大学生の生活費調査、アルバイト収入増加

 2024年10月から11月にかけて、全国大学生活協同組合連合会が全国の国公立および私立大学の学部学生を対象に実施した「第60回学生生活実態調査」の結果が発表された。調査は学生の生活、特に経済的側面と大学生の意識や行動を把握し、大学生協の事業や活動の改善に役立てることを目的としている。

生活・健康 大学生

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調査項目の概要
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 2024年10月から11月にかけて、全国大学生活協同組合連合会が全国の国公立および私立大学の学部学生を対象に実施した「第60回学生生活実態調査」の結果が発表された。調査は学生の生活、特に経済的側面と大学生の意識や行動を把握し、大学生協の事業や活動の改善に役立てることを目的としている。今回の調査では、物価高の影響で消費支出が増加し、アルバイト収入が増加傾向にあることが明らかになった。また、生成系AIの利用経験が大幅に増加していることもわかった。

 調査は全国の30大学生協に所属する1万1,590名の学生を対象に、無作為抽出された学生にオンラインで回答を求める形で行われた。調査項目には、収入・支出、奨学金、アルバイト、登校日数、サークル所属、就職活動、学生生活充実度、勉強時間、読書時間、ChatGPTなどの文章生成系AI利用状況・目的が含まれている。

 調査結果によると、物価高の影響により、自宅生・下宿生ともに消費支出が増加し、貯金は減少している。特に「生活費やお金」に悩む学生が多く、アルバイト収入が増加していることがわかった。自宅生の収入合計は6万8,370円で前年より2,400円増加し、アルバイト収入が4万6,060円と3,050円増加した。下宿生の収入合計は13万2,140円で2,900円増加し、仕送り額が7万2,350円と前年より2,230円増加した。

 また、生成系AIの利用経験が2023年の46.7%から2024年には68.2%に大幅に増加したことがわかった。学生たちは誤情報や倫理面のリスクを理解したうえで、授業や研究、レポート作成の参考やプログラミングなどに幅広く利用している。これにより、生成系AIを活用した「新しい学びの姿」が定着しつつあることがうかがえる。

 アルバイト就労率は76.8%と過去10年間で最高となり、1か月のアルバイト収入有額平均は5万970円でコロナ禍前を超えている。アルバイト収入が「1ヶ月7万円以上」の層が増加傾向にあり、学業とアルバイトのバランスが懸念される者もいる。

 奨学金受給者は3割に満たず、奨学金制度の充実や授業料減免を求める声が多く寄せられている。何らかの奨学金を受給している学生は28.6%で、貸与型奨学金受給者の67.9%が将来の返済に不安を感じている。

 今回の調査結果は、大学生の生活が物価高や経済的な不安に直面していることを示している。大学生協は、これらのデータをもとに、学生の生活を支えるための施策を検討していくことが求められる。

《風巻塔子》

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