東京都、島しょ地域初の特別支援「八丈分教室」検証報告

 東京都は2024年1月11日、島しょ地域における特別支援学校分教室のあり方検討委員会報告書について公表した。2021年度から島しょ地域初の特別支援学校の分教室である「八丈分教室」を設置。2023年度は最終年度となるため、検証結果をまとめた。

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島しょ地域における特別支援学校分教室のあり方検討委員会報告書について
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 東京都は2024年1月11日、島しょ地域における特別支援学校分教室のあり方検討委員会報告書について公表した。2021年度から島しょ地域初の特別支援学校の分教室である「八丈分教室」を設置。2023年度は最終年度となるため、検証結果をまとめた。

 東京都教育委員会は、2021年度(令和3年度)に、島しょ地域として初めてとなる特別支援学校の分教室である「八丈分教室」を、3年間のモデル事業として都立八丈高等学校内に設置した。モデル事業の最終年度である2023年度において、八丈分教室設置の効果を検証するため、2023年6月に「島しょ地域における特別支援学校分教室のあり方検討委員会」を設置し、さまざまな視点から議論を重ね、今回、検証結果を報告書として取りまとめた。

 八丈町では、2021度以降継続して知的障害のある複数の生徒が中学校を卒業見込みであること、分教室を設置した場合、すべての学年に生徒が在籍する状況が継続することから、八丈町に知的障害特別支援学校高等部の分教室を設置。都立青鳥特別支援学校の分教室として、都立八丈高等学校内に2021年4月に開設された。都では初の島しょ地域の特別支援学校であり、都立高等学校内に特別支援学校の分教室を設置したことも初めて。

 2023年5月1日時点での八丈分教室の学級・生徒数は、3学級7名(第1学年2名、第2学年2名、第3学年3名)。教職員は副校長1名、教諭6名、都立学校経営企画室支援員(会計年度任用職員)1名、八丈高等学校の養護教諭、経営企画室職員(事務・技能・栄養士)が八丈分教室を兼務している。なお、青鳥特別支援学校は、1947年(昭和22年)に設置された日本で最初の公立の知的障害特別支援学校。

 検討委員会の報告書では、「八丈分教室モデル事業の取組」「八丈分教室モデル事業の効果検証」「島しょ地域における分教室設置の考え方」をまとめている。「八丈分教室モデル事業の効果検証」では、教育活動の取組みとして島内の小・中学校との連携を図り、ひとりひとりの教育的ニーズを踏まえ、障害に応じたきめ細かな指導を実施。作業学習などについては、島内の企業や施設などの理解・協力のもと、島内での自立と社会参加に向けて必要な力を身に付けられるよう実施している。島しょ地域という限られた範囲の中で、地域の人たちと非常に距離が近い形で教育が展開できているという。

 中でも、「分教室における特色ある教育内容」として、八丈高校との交流・連携をあげている。八丈高校との交流および共同学習により多様性や共生社会の理解促進につながっていること、島内関係機関との連携により充実した就業体験・現場実習などができていることなどから十分な効果を確認。さらに、同校と連携し日常的な集団学習を補完すること、現在と同程度の集団による教育活動を維持することにより、適切な規模による教育が安定的に継続できることを確認している。

 検討委員会は、八丈分教室を2024年度(令和6年度)以降はモデル事業の継続ではなく正式に分教室として位置付けることを提言。また、島しょ地域における知的障害教育部門・高等部の特別支援学校分教室設置に関する考え方を、「既設の高校との併設により、適切な学習環境を整えることができること」「併設する高校と分教室が、教職員や施設面などにおいて、相互理解のもと、円滑な協力関係を構築できること」「設置後数年間にわたり1学年に複数人の生徒入学があり、全学年に学級を設置することが継続的に見込まれること」の3つに整理した。今後、島しょ地域において分教室設置を計画する際にはこれらの考えを目安として提言していく。

《田中志実》

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