小池都知事、東京23区の大学における定員抑制の撤回要望

 東京都は2022年9月8日、内閣官房に対し「東京23区の大学における定員抑制等に係る要望」を発出した。2018年に施行された東京23区の大学における定員増を抑制する規制に対し、適切な検証・検討を行い、早期撤回を含めた必要な見直しを行うよう要望を求めた。

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 東京都は2022年9月8日、内閣官房に対して「東京23区の大学における定員抑制等に係る要望」を発出した。2018年に施行された、地方創生を名目として東京23区の大学における定員増を抑制する規制に対し、適切な検証・検討を行い、早期撤回を含めた必要な見直しを行うよう要望を求めた。

 国は、2018年(平成30年)5月に、地方創生を名目とした東京23区の大学における定員増を抑制する規制を含む「地域における大学の振興および若者の雇用機会の創出による若者の修学および就業の促進に関する法律」を制定、同年10月に施行した。

 法律の附則には、「2024年(令和6年)3月31日までの間に、専門職大学等の設置の状況その他この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」と定められており、附帯決議においても「収容定員の抑制期間が10年と長期にわたることから、途中の年度において、その運用状況および効果について検証を行うとともに、大学の国際競争力を損なうことのないよう定員抑制措置の随時の見直しを行うこと」と定められている。国においても、有識者会議を設置し、法律の施行状況等について検討を行うとの方針を示している。

 今回、東京都知事の小池百合子氏は、デジタル田園都市国家構想担当大臣の岡田直樹氏に対して「東京23区の大学における定員抑制等に係る要望」を発出。本規制は、場所だけを理由に次代を担う人材の育成やイノベーションの創出に極めて重要な役割を担う大学に対して制限を課し、学生の選択や大学経営の自由を縛るものであり、学生の学びと成長の機会を奪うだけでなく、大学の教育・研究体制の改革を滞らせ、大学の国際競争力を低下させることにつながりかねないとして警鐘を鳴らした。

 さらに、通信技術の向上やコロナ禍を契機に多様化したライフスタイル等、現在の社会情勢の変化を踏まえると、規制が明確に合理性を欠いていると指摘。日本全体の持続的な発展のためにも、今後の国の有識者会議での議論にあたり、法律の施行状況や規制の運用状況・効果について、適切な検証・検討を行い、早期撤回を含めた必要な見直しを行うよう求めた。


《畑山望》

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