痛ましい事件があったり、2日目は津波の影響を受けるなど、なかなかに波乱含みの2日間だった。少しでも多くの受験生が力を発揮しきっていてほしいと祈るような気持ちでいっぱいだ。

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《鶴田雅美》

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