【2026年最新版】早稲田と慶應「ダブル合格者」はどちらを選んだのか?

 毎年大反響の東進ハイスクールによる「ダブル合格者進学先分析」。早稲田と慶應、2026年の注目の結果は?運営元であるナガセの広報部長・市村秀二氏に、最新のデータから解説していただく。

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【2025年最新版】早稲田と慶應「ダブル合格者」はどちらを選んだのか?
【2025年最新版】早稲田と慶應「ダブル合格者」はどちらを選んだのか? 全 24 枚 拡大写真

 東進ハイスクールが独自に作成し、毎年公開直後から大きな反響を呼んでいる「ダブル合格者進学先分析(以下、ダブル合格分析)」。これは、たとえば早慶を併願して、両方受かった場合に実際に進学するのはどちらかといった最終的な進学先を分析したものだ。

 少子化にも関わらず、依然として狭き門の早慶(早稲田大学(以下、早稲田)・慶應義塾大学(以下、慶應))や明青立法中(明治大学・青山学院大学・立教大学・法政大学・中央大学)、関関同立(関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学)といった私立の名門大学。各大学の人気度や注目度は、志願者数や志願倍率などから測られがちだが、ダブル合格の分析は、そうした数字には表れにくい人気の傾向を示す指標となる。

 今年も最新のデータから、東進ハイスクール運営元であるナガセの広報部長・市村秀二氏が「早慶」「明青立法中」「関関同立」について、それぞれのダブル合格を分析。第1回となる本記事では、私大のトップ2校である「早慶」にスポットをあてる。

インタビューに応じてくれたナガセの広報部長・市村秀二氏

早稲田、入試改革が奏功…慶應は志願者増

--早稲田・慶應の最新の出願動向について教えてください。

 まず、私立大学全体の一般選抜の総志願者を見ると、前年度比112.3%(東進集計233校)で、志願者は1割以上増加しました。共通テストの難化により、国公立大志願者の私立大の併願数増加や、私立大への志望校変更などが原因だと推定されます。そのような背景がある中で、早慶の状況を、各大学が公表しているデータをもとにまとめました。

早稲田大学

 2026年の総志願者数は94,438名(前年度比98.4%)と、3年ぶりに増加した2025年度(95,938名)からわずかに減少したものの、高い水準を維持しています。共通テスト利用方式を多数設けているため、共通テストが難化した影響で国公立大学志望者が併願の基準に悩み、出願を敬遠した側面がある一方で、昨年が前年比107.3%と大きく伸ばした中での微減であり、依然として高い人気を誇っているといえるでしょう。

 現浪比率を見ると、一般選抜(共通テスト利用除く)では、志願者ベースで現役が71.5%(前年72.3%)、合格者ベースでは現役が78.7%(前年78.4%)でした。前年から大きな変化はありません。

 出身高校の所在地別では、首都圏(1都3県)の割合は、早稲田の一般選抜の志願数で77.1%(前年76.4%)、合格者数で76.9%(前年76.8%)で、関東圏からの集中が顕著です。

慶應義塾大学

 2026年の一般選抜総志願者数は42,033名(前年度比約104.7%)と3年連続で増加し、2019年以来最高水準となりました。慶應義塾大学は、共通テスト利用の選抜を行っていません。そのため、共通テストの難化に左右されずに勝負できる大学として、国公立大志願者が私立大の併願先を増やしたり、志望校変更をしたりする際の受け皿になった可能性があります。

 現浪比率は、志願者ベースで現役63.4%(前年64.3%)、合格者ベースで現役が71.2%(71.4%)とこちらも前年から大きな変化はありませんでした。早稲田よりも現役の割合が低いのが特徴です。

 出身高校の所在地別では、首都圏(1都3県)の割合は、一般選抜の志願者数で72.4%(前年72.1%)、合格者数で76.0%(75.5%)と、やはり関東圏から集中しており、早慶ともにいずれも大きな変化はありませんでした。

--早稲田・慶應の受験生の中で、どれくらいの割合が国公立大学と併願しているのでしょうか。

 2026年の東進の受験生データをもとに、早稲田・慶應への受験者における国公立大学との併願状況を分析しました。

早稲田大学

 一般選抜受験者のうち、国公立大学との併願者は61.4%でした。同じ首都圏私立大学の明青立法中と比較すると高い割合です。明治大学(51.2%)との差だけでも10ポイント以上あり、立教大学(35.6%)・青山学院大学(35.2%)とは26ポイント近い開きがあります。

慶應義塾大学

 一般選抜受験者のうち、国公立大学との併願者は69.4%と早稲田よりも国公立併願が高い傾向となりました。慶應は早稲田の入試改革以前より、入試科目の設定が難関理系国公立受験生と親和性が高く(数学を重視する形式のある経済学部や理系学部)、国公立併願率が高くなりやすいと推測できます。また、慶應にあり早稲田にはない医学部医学科に絞って見ると、国公立大学との併願率は9割以上となっています。

早慶受験者の6割以上が国公立大学と併願している

--学部別の出願動向にはどのような変化が見られましたか。

早稲田大学

 2026年は13学部のうち6学部で増加、7学部で減少という二極化した動きが見られました。増加が続いているのは文系の学部です。

 文学部(前年度比107.8%)・教育学部(104.2%)・文化構想学部(104.0%)・商学部(102.3%)は3年連続の増加となり、いずれも安定した人気を維持しています。国際教養学部(108.6%)も3年連続の増加で、グローバルな学びへの関心の高さが表れています。人間科学部(107.2%)は前年度の大幅減少(76.2%)からの回復を見せました。2025年に導入された共通テスト必須化の影響で一度落ち込んだ志願者が戻りつつある傾向と見られます。

 一方減少傾向の学部の動向をみると、政治経済学部は前年度の大幅増(143.1%)の反動もあり76.6%と大きく減少しました。これはいわゆる揺り戻しであり、2024年比(109.6%)では増加水準です。社会科学部(89.6%)は2年連続の減少で、2025年からの共通テスト必須化の影響が継続しています。かつて政治経済学部でも見られた傾向ですので、数年以内に回復に向かうと予想されます。理工系3学部(基幹理工94.0%・先進理工95.8%・創造理工97.1%)も小幅な減少傾向が続いており、理工系受験者の国立大志向の強さが影響していると考えられます。

慶應義塾大学

 10学部のうち6学部で増加、4学部で減少という構図でした。

 慶應全体の志願者増加(104.7%)を牽引したのはこちらも文系学部で、特に3年連続で増加が続く学部が目立ちます。増加が著しいのは文学部(112.5%)・総合政策学部(114.4%)・環境情報学部(111.9%)・商学部(110.2%)です。特にSFCの両学部(総合政策・環境情報)がともに2年連続で10%超の増加となっており、AIやデータサイエンスへの関心の高まりが、問題解決型・探究型の教育で知られるSFCへの志願増につながっていると考えられます。経済学部(105.2%)・商学部(110.2%)も3年連続の増加で、ビジネス系学部の根強い人気が続いています。

 一方、医療系3学部の減少が顕著です。医学部(83.8%)・看護医療学部(92.7%)・薬学部(93.8%)はいずれも減少しました。理工学部(98.0%)もわずかに減少しており、理系全体はすべて減少したことになります。この傾向は早稲田と同じでした。

--大学入試では総合型・学校推薦型選抜による入学者の割合が増えていますが、早稲田・慶應は最新ではどのような状況でしょうか。

 大学からデータが公表されていないため推定ではありますが、数値の見方については注意が必要です。

早稲田大学

 2026年の早稲田大学の一般選抜・共通テスト利用入試の募集人員は4,990名でした。早稲田大学の全入学者の定員が約9,000名ですので、約55%が一般選抜・共通テスト利用入試となります。

 ただ、9,000名の入学定員には内部進学も含まれます。公表されている総合型選抜・学校推薦型選抜の募集人員の合計は1,790名ですので、内部進学などを除いて比較すると、一般選抜・共通テスト利用入試が73.6%、総合型選抜・学校推薦型選抜が26.4%でした。

慶應義塾大学

 2026年の慶應義塾大学の一般選抜の募集人員は3,626名でした。大学の全入学者の定員が6,402名ですので、56.6%が一般選抜・共通テスト利用入試となります。

ただ、早稲田大学同様、内部進学も含めた全体の入学定員ですので、公表されている総合型選抜・学校推薦型選抜の募集人員の合計1,359名と、一般選抜の3,626名の募集人員を比較すると、一般選抜が71.5%、総合型選抜・学校推薦型選抜が28.4%でした。

 全国的に総合型・学校推薦型選抜の入学者比率が上昇する流れの中にありますが、内部進学などの事情を除いてみると、早稲田・慶應とも7割ほどが一般選抜の枠があることがわかります。

--来年の早稲田・慶應の入試で押さえておくべき変更点があれば教えてください。

早稲田大学

 2027年度の入試では、以下の変更点が発表されています。

 政治経済学部では、大学入学共通テストの「英語」受験が必須化されます。変更に伴い、「ドイツ語」、「フランス語」は選択できなくなりました。

 また、国際教養学部では、AO入試(国内選考)の出願資格のうち、調査書の提出が必須となります。大学入学共通テスト利用入試(共通テスト+英語4技能テスト利用方式)が10名の募集で新たに導入されます。所定の要件(英検1級合格など)を満たす英語4技能テストのスコア証明書を提出した受験者を対象に、大学入学共通テスト(国語・数学I・数学IIの2教科3科目/合計400点)の得点のみで合否判定を行います。本入試制度の導入に伴い、一般選抜の募集人員が175名→170名に、AO入試が100名→95名に変更されます。

慶應義塾大学

 2027年度入試での最大の注目点は、経済学部の入試科目の大幅変更です。A・B方式それぞれで小論文が休止され、2教科入試となります。

A方式:英語(200点)+数学(200点)
B方式:英語(200点)+地歴(世界史または日本史)(200点)
※数学も地歴も80分150点満点→100分200点満点に変更

 小論文休止により、理系志願者や難関国公立大・医学部志望者の併願が増加し、難易度が上昇する可能性があります。受験生は、今から徹底した対策が必要です。

 また、総合政策学部・環境情報学部(SFC)でも、2027年度から一般選抜で実施されていた外国語のうち、「ドイツ語」「フランス語」の選択がなくなり「英語」のみとなります。この変更にともにAO入試では、2027年度より、ドイツ語とフランス語の外国語能力を多面的能力の1つになるとものとして位置づけ、総合評価の対象としています。

 入試情報は必ず各大学のホームページや入試要項を確認してください。

--両大学は、世界大学ランキングのようなグローバルな指標ではどのように評価されていますか。

 2026年6月に発表された最新のQS世界大学ランキング*2027において、早稲田大学は世界201位(国内私立大学1位)、慶應義塾大学は世界213位(国内私立大学2位)となりました。日本の私立大学の中では引き続き早慶がトップ2を占めており、その優位性は変わりません。

早稲田は世界201位、慶應は世界213位で、私立大学トップ2の座を守った

 評価のポイントを見てみると、早稲田は「雇用者評価(Employer Reputation)」で世界38位という突出した評価を獲得しており、大学の規模や研究力以上に、産業界・企業からの信頼の厚さが際立っています。また、国際化への積極的な取り組みが世界的な知名度向上にもつながっており、総合順位でも国内私大トップの地位を維持しています。慶應も「雇用者評価」で世界50位(国内5位)、「就職力・卒業生の活躍(Employment Outcomes)」で世界84位(国内2位)と、こちらも就職・キャリア関連の指標で高い評価を受けています。

日本の私立大学において早慶を超える大学はなく、評価基準によって両校のトップが入れ替わることはありますが、私立最高峰としての地位は揺るぎないものがあります。ただし、世界順位が2025年からだいぶ下がって両校とも200位台となってしまっているのは残念です。

 *QS世界大学ランキング:イギリスの大学評価機関クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds)が2004年から毎年発表している、世界各国から1,500以上の教育機関が参加する世界最大規模の大学評価ランキング。国際的に広く認知されており、世界中の企業・研究機関・政府機関が進学先や採用の参考指標として活用しており、大学の国際的なブランド力を測る実質的な物差しとなっている。

--ダブル合格者の進学比率は、大学全体では2024年まで慶應がリードしていましたが、2025年はついに早稲田が逆転しました。2026年はどちらを選ぶケースが多かったのでしょうか。

早慶大学全体比較
早稲田選択者は年々増加し、2025年に慶應を逆転、2026年は58.0%となった

 ご質問にあるとおり、昨年ついに早慶ダブル合格で早稲田への進学者が慶應を上回り逆転しました。弊社がダブル合格のデータを取り始めた2018年は、早慶両方に合格したら慶應を選ぶ受験生は71.5%と早稲田を圧倒していましたが、2020年を過ぎたあたりから、徐々に早稲田を選ぶ割合が増えていきます。昨年の逆転から、本年もその傾向が続き、わずかですが早稲田選択者の割合がより高くなりました。

 2027年は慶應経済の入試科目から小論文を休止するという大きな変更があるため、国公立や早稲田との併願に影響があることが予想されます。早慶のダブル合格進学率は、来年も目が離せません。

--早慶と上智、東京理科とのダブル合格の場合は、早慶を選ぶ受験生が多いのでしょうか。

 早慶では激しいダブル合格の変遷が見られますが、早慶と上智、東京理科のダブル合格について見てみると、上智・東京理科大を選んだ受験生はごくわずかであり、早慶と上智、東京理科との間には極めて大きな壁があることがうかがえます。

--早慶のダブル合格を同系統の学部別で見た場合、2026年の結果はいかがでしたか。

 両大学の法学部同士、商学部同士、文学部同士、また、学部名が異なっても同系統である、たとえば早稲田の政治経済学部と慶應の法学部または経済学部など9つの学部同士、両方に合格した場合にどちらに進学するかを見てみましょう。

 まずは、これまでの変遷を振り返ってみましょう。2018年の進学先を見ると、両大学の看板学部同士である早稲田・政治経済学部VS慶應・法学部は、71.4%で慶應・法の圧勝、慶應・経済も55.6%で勝利。全体的に見ても9学部中8学部が慶應の勝利と、慶應が圧倒的でした。このような傾向は2020年まで続きます。

 異変が起こったのは2021年です。この年に早稲田は、政治経済学部で共通テストを導入し、私立文系学部では極めて異例となる数学(数学I・A)を必須化する大改革を断行しました。早稲田・政治経済学部の志願者は前年の約3割減という衝撃的な数値でしたが、慶應に対するダブル合格進学率は大幅に上がり、同系統学部全体でも早稲田が慶應に対して6勝3敗で初の勝利を収めたのでした。

2021年の早稲田・政治経済学部の入試改革により、早稲田選択者が増加した

 2022年以降、早稲田の6勝2敗1引き分け、7勝1敗1引き分け、8勝1敗、7勝1敗1引き分けと勝利が続きました。

 そして2026年はついに早稲田が慶應に対して全勝という結果になりました。

2026年に早稲田が同系統学部で9勝0敗の全勝、法学部対決も初めて制した

 直近3年間で唯一慶應の牙城であった法学部ですが、調査開始以来初めて早稲田に軍配があがったことで早稲田の全勝となりました。また、母数は多くはないですが早稲田政治経済と慶應法では、早稲田政治経済への進学が100%となったのも2026年が初めてです。早稲田の入試改革が受験生の志望度合いを高め、このような結果につながった象徴的な出来事といえます。

 また、昨年も触れていますが、同系統学部の進学率で早稲田に逆転された2021年時点でも、大学全体のダブル合格進学率では慶應が64.9%と勝利し、2024年までこの慶應優勢が続いていた理由は、慶應合格者の中には、早稲田の同系統学部ではなく比較的合格しやすい学部と併願しているケースがあり、全体でみると慶應の選択が多いからでした。

 しかし、その流れに大きな影響を与えたのが2025年の早稲田大学の社会科学部と人間科学部の入試改革です。その内容は、まず大学入学共通テストの必須化。それまで共通テスト受験を必要とする者は社会科学部では定員の10%にとどまっていましたが、必須化により100%つまり10倍に、人間科学部では15%が100%に跳ね上がりました。そして、数学必須方式の定員の割合が増えたこと、さらには、社会科学部に「総合型問題」が登場しました。その結果、2025年の志願者は、昨年対比で社会科学部85.5%、人間科学部76.2%と大きく減らしました。本年の入試動向は前述のとおり、人間科学部では回復傾向ですが、社会科学部ではまだ敬遠する受験生が多かったようです。

 一方で、ダブル合格進学先を見てみると、昨年の傾向が本年もそのまま引き継がれ、早稲田選択の割合が入試改革以前の平均を大きく上回る結果となりました。2021年の早稲田・政治経済学部の時のように、慶應に逆転するまではいかないにしても、この入試改革によって社会科学部および人間科学部を進学先に選ぶ受験生が増える傾向にあると言えます。

2025年の入試改革により、社会科学部・人間科学部で共通テスト必須化と数学必須方式の定員が増加した
早稲田・社会科学部vs慶應・全学部を比較
早稲田・人間科学部vs慶應・全学部を比較

--両大学の強みはそれぞれどういったところにありますか。

早稲田大学

 早稲田大学の最大の強みは、その規模と多様性にあります。学部生数は国内2位(3万8,000人以上)を誇り、文系・理系を問わず13学部という幅広い学問領域をカバーしています。これだけの規模があるからこそ、学部の枠を超えた出会いや学びが生まれやすく、多様な人財が集まる環境が形成されています。

 また、近年の積極的な入試改革と教育改革も強みの1つです。2021年の政治経済学部への数学必須化を皮切りに断行してきた入試改革は、難関国立大との併願者を引き寄せ、入学者の質を着実に引き上げています。教育面では、2032年の創立150周年を見据えた「150周年記念事業」のもと、研究・教育・社会貢献の三本柱を担う3つのグローバルセンター(GRC・GEC・GCC*)を整備。アカデミック・ライティング、数学的思考、データサイエンスなど文理融合の基盤教育を全学生に提供し、学部・大学院での副専攻制度や国際留学を通じて地球規模の視野をもつ人材育成を推進しています。

 キャンパスについて補足すると、2027年には新たな知の拠点として早稲田キャンパスに新棟(E棟)を開設予定であり、キャンパス環境の整備も着々と進んでいます。4年間キャンパスが変わらないこともあり、大学周辺はまさに学生街で、学生に愛される有名店も多くあります。*「学問の独立(研究の早稲田)」を担うGRC(Global Research Center)、「学問の活用(教育の早稲田)」を担うGEC(Global Education Center)、「模範国民の造就(貢献の早稲田)」を担うGCC(Global Citizenship Center)

 加えて、QS世界大学ランキングの「雇用者評価」で世界38位という評価が示すように、産業界からの信頼も際立っています。卒業生が各界のリーダーとして活躍し続けてきた長い歴史が、この評価を支えています。

慶應義塾大学

 慶應義塾大学の強みは、一貫したブランドの安定感と卒業生ネットワークにあります。「三田会」に代表される強固な同窓生コミュニティは、就職・ビジネスの場面で独自の結束力を発揮し、学生にとっての大きな資産となっています。QS世界大学ランキングの「就職力・卒業生の活躍」で世界84位という評価も、この卒業生の活躍ぶりを裏付けるものです。

 また、医学部を擁する総合大学としての研究力も強みです。その研究を社会に実装する動きも加速しており、2025年4月には矢上キャンパスに産学連携イノベーション拠点「YIL(Yagami Innovation Laboratory)」を開設。2026年4月にはHonda・大阪大学との産学連携「BRIDGE」プロジェクトを始動させ、最先端AI人材の育成と協働研究所の設置に踏み切りました。さらに大学全体として「AIキャンパス構想」を掲げ、世界のAIトップ企業とも包括的連携を推進しながら、AI時代にふさわしい教育・研究環境の構築を目指しています。

--大学を評価する指標の1つとして、難関国家試験の合格者数があげられます。両大学の実績について教えてください。

 まず、最難関とされる司法試験では、早稲田の法科大学院が、2014年以来11年ぶりにトップに返り咲きました。その間慶應は昨年の1位をはじめ5回1位を取っています。本年、ダブル合格進学先でも早慶、法学部対決で初めて早稲田が慶應に勝ったことなど、法学に強い早稲田が名実ともに証明されていると言えます。

司法試験合格者数

 一方で、公認会計士は慶應の独壇場です。下表は2014年以降のランキングですが、1位・慶應、2位・早稲田の構図が続いています。実はこの構図は1975年から続いており、早稲田はその間、1995年にたった一度だけ慶應と同数1位となりましたが、残りはすべて2位。慶應の「絶対にトップは譲らない」という意地を感じます。ただし、慶應の合格者を100とした場合、早稲田の合格者の比率が今年は84.2(昨年76.6)となり、過去15年間でもっとも慶應に近づきました。

公認会計士合格者数

 そして、キャリア官僚を目指す人の関門とされる国家公務員総合職試験は、東京大学が圧倒的に強くトップを走り続けており、2位の京都大学の2倍近くなっています。そうした中で、私大トップの早稲田が3位につけて健闘しています。

国家公務員総合職試験合格者数

--両大学の女子の比率も気になるところです。

 私大人気のバロメーターの1つが女子の比率と言われています。女子から選ばれるためには、多様な学びはもちろんのこと、学内生活においてより安全、安心が求められ、キャンパスには女子が過ごしやすい環境と、清潔感やお洒落な雰囲気も欠かせません。下表は、早慶の志願者ベースの女子比率です。

 2026年は早稲田の37.5%に対して、慶應は28.1%と大きく差が開きました。それぞれ10年前、20年前との比較をつけています。早稲田は、ほぼすべての学部で女子比率を高めています。一方で慶應は全体としてあまり女子比率が増えていません。

20年間で女子比率を大きく伸ばし、国際色豊かなキャンパスが女子に人気
学部構成の影響で女子比率が伸び悩み、理工・経済・法・商で男子比率が高い

 法学部を見ると、早稲田が2006年の27.2%から2026年は37.0%と10ポイント近く上昇しています。慶應は30.7%から35.6%に約5ポイント伸びています。法学部の女性比率が増えているのは、国全体の傾向であり、たとえば司法試験合格者における女性比率は2006年に22.6%だったのが、2024年に初めて30%を超え直近の2025年には30.3%まで伸ばしています。

 また、注目すべきは理工系学部です。早稲田は理工系3学部合計で2006年は13.2%でしたが、20年かけて21.3%まで8.1ポイントも伸ばしてきました。一方の慶應も11.0%から17.7%とこちらは6.7ポイント伸ばしています。早稲田は、理工系3学部のうち先進理工学部が、女子比率26.6%と理工系女子比率を押し上げています。

 一般的な解釈として、慶應の女子比率が低い理由として「学部構成の違い」があげられます。すなわち、慶應は理工、経済、法、商、医など伝統的に男子比率が高い学部の定員シェアが大きい構成になっている。一方の早稲田は文、文化構想、教育、国際教養など女子の志願者が多い文系・国際系学部の定員規模が大きく、全体の女子比率を押し上げやすい構造であるという見方です。

 確かにその要素はあるでしょう。しかし、法・商・文・理工など同じ学部同士を見比べても、すべて早稲田の方が高い理由はそれでは説明がつきません。実際に早稲田を選んだ女子学生たちにヒアリングすると、次のようなさまざまは返答が返ってきました。

「4年間同じキャンパスで交通の便も良い」
「留学生が多く国際色豊かで活気がある」
「理工学部で自分のやりたい勉強ができる」
「慶應はビジネス向け、早稲田がマスコミやITなど新しい業界向けというイメージがある」
「海外留学したいので早稲田と決めていた」
「文化構想学部でやりたいことが見つかった」
「早稲田の方がキャンパスがかわいいと感じた」

 など、ひとりひとり理由は異なりますが、中でもやはり、立地の要素は大きいと思われます。4年間同じ早稲田、西早稲田、戸山キャンパスというのは魅力がある。このような現象は全国的にあると感じていることですが、コロナを境に、学生たちが遠距離のキャンパスに通うことを避ける傾向があります。

 また、留学生の数の多さがインターナショナルで活気のある雰囲気を醸し出していることもあるようです。早稲田の留学生は約5,500人、学生全体の11.6%となっています。一方の慶應の学部留学生は約2,200人、学生全体の6.5%程度で、早稲田の方が圧倒的に多くなっています。また、海外に出ていく日本人留学生の数は、早稲田が年間2,123名で全大学の中で2位、慶應は1,214名で12位となっています。(JASSO『2024年度日本人学生留学状況調査』)

 早稲田は、2003年のスポーツ科学部の新設に始まり、2004年の国際教養学部、2007年には理工学部の3学部化、第一文学部・第二文学部を文学部と文化構想学部に再編するなどの大ナタを振るい、また入試改革も積極的に行ってきました。そのひとつひとつの地道な努力が、女子学生の獲得にも寄与したと考えます。

 現在の受験生の親世代では、まだまだ早稲田はバンカラのイメージが残っており、慶應の都会的でスマートなイメージとは対照的だったと思います。しかし、早稲田は女子が増えたこともあって、そのイメージもだいぶ変わってきたのではないでしょうか。

--両大学の今後の動向について、展望をお聞かせください。

早稲田大学

 大学としてのビジョンは明確です。2032年の創立150周年を1つの節目に、「世界人類に貢献する大学」として2050年に向けた長期改革を加速させる構えです。目標として「2040年には日本でもっとも学ぶ価値のある大学」「2050年にはアジアでもっとも進学したい大学」を掲げており、文理融合教育・研究力強化・国際化推進という三本柱を、3つのグローバルセンターを司令塔として着実に推進していくと見られます。

 入試面では、2021年の政治経済学部に始まった共通テスト活用の波が社会科学部・人間科学部へと広がり、今後もこの流れが継続していくでしょう。数年以内に各学部の志願者数が安定的な水準に回帰することも予想され、質・量ともに充実した受験者層が定着していくと考えられます。

 教育面で言うと、政治経済学部では、留学生などと共に英語で学ぶ必修科目や、解析学・線形代数学・確率論など高度な数学を学ぶ新しいカリキュラムが27年度から開始されます。入試改革の延長で、文理問わず数学を土台としたAI時代に必須の力を身に付けていきます。

慶應義塾大学

 量子コンピュータを専門とする伊藤公平塾長がもっとも力を入れているのが「AIキャンパス構想」です。「これからの3年間で世界最高峰の人間中心のAIキャンパスを構築する」と宣言し、世界のAIトップ企業との包括的連携、2025年開設のYIL(矢上イノベーションラボラトリー)を軸とした産学連携研究、さらにはHondaとの共同AIプロジェクト「BRIDGE」(2026年4月始動)など、研究と教育の両面でAI時代への対応を一気に加速させています。

 2027年の経済学部入試改革(小論文休止・2教科化)は、理系・難関国立大受験生の流入を招くと予想されており、慶應経済のブランド・難易度がさらに高まる可能性があります。一方、「創立175周年の2033年に向けて慶應だけでなく、日本の教育のグランドデザインをつくりたい」という伊藤塾長の言葉が示すように、個別大学の枠を超えた教育改革の旗振り役としての存在感も高まっています。

 少子化が進む中でも早慶両大学への志願は底堅く、ダブル合格進学先のシェア争いはますます接戦となっていくでしょう。入試改革・AI対応・国際化という共通のテーマのもとで、両大学が切磋琢磨しながら日本の私立大学全体を牽引していく姿は、これからも変わらないと確信しています。

--最後に、両大学目指す受験生に向けてエールをお願いします。

何のために学ぶのかという「志」を胸に、最後まで諦めずに挑み続けて欲しい

 早慶はどちらも簡単には合格できない、日本を代表する難関大学です。しかしここまでお話ししてきたように、両大学はそれぞれ異なる個性と強みをもち、時代に即した改革を行っています。

 早稲田大学は、大学自らが痛みをいとわない入試改革を断行しながら、「世界人類に貢献する大学」というビジョンに向けて力強く変化し続けています。

 慶應義塾大学は、160年以上にわたり積み上げてきたブランドと卒業生ネットワークを礎に、AIキャンパス構想など未来への投資を加速させています。

 どちらを選んでも、その先には豊かな学びと出会いが待っているはずです。

 受験生のみなさんにお伝えしたいのは、「どちらが上か」ではなく「自分はどちらで何を学びたいのか」を真剣に考えてほしい、ということです。ダブル合格者の進学先データも、あくまで傾向の1つに過ぎません。大切なのは、自分の志望する学問や将来の夢に照らして、どちらの大学・学部が自分にとって最良の選択かを見極めることです。

 入試が変わり、問われる力が変わっても、本質は変わりません。基礎学力をしっかり身に付け、何のために学ぶのかという「志」を胸に、最後まで諦めずに挑み続けてください。東進ハイスクールは、その挑戦に一緒に走り抜けます。

--ありがとうございました。

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《編集部》

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