英語でAI・IoT・ロボティクスの実践力を身に付ける…国際高専学校見学会&授業体験8/6-7

 国際高等専門学校ではこの8月、1~2年生が寮生活を送る白山麓キャンパスにて、同校の実践的なSTEM英語授業と魅力を体験できる学校見学会&授業体験が開催される。イベントの概要と、同校の特徴について紹介する。

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1年生の授業風景
1年生の授業風景 全 5 枚 拡大写真
 現在日本では、目指すべき未来社会「Society5.0」をビジョンとして掲げ、実現に向けて人材育成に力が注がれている。「Society5.0」とは、「仮想と現実を高度に融合させたシステムにより、IoTを通じてあらゆる情報を集積し、人工知能(AI)がその集積した情報(ビックデータ)を解析、かつ付加価値をつけることで、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」と定義されている。

 そうした未来社会を創る技術者の育成を進めているのが、石川県にキャンパスを構える私立の国際高等専門学校(以下、国際高専)である。同校は、「Society5.0」の根底をなすIoTやAI、ロボティクスなどの分野を、英語を用いて総合的に学ぶ学校だ。高専ならではの創造的で実践型の授業を通して、社会課題解決のプロセスを身に付け、世界で活躍できるイノベーターを育成している。

 2022年8月、同校の白山麓キャンパスにて、実践的な英語授業でSTEM教育を体験できる学校見学会&授業体験が開催される。イベントの概要と、国際高専の学びの特徴について紹介する。

参考 内閣府Society 5.0「科学技術イノベーションが拓く新たな社会」

グローバルイノベーターを育成する、国内外の3拠点



 「高等専門学校」(以下、高専)は、中学卒業後に進学できる5年制の高等教育機関で、実践的・創造的技術者を養成することを目的とし、現在約6万人の学生が在籍している。国際高専は全国57校ある高専の1つ。グローバルな視点で社会の課題を発見・解決し、新たな価値を創造する「グローバルイノベーター」の育成を進めている私立高専である。

 同校は「Society5.0の基盤となるAI、IoT、ロボティクス分野の実践力を涵養する」ことを目指しており、英語でのSTEM教育をカリキュラムの中心に据えている。英語・数学・工学・科学の科目はすべて英語で授業を行う。AI、IoT、ロボティクス分野の科目とともに「ビジネスマネジメント」も1年生から設置されているのが特徴的で、アイデアや技術とともに、それらを社会実装していく術を早くから身に付けることができる。

1・2年生がともに生活し学ぶ白山麓キャンパス

 1~2年生は白山麓キャンパスで寮生活をしながら、仲間や教員・スタッフとともに学ぶ。特に校舎が立地する白山麓一帯は少子高齢化に伴う農業人口の減少や獣害などの地域課題が身近にあり、地元住民と連携しながら、学んだ知識を実社会の課題解決に活かせるのも魅力だ。3年生は、ニュージーランドの国立オタゴポリテクニクへ1年間留学。現地でホームステイをしてオタゴポリテクニクに通い、現地の学生や世界から集う留学生たちとともに専門科目を学ぶ。現地の社会・環境をテーマにしたプロジェクト活動も進めるという。

 4~5年生(大学1~2年生相当の年齢)は、金沢工業大学と共有する金沢キャンパスで学ぶ。金沢工業大学がグローバル人材の育成に向けて新設する国際教養理工学環で、大学の授業を履修し、大学の研究室に参加。大学4年生とともに研究や世代・分野・文化を超えたプロジェクト活動を行うことで、専門分野の学びを深める。国際高専の魅力は、こうした高専5年間と大学・大学院4年間をつなぐ9年間一貫教育にある。

 自然豊かな白山麓、ニュージーランド、金沢の3つのキャンパスでの学びを通して国内外の多様な人と交わり、実践的な英語力およびSociety5.0に不可欠な知識・技術を身に付け、地域や世界の課題解決のプロジェクトを進めていくことで、グローバルな視点をもつイノベーターを育むのが大きな特徴だ。

分野を超えて多彩な人と交流しプロジェクトを進める



 「イノベーションをおこすには分野を超えた交流と発想が必要ですが、国際高専はそれに適した環境が用意されています。理工系が好きな学生はもちろん、英語が得意な学生、ビジネスを学びたい学生、留学生や帰国生など多彩な学生が集まりプロジェクトを進めることで、チームにさまざまな化学反応を起こすことができます。1~2年生は土日も自分の好きな研究に没頭して、先生や仲間と一緒にものづくりを楽しんでいる」と、日々の学生のようすを語るのは国際理工学科学科長の松下臣仁教授だ。

 カリキュラムに含まれる、ビジネスマネジメントやAI、ロボティクスなど専門科目は、一般的には敷居が高そうに思われがちだが、15歳からしっかり学べる環境が整っており、多様な人々と交流をしつつ、興味のある研究やものづくりにチャレンジできるという。これは大きなメリットだろう。

 特に同校の核ともいえる「エンジニアリングデザイン」の授業では、問題発見・解決に取組み、実際に手を動かしてプロトタイプを作る活動をチームで実践する理工系PBL(Project Based Learning)が行われる。すでに多くのプロジェクトが進行しており、成果を出している。とりわけ2年生たちが地域住民の悩みをもとに開発した「獣害対策のためのAIを用いたサル認識システム」はU-21学生研究発表会で最優秀賞を受賞するなど、輝かしい実績を残している。

エンジニアリングデザインの授業のようす

ボーディングスクールで学ぶ実践型の英語と理工学



 国際高専の特色ある授業の一部を体験できるのが、2022年8月6日、7日の2日間にわたって開催される学校見学会・授業体験だ。開催場所は、自然豊かな白山麓キャンパス。1~2年生が教員・スタッフとともに1つの学び舎で生活をともにしながら学習や課外活動に取り組む、まさにその場所で「ボーディングスクール」ならではの学びを垣間見ることができる。

 1日目の8月6日は学校見学会を実施。英語でSTEM科目を学ぶEnglish STEM授業、数学や物理で活用する専門的な英語表現を学ぶBridge English授業の2授業を体験したのち、1~2年生が寮生活を送る白山麓キャンパスのキャンパスツアーが行われる。

 2日目の8月7日は、プログラミング・化学実験・エンジニアリングデザインの3つから1つ好きなものを選んで体験できる選択制の授業体験。どの授業も英語で行われ、同校における英語でものづくりを学ぶ楽しさを体感できるはずだ。英語が得意ではなくてもバイリンガルの先生や実際に学んでいる先輩の学生がサポートについてくれるので安心して授業を受けられる。

 今回体験できる授業の内容を紹介しよう。6日のEnglish STEM授業体験では、「Bicycle Dynamoの仕組みを知ろう!」をテーマに、自転車のライトの発電の仕組みを実験を通して学ぶ。英語が飛び交う環境下で、手を動かしながら学ぶことで「すべての英語を理解できなくてもなんとなくついて行ける」という実感と自信をもつことができるはずだ。

 また同日2コマ目のBridge English授業体験は、STEM分野における専門的な英語表現の基礎を学ぶ授業で、当日は「パラシュート実験体験」を行う予定。紙のパラシュートを作って目的地に落下させ、順位を競う。いわゆる受験英語と、実際の数学や物理で使う英語表現の違いを体験し、ものづくりの現場でより実践的な英語を学ぶ必要性を考える内容だ。

 「材料の名前や、今回の実験で行う『投げる』『落下させる』といった表現は、実社会で使用するシンプルな表現ながらとっさに出てこないことがあります。今まで習ったことがない英語表現を学べると思います」と松下教授。一方的に先生から教わる授業ではなく、手を動かし、互いに英語でコミュニケーションを取りながらSTEMや英語表現を学んでいく。国際高専の学生たちが普段行っている「楽しみながら英語表現を身に付ける」という行為を、この授業体験を通して肌身で感じられるはずだ。

 続くキャンパスツアーでは、豊かな自然に囲まれ、本格的な技術系設備に恵まれたキャンパスを存分に見てまわることができる。国際高専のスタッフがLiving CommonsやMaker Studio、Computer LabやLaboratory、Goden Eagle Cafeteriaや体育館、学生寮などを案内してくれる。

プログラミングの授業のようす。授業体験ではオリジナルチャットボットを作成する

プログラミングやエンジニアリングデザインも英語で



 2日目となる8月7日は、各自興味のある授業を1つ選んで体験する。プログラミング体験はPythonというプログラミング言語を使い、コンピュータと対話をするための基本的なプログラミングを学んで、オリジナルのチャットボットを作る。昨今、AI分野を学ぶのに必須の言語とされ、注目されているPython。同校は普段の授業でも取り入れられているという。

 化学実験体験では、我々の生活に欠かせない空気や水の組成や構成要素について、実験を通して学ぶ。空気に関する実験から、環境保全といったSDGsにつながる社会課題を考える。学んだことのポイントや社会へのメッセージをそれぞれスケッチに描き、その絵をもとにレーザーカッターで加工し、キーホルダーを作成する、盛りだくさんの内容だ。

 エンジニアリングデザイン教育体験は、エンジニアリングデザインのプロセスを体験し、インタビュースキルや創造的な問題解決方法を活用して、世界中の人々が使える筆箱のプロトタイプを作成する。アイデア出し、ラフスケッチのみならず、グループで対話を行って改善を進め、紙ベースの筆箱のプロトタイプを作成して、発表し合う。テーマに沿って模索・実践・改善・発表するという問題解決のプロセスを体験する、同校の学びを象徴する授業体験コンテンツだ。

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英語好きも理工系も、好きなことに没頭できる環境



 最後に、松下教授は中学生やその保護者へのメッセージとして、「英語・理工系に限らず、さまざまな関心をもつ子供たちに体験に来てほしい」と語った。

 「国際高専は国内外に広く門戸が開かれていて、学生も非常に多様性豊かです。英語が好きで入学する人にも、理工系が好きな人や何か新しいビジネスを立ち上げたいという人にも、それぞれに創造的かつ実践的な学びの場が用意されているのが魅力。好きなことに没頭できる環境と、多様な個性が集まったチームによるプロジェクト活動により、主体的に楽しくものづくりができるはず。『イノベーターの卵』である皆さん、英語で何か学んでみたい人や、何かをやってみたい人は、ぜひ今回の学校見学会・授業体験に参加して、楽しんでもらいたいですね」(松下教授)。

化学IIAの授業(実験)のようす。授業体験では空気や水の組成や構成要素について学ぶ予定

Society5.0社会を生きる基盤となる力を育む国際高専



 Society5.0の実現はそう遠くない未来にやってくる。そうした未来を拓き、社会を支え、課題解決能力を携えた人材を育てるにはどうすればいいのか。その答えの1つが国際高専の教育にあるのだろう。この8月に開催される学校見学会・授業体験にて、ぜひ同校の実践的な教育力を確かめてほしい。ここで経験した英語で楽しく科学・工学を学ぶ体験は、子どもの英語や科学・工学への興味を引き出し、その後の学びを進めるエネルギーとなるに違いない。

国際高等専門学校 学校見学会&授業体験



日時:2022年8月6日(土)13:30~16:30、7日(日)13:30~16:30(いずれかのみの参加も両日参加も可能)
会場:国際高等専門学校 白山麓キャンパス(石川県白山市瀬戸辰3-1)
対象:中学生および保護者
申込方法:同校Webサイトより申込む
申込締切:8月3日(水)17:00
内容:
【学校見学会】学校長挨拶、English STEM授業体験、Bridge English授業体験、キャンパスツアー、個別相談
【授業体験】プログラミング・化学実験・エンジニアリングデザインの3つから1つ選んで授業体験(各授業の定員20~30名)

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都内にて、私立高専4校の合同進学説明会も開催



 同校について知ることができるイベントが東京都内でも開催される。7月31日に東京都港区の「金沢工業大学(KIT)虎ノ門キャンパス」において行われる「第1回私立高専合同進学説明会」だ。

 私立高専の合同進学説明会は、今回初開催。これは、国際高専はじめ、近畿大学工業高専、サレジオ工業高専、神山まるごと高専(仮称・認可申請中)の私立高専4校が合同で行う説明会で、各校の特色について、制作物展示や説明、質疑応答、個別相談などでじっくり知ることができる。国際高専の展示コーナーでは学生が作成した学校のバーチャル体験ツアーを行う予定だという。「高専設置60周年を機会に初開催される説明会。8月の学校見学会に来られない関東近郊の人にぜひ参加してほしいと思います」(国際高専の山岸徹事務局長)。

第1回私立高専合同進学説明会



日時:2022年7月31日(日)13:00~16:00
会場:金沢工業大学(KIT)「虎ノ門キャンパス」(東京都港区愛宕1-3-4 愛宕東洋ビル13階)
対象:私立高専に関心のある人、保護者、教育関係者
申込方法:Webサイトより申込む
申込締切:7月29日(金)12:00
実施内容:学校説明、質疑応答、個別相談会、各校制作物展示コーナー

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《羽田美里》

羽田美里

羽田美里

執筆歴約20年。様々な媒体で旅行や住宅、金融など幅広く執筆してきましたが、現在は農業をメインに、時々教育について書いています。農も教育も国の基であり、携わる人々に心からの敬意と感謝を抱きつつ、人々の思いが伝わる記事を届けたいと思っています。趣味は保・小・中・高と15年目のPTAと、哲学対話。

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