学部選びに悩む高校生へ…青山学院大学社会情報学部で見つける文理を分けない"第三の選択肢"

 青山学院大学の社会情報学部は、文理の枠を超え、英語・プログラミング・数学・統計を徹底的に鍛えることで、実社会の複雑な課題を多角的に解決できる力を育成している。学部長と4人の学生へのインタビューから、その学びの本質に迫る。

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青山学院大学社会情報学部で見つける
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 「あなたは文系ですか?理系ですか?」と聞かれ、戸惑う受験生は少なくない。実社会では、文理の別なくさまざまな課題に直面するものだ。AIが急速に進化し、人間が果たす役割を変えつつある今、こうした文理を分ける進路選びに違和感を抱いているなら、ここに最適解がある。

 それは、青山学院大学の社会情報学部だ。これからの時代の基礎力ともいえる英語、プログラミング、数学、統計を徹底的に鍛え、文系・理系、さらにはこれまで専門領域とされてきた社会・情報・人間の各分野の学びを融合し、複数の視点から実社会の複雑な課題の解決に貢献できる力を育成している。

 本記事では、学部長と4人の学生へのインタビューを通じて、その学びの本質と価値を紐解く。

青山学院大学社会情報学部
長橋透教授…社会情報学部長
寺田理紗さん…社会情報学科/社会・人間コース4年(石田研究室)
青木美琴さん…社会情報学科/社会・情報コース4年(南部研究室)
西堀宙知さん…社会情報学科/社会・情報コース4年(宮治研究室)
落合諒さん…社会情報学科/人間・情報コース4年(香川研究室)
※学年、所属学科、研究室はインタビュー当時の情報である。

「データ分析に強い文系、コミュニケーション力の高い理系」を育成

--近年、「文理融合」を掲げる学部は他大学にも増えていますが、青山学院大学の社会情報学部はどう違うのかを教えてください。

青山学院大学 社会情報学部 学部長 長橋透教授

長橋学部長:今、日本の教育では学年進級とともに文系と理系に分けてしまう高校が多くありますが、社会に出ると文理の別なくさまざまな知識が必要となる場面が多分にあります。そうした現実をふまえ、社会情報学部は、「文系でもあり、理系でもある」学びを追究し、実社会での課題解決に必要な力を養成したいとの考えから、2008年に開設されました。

 本学部が重視しているのは、1つの物事を従来の専門領域とされてきた社会・情報・人間の複数の視点から捉える力、つまり「複眼思考」です。それには、数理的素養、論理的思考力、豊かなコミュニケーション能力、高度な情報活用の4つの力が不可欠であり、青山学院大学の社会情報学部はここを確実に養います。

--社会情報学部で育てたいのは、どのような人材ですか。

長橋学部長:一言で表すと、「データ分析に強い文系、コミュニケーション力の高い理系」です。文系の強みである発想力に、データ活用力や論理的思考力が加わる。一方で、理系の強みである専門性には、人と関わり、協業できる力が加わる。このような人材を育てたいと考えています。

英語・数学・プログラミング・統計が必修…1年次から鍛える4つの基礎力

--では、その4つの力を身に付けるための具体的なカリキュラムについて教えてください。

長橋学部長:まず1年次には、英語・数学・プログラミング・統計を集中して学びます。これらは単なる知識としてではなく、2年次以降の学びの土台として位置づけています。英語ではコミュニケーション力やプレゼンテーション力、数学やプログラミングでは論理的な思考力を、統計ではデータを正しく捉える力を、学部生全員が基礎スキルとして身に付けます。

 2年次以降では、学際領域(いくつかの分野にまたがり関連する領域)を学ぶ「リエゾン科目」など、多様な科目を履修することができます。グループワークやプロジェクト型の授業を多く取り入れ、実社会の課題をテーマに、協働しながら解決策を考える経験を積みます。こうして、ひとりひとりが専門性を高めていきつつ、多様なバックグラウンドや関心をもつ学生のコラボレーションを通じて、徐々に複眼的な視点が身に付いていきます。

 3年次からは、「社会・人間」「社会・情報」「人間・情報」の3コースに分かれ、さらに専門性を高めていきます。どの領域を組みあわせて専門性を深めるかは、学生の選択次第です。

--高校生の段階では自分の興味や関心が絞りきれていなくても、1・2年次に幅広く学びながら模索でき、専門性へとつなげていけそうですね。

長橋学部長:そこが本学部のカリキュラムの最大の特長だと思っています。入学時と卒業時ではまったく違う方向に向かっている学生も少なくありません。こうして、自分自身の成長をより大きく感じられるのも、本学部の面白さと言えるかもしれません。

社会情報学部を選んだ理由…数学への不安はどう乗り越えたのか

--では、ここからは学生の皆さんに伺います。まず、青山学院大学社会情報学部を選んだ理由を教えてください。

西堀宙知さん 社会情報学科/社会・情報コース4年(宮治研究室)

西堀さん:僕はものづくりが好きで、高校では理系でした。当初は情報工学に進もうと考えていましたが、ものづくりだけでなく、それが社会の中でどう使われるのかという“実装”の部分にも興味があったので、どちらも学べるこの学部を選びました。

青木さん:私は高校時代には理系選択だったのですが、受験の際に文転し、社会情報学部は数学選択で受験しました。大学受験の際、何を学びたいか絞り込むことができなかったので、幅広く学べる点が進学の決め手となりました。

落合さん:僕の高校時代は熊本で陸上に打ち込んでいたのですが、怪我で競技を断念せざるをえませんでした。将来のビジョンが具体的に描けていなかったため、複数の領域を学べ、徐々に興味を深掘りしていけるところに惹かれました。

寺田さん:私は高校時代、理系クラスに在籍していたものの、文系分野にも関心があり、理系も文系も両方学べる学部と知って進学を希望しました。実際、オープンキャンパスに足を運んだときは、模擬授業の内容に加えて、自然豊かで綺麗なキャンパスにも魅力を感じました。

--社会情報学部は入試で数学を必須にはしていませんが、入学後には数学をしっかりと学ぶカリキュラムになっていますね。

落合さん:僕は高校では文系だったので、入学するときには不安がありました。

長橋学部長:その点はやはり入学後の1つのハードルになると思いますので、落合さんのように文系出身で数学に不安のある学生には、入学後に高校数学の基礎から学び直すカリキュラムを設け、さらには個別で常時質問できるサポート体制も整えています。もちろん、より発展的な内容を学びたい学生にはもっと踏み込んだ授業もあり、それぞれのレベルに応じて履修選択が可能です。

落合さん:入学したころは、正直言って大変でしたが、授業では基礎から丁寧に教わり、一歩ずつ理解が進みました。わからないところはすぐ質問できましたし、高校から理系選択の友人が教えてくれることもありました。結果的に、今は数学に対する苦手意識はほとんどなくなったと感じています。

授業と実社会がつながる…学生たちが実感する成長と変化

--社会情報学部という文理融合の新しい領域の学部で学ぶことで、自分自身にどのような成長があったと感じますか。

寺田理紗さん 社会情報学科/社会・人間コース4年(石田研究室)

寺田さん:授業で扱うテーマが実社会の課題に近いので、日常生活の中で「これって授業で学んだこととつながるな」と感じる場面が増えましたね。授業は文系・理系どちらの科目もあるので、勉強量が多くてスケジュール管理が大変でしたが、その分視野が広がりましたし、私も実際に「学んだ知識をどう使うか」と考える習慣が身に付いたと思います。

青木さん:私も同じです。特に「データ分析」の授業を受けてからは、日常の出来事も数字や根拠で考えるようになりました。ニュースやSNSでも「このデータは何を意味するのか」と考えるようになり、感覚的な部分を論理的に捉えようとする意識が強くなりました。

落合さん:それに加えて、授業ではグループワークで学生同士意見を出しあう機会がとても多いので、自分の考えを言語化する力、そして相手の考えを傾聴し、理解する力が自然と身に付いたように感じています。

西堀さん:社会情報学部は学際的な学びがベースにあるので、他学部の学生とも共通の話題が多く、専門的な話もしやすい環境です。僕はプログラミングサークルに所属していて、理工学部など異なる専門分野の学生と一緒にものづくりをするのがすごく楽しくて、一緒に学外のコンテストに挑戦したこともあります。そうした経験の中で、実社会では技術だけでなく、作ったものをどう見せるか、どう社会に届けるか、それを使う人がどう感じるかといったことを意識するようになり、まさに複眼的な思考が身に付いていることを実感しました。

地域課題の解決からAI研究まで…「この学部だからできた」実践的な学び

--皆さんの「社会情報学部だからこそできた」と感じる取組みについて教えてください。

寺田さん:私が所属している石田博之教授の研究室では、地球温暖化やエネルギーについてのテーマを扱っていて、3年次にはキャンパスのある相模原市と他都市とを比較しながら現状を分析し、最終的には相模原市に対して課題解決に向けた提案まで行うことができました。実際にデータを分析するだけでなく、それを社会にどう生かすかまでを考えることができるのは、この学部ならではだと思います。

青木さん:私が所属している南部和香教授の研究室では計量経済学を専門に、日常の中で感じた疑問をデータで分析し、社会的な意味と結びつける研究に取り組んでいます。私は幼少期から些細なことに「なぜ」「どうやって」と疑問をもつことが多かったのですが、自分がそうやって感じていた疑問を数値や根拠をもとにデータ分析して説明できるようになり、物事の見方、捉え方が大きく変わりました。そして、寺田さんが言ったように、分析した結果を社会に還元できるというのもこの学部の醍醐味だと思います。

落合さん:私は香川秀太教授の研究室で、異なる価値観をもつ人たちとの交流やネットワークから生まれるものとは何かをテーマに学んでいます。ラッパーの方や労働者協同組合の方、社会起業家の方々との対話、ワークショップなどを通じて、「AI時代だからこそ、効率性だけではない人間のつながりや、生き方の選択肢を広げる対話の場」が重要だと実感しました。進路に悩む同世代が多い現代だからこそ、さまざまなコミュニティで本質的な居場所をもつ人たちと触れあい、視点を増やしていくことが大切だと考えています。

落合諒さん 社会情報学科/人間・情報コース4年(香川研究室)

西堀さん:僕が所属する宮治裕教授の研究室では、AIによるセンシングや機械学習を使った研究に取り組んでいます。理工学部にも近い研究がありますが、新しい技術を作るだけではなく、それを導入するためのプロセスや評価基準、実際に使った人の反応やコスト、社会への影響など、さまざまな要素をふまえて考えることが、社会情報学部のおもしろさだと思います。さまざまな視点から新しい価値を生み出していくことは、AIにはまだ難しく、人間ならではの役割だと感じています。

--皆さんそれぞれ実社会の課題解決に向けて精力的に取り組まれているようすが伝わってきます。長橋学部長から見て、社会情報学部では学生たちにどのような力が身に付いていると感じますか。

長橋学部長:学生たちの話を聞いて、まさに我々がめざす「複眼思考」がしっかりと身に付いていることを実感しました。複数の視点を行き来しながら、自分なりの問いを立て、課題の解決をめざして向きあっている。その姿は、まさに本学部が求めている学びそのものです。

 AIと共存するこれからの時代に、文理の枠を超えた「データ分析に強い文系、コミュニケーション力の高い理系」という人材は、人と技術、人と社会、人と情報、人と人とをつなぎ、さまざまな局面でその真価を発揮することでしょう。

「決められない」も出発点になる…学部選びに迷う高校生と保護者へのメッセージ

--皆さんは4月から4年生ですが、現時点で将来の進路はどのように考えていますか。

西堀さん:来春からソフトウェアエンジニアとして働くことが決まっています。AIの影響を強く受ける分野ではありますが、人間にしかできない「学びと学びをつなげる視点」を大切にしつつ、AIと共に社会の価値を生み出していけるエンジニアになりたいと考えています。

落合さん:僕は組織開発など人に関わる領域に興味があり、人が働く環境をより良くしたいと思っています。AI時代だからこそ、人と人とのつながりや対話の価値を大切にしたいなと。コミュニケーションの希薄化が危惧される中、ひとりひとりの「その人らしさ」を生かしながら、イノベーションを生み出していけるような企業で働きたいと考えています。

寺田さん:私は地域活性化に携わりたいので、公務員をめざしています。社会情報学部で身に付けた複眼的な視点を生かしながら、その地域に住む人たちの暮らしに寄り添った課題解決ができるようになりたいです。

青木さん:私は就活中ですが、長橋学部長がおっしゃった複眼的な視点や、学んだ知識や技術を実際に使って課題を解決するプロセスを学べたことは、大きな強みだと感じています。どの業界に進んだとしても、ここで身に付けた力を発揮し、常に新たな課題に挑戦し続けたいと思っています。

--最後に、学部選びに悩む高校生や保護者の方に向けてメッセージをお願いします。

青木美琴さん 社会情報学科/社会・情報コース4年(南部研究室)

青木さん:私は高校時代、理系選択だったものの、自分が大学で何を学びたいのか決めかねていました。ですから、文理の領域をつなぎ、融合した学びを通じて考える力と実践力を養うこの学部が私にはとても合っていたと思います。今、学部選びに悩んでいる皆さんも、大学の4年間で自分も気付かなかったような興味に出会える楽しさをぜひ味わってほしいです。

寺田さん:私も大学で何を学びたいか明確に決めきれずにいましたが、社会情報学部の学際的な学びの中で、自分の興味を見つけることができました。迷っている人こそ、いろいろな可能性に触れられるこの学部で、これまで気づかなかった新たな自分を発見してほしいと思います。

落合さん:これまでの大学生活を通して感じているのは、社会情報学部では、自分の頭で考える力、そしてそれを実践していく力が身に付いたということです。受験期に自分の将来を考えるのは難しいと思いますが、試行錯誤する過程も含めて支えてくれる環境がここにはあるのだと感じています。

西堀さん:AIの進化に不安を感じている人は多いと思いますが、私は学びをより速く深く進められる時代になったと思っています。だからこそ大切なのは、自分の引き出しを増やしていくことではないでしょうか。社会情報学部は、さまざまな分野の学びの種が集められる環境が整っているので、大学時代に種をたくさん集めて、将来はそれを大きく育ててほしいと思います。

長橋学部長:西堀さんが話してくれたように、社会情報学部は、さまざまな学問分野にふれながら、自分の中に“知識の引き出し”を増やしていく学部です。社会に出たときに「あのとき学んだことがここにつながっているんだ」と気付くこと。それは社会で生きる確かな力になります。

 本学部が大切にしているのは「リエゾン(つなぐ)」という考え方です。学問と学問、人と人、そして人と社会をつなぐ。そうしたつながりを通じて、人は新しい価値を生み出すことができるようになります。ぜひ、青山学院大学の社会情報学部で、文系・理系という枠にとらわれず、自分に足りない力を補いながら、新しい価値を生み出せる人材として成長していってほしいと願っています。

--ありがとうございました。


 学部選びに悩む高校生にとって、「何を学びたいか決めきれない」という不安は大きい。しかし今回の取材を通して見えてきたのは、「決められないこと」も出発点になり得るということだ。

 文系か理系かという枠に捉われず、社会科学・情報科学・人間科学といった異なる分野をつないで新しい価値を生み出す。AI時代に求められるのは、まさにそうした人材なのだろう。社会情報学部は、その土台を築く場として確かな可能性を示している。

青山学院大学 社会情報学部青山学院大学 オープンキャンパス

《畑山望》

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