埼玉県吉川市で2026年8月8日、「『思うは招く』ロケット教室」が開催された。主催はドリームロケットプロジェクトよしかわ実行委員会。会場となった吉川市役所と永田公園には、ロケットづくりに参加した小学4年生から18歳までの子供39人を含む約100人が来場し、ロケットづくりと発射体験を通して、挑戦することの大切さや試行錯誤する楽しさを学んだ。
今回のロケット教室は、埼玉県吉川市を中心に活動する市民有志グループのネギシスターズが発起人となって企画したもの。小説およびドラマ『下町ロケット』の主人公のモデルとなった植松努氏の「思うは招く」の理念に共感し、ロケット教室を全国に広める活動を行うドリームロケットプロジェクトの協力と、吉川市の後援を受けて実現した。
ロケット教室の特徴は、大人が手取り足取り教えるのではなく、子供たち自身が説明書を読みながらロケットを完成させる点にある。子供たちは自ら考え、手を動かしながら組み立てを進め、完成後には実際に自分で作ったロケットを飛ばすところまで体験した。

「どうせ無理」をなくしたい
この活動の根底にあるのは、「どうせ無理」という言葉で子供たちの可能性を閉ざしてほしくないという思いだ。植松氏は「挑戦には失敗や困難がともなうが、それを乗り越えた先にある達成感や喜びを感じてもらいたい」と考えているという。現在、そうした植松氏の理念に共感した団体は約90存在し、全国でロケット教室を展開しているという。
通常のロケット教室では、植松氏の講演映像を視聴した後にロケットづくりを行う。しかし今回は特別に、植松氏本人がサプライズで登壇し、約30分にわたり、子供たちへ直接メッセージを届けた。子供たちは夢や挑戦について語る植松氏の言葉に、真剣な表情で熱心に聞き入っていた。
講演後、いよいよロケット制作に取り組む子供たち。説明書を見ながら慎重に作業を進める子や、友達と確認しながら組み立てる子など、その姿はさまざま。試行錯誤しながら取り組むようすも見られた。


子供たちがロケットを制作している時間には、保護者向けの講演も実施された。約1時間にわたる講演では、子供の可能性を信じることや、挑戦を支える大人の役割などについてが、植松氏によって語られた。
聴講者の中には、深くうなずきながらメモを取る人や、涙をぬぐう人の姿も見受けられた。参加した保護者からは、「子育てで悩んでいたことの参考になった」「子供への声かけを見直したいと思った」「とても心に響いた」といった感想が聞かれ、講演が大きな共感を呼んでいたことがうかがえた。


子供たちの「未来」を飛ばす
完成後は、吉川市役所から徒歩圏内にある永田公園へ移動し、いよいよロケットの発射体験へ。カウントダウンとともに発射ボタンが押されるたびに、会場からは歓声が上がった。
高く飛び上がるロケットに大喜びし、パラシュートを開いて降下するロケットをキャッチしようと、全力で追いかける子どもたちの姿も見られた。


参加した子供たちからは、「ロケット作りは簡単だったけれど、飛ばしてみたら思ったようにいかなかった」「難しいところがあったので工夫してみた」「うまく飛んでうれしかった」など、それぞれの体験を振り返る声が聞かれた。
今回のロケット教室は、単にロケットを作って飛ばすだけではなく、自ら考え、挑戦し、成功や失敗を経験する機会となった。子供たちはロケットづくりを通して、科学への興味に加え、思いどおりにならないときに工夫することや、まずはやってみることの大切さを感じたようだ。
イベントの最後には、今回の発起人であるネギシスターズによる特別サイズの「ネギロケット」が登場。参加者が見守る中で打ち上げられ、会場は大きな歓声に包まれた。

子供たちの「やってみたい」という気持ちを後押しし、挑戦する楽しさを伝えた今回のロケット教室。ロケットが空高く舞い上がる体験とともに、地域ぐるみで子供たちの学びを支える取組みとして、多くの気付きが残る1日となった。

