雲研究者であり、気象庁気象研究所の研究官である荒木健太郎氏の著書「空のふしきがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑」(KADOKAWA)から雨量や積雪量に関する知識をご紹介する。
例年8月の後半からは台風の季節に入るが、それとは別に近年はゲリラ豪雨の頻度も高まっている。大きな被害に結びつくこともある大雨や大雪の知識は災害に対する危機意識を高めることにも役立つはずだ。
「1時間に100mmの雨」の重さは小柄な力士と同じ!
「1時間に100mmの雨」というと、どんな状況をイメージするでしょうか。大雨だというのはわかるかもしれませんが、具体的にイメージしにくいので、水の重さで考えてみます。
降水量(雨量)は、降った雨が「流れ去らずにそのままたまった場合の水の深さ」です。1時間に100mmの雨は、10cmの深さの水がたまる雨ということで、1m四方だと水の重さは100kgです。小柄な力士の体重が100kgだと考えると、1時間に100mmの雨は、1時間に一度、1m四方あたりにひとりの小柄な力士が落ちてくるのと同じ重さなのです。しかも豪雨のときは、数十kmにわたって同じように猛烈な雨が降るので、空一面が小柄な力士におおわれているということに……! いかに危険な状況かがわかりますね。
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「2mの積雪」の重は小柄な力士6人ぶん!
冬には各地で雪が降り、ときには災害級の大雪となることもあります。日本は世界でも有数の豪雪国として知られていて、日本海側を中心に山沿いの地域では積もった雪の深さ(積雪深)が2~3mになることもあるのです。2mの雪がどんな重さなのかを考えてみましょう。
新しく積もった雪は、積雪深1cmあたり1mmの降水量に換算することがありますが、実際の積雪は上に積もる雪の重みでつぶされて、積雪深1cmあたり3mmの降水量の重さと同じくらいになります。
2mの積雪がある場合、1m四方あたり小柄な力士(100kg)が6人(600kg)もいることになります。6m四方の家の屋根全体に積もっていれば、総勢216人の小柄な力士(21.6トン)が屋根の上にいることになるのです。
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(協力:KADOKAWA)
発行:KADOKAWA
<著者:荒木健太郎(あらき けんたろう)>
雲研究者、気象庁気象研究所研究官、博士(学術)。1984年生まれ、茨城県出身。慶應義塾大学経済学部を経て気象庁気象大学校卒業。専門は雲科学・気象学。防災・減災のために災害をもたらす雲のしくみの研究をしている。映画『天気の子』気象監修。NHK『おかえりモネ』気象資料提供。MBS/TBS系『情熱大陸』など出演多数。主な著書に『世界でいちばん素敵な雲の教室』(三才ブックス)、『雲を愛する技術』(光文社)、『雲の中では何が起こっているのか』(ベレ出版)、気象絵本などがある。Twitter&Instagram:@arakencloud