プール熱、類を見ない流行続く…インフルも全国的に警報レベル

 国立感染症研究所は2023年11月7日、感染症発生動向調査週報(IDWR)の第43週(10月23日~29日)速報データを公表した。通常、夏場に流行する「咽頭結膜熱」いわゆるプール熱の患者数がいまだに増加傾向にあり、10道府県で警報レベルを超えるなど、異例の状況が続いている。

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咽頭結膜熱 過去10年の定点あたり報告数の推移
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 国立感染症研究所は2023年11月7日、感染症発生動向調査週報(IDWR)の第43週(10月23日~29日)速報データを公表した。通常、夏場に流行する「咽頭結膜熱」いわゆるプール熱の患者数がいまだに増加傾向にあり、10道府県で警報レベルを超えるなど、異例の状況が続いている。

 咽頭結膜熱は、38度を超える発熱とのどの痛み、結膜炎や目の痛みなどの症状を主とした、アデノウイルスによる小児の急性ウイルス性感染症。通常夏期に流行し、6月ごろから徐々に増加、7~8月にピークを迎える。プールを介して子供たちの間で流行するケースが多いため、別名「プール熱」と呼ばれる。

 国立感染症研究所のIDWR速報データによると、全国約3,000の小児科定点医療機関が報告した第43週の咽頭結膜熱の報告数は、全国で7,635人(定点あたり2.43人)。本来のピーク時期を過ぎてもなお増加しており、過去10年で最多となる流行状態が続いている。

 第43週の定点あたり報告数を都道府県別にみると、もっとも多いのは「福岡県」6.94人、ついで「沖縄県」5.81人、「佐賀県」5.22人、「奈良県」5.09人、「福井県」4.80人、「大阪府」3.86人、「三重県」3.64人、「京都府」3.49人、「北海道」3.15人、「和歌山県」3.00人。10道府県が、警報レベルの基準値となる定点あたりの患者数3人を超えており、特に関西より西のエリアでの流行が目立つ。

 一方で、インフルエンザの流行も顕著に勢いを増している。2023年第44週(10月30日~11月5日)の定点あたり報告数は21.13人(患者報告数10万4,359人)となり、前週の定点あたり報告数より1.45ポイント増加。11週連続で増加傾向にある。

 都道府県別の定点あたり報告数は、「山梨県」39.63人、「埼玉県」34.84人、「愛知県」34.62人、「長野県」32.89人、「福島県」32.66人、「愛媛県」30.62人、「千葉県」28.78人、「佐賀県」28.59人、「鳥取県」28.38人、「高知県」27.80人の順となった。全体では37都道府県で前週の報告数よりも増加、10都道府県で前週の報告数よりも減少している。

 休校、学級閉鎖などの措置をとる施設数も増えており、第44週は全国で休校139施設、学年閉鎖1,062施設、学年閉鎖3,866施設、計5,067施設がインフルエンザによる休業などの措置をとっている。うち、もっとも多い施設は小学校で3,282施設。

 アデノウイルス、インフルエンザともに、予防には流水と石けんによる手洗いやうがいの徹底、マスクの着用、咳エチケット、感染者とタオルを使いわけるなどの基本的な対策が有効となる。睡眠、食事といった普段の健康管理や、インフルエンザには適度な湿度を保つことなども有効。

 新型コロナウイルスの5類移行後、初めての冬を迎える2023年。すでに季節外れのプール熱の流行や、早い時期からのインフルエンザ流行など、通常とは異なる感染症の状況がみられる。特に子供たちの間で感染症の同時感染も多くみられることから、今後も各種感染症の流行状況に注意しつつ、各家庭や学校など、日々の生活の中での予防を心がけてほしい。

《畑山望》

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