【大学受験の落とし穴 3/5】予備校選び~有名校の受験生が陥る「泥沼状態」とは

 我が子の大学受験を失敗させないために、親はどのようなことに気をつければいいのか。家庭教師メガスタディの田中義貴講師に聞く連載第3回では、「予備校選び~成績低迷の受験生が陥る「泥沼状態」とは?」を紹介する。

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田中義貴講師
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 我が子の大学受験を失敗させないために、親はどのようなことに気をつければいいのか。家庭教師メガスタディの田中義貴講師に聞く連載第3回では、「予備校選び~有名校の受験生が陥る「泥沼状態」とは」を紹介する。

(1)親の成功体験が子どもの足かせに
(2)進学実績のある中高一貫校に入学=“大学受験は勝ち組”ではない
(3)予備校選び~有名校の受験生が陥る「泥沼状態」とは
(4)安易に「センター利用入試」に走るのは危険
(5)過去問との相性を考えずに、志望校や併願校を決めるのは危険

◆いわゆる「有名校」「進学校」に通う生徒は特に注意が必要

--予備校選びのポイントについて伺いたいと思います。

 学校の授業がわからない状態の場合、予備校通いはかなり慎重な検討が必要です。基礎から抜けている状況なわけですから、いきなり予備校に通っても、ほとんど何も身にならないことが多いからです。

 さらに注意が必要なのは、いわゆる「有名校」「進学校」に通う生徒さんです。

 なぜかというと、「学校の授業がわからない」「基礎から抜けている」という状態でも、予備校に行くと「有名校の生徒」「進学校の生徒」扱いされて、「○○高校なら、基礎は大丈夫だね」という流れになりがちだからです。基礎が抜けているのに、学校の看板だけで「できる生徒」扱いされて、上のクラスに放り込まれるのは非常に危険です。

 有名進学校の生徒であっても、学校で下位に低迷している場合、基礎的なことからやり直しが必要なケースが大半です。お友達が予備校通いをはじめたからと、疑いをもたずに通いだすと、それこそ「泥沼状態」に陥りかねません。

◆基礎~標準問題から重要部分を優先して繰り返す

--基礎クラスに入り、基礎から固めていけばいいのでしょうか。

 もちろん、予備校にも基礎クラスが用意されています。ですが、予備校の基礎クラスのカリキュラムでは、「繰り返しの量」が圧倒的に不足しています。

 たとえば、私の専門の数学(この場合は、私大文系数学)を例にあげてお話しします。

 予備校のカリキュラムは、前期に「数I」「数A」を、後期に「数II」「数B」を学習するスケジュールになっていることが多いのですが、これですと高3の1年間で、原則ひと回し(ワンサイクル)しかできないわけです。授業で1度取り扱った単元は、もう登場しません。早慶MARCHを目指す場合、これでは、繰り返す量が圧倒的に不足しているのです。

--そうはいっても、「数I」「数A」「数II」「数B」、基礎的なことからすべてやり直すとなると膨大な時間がかかってしまう気がします。繰り返したくても、間に合わないのが実情ではないでしょうか。

 普通にやったら量が多すぎて何度も繰り返せません。ですから、基礎をやり直すといっても、やる内容を絞る必要があります。ですから、私の場合、基礎~標準レベルの問題のなかで、重要部分を優先して何度も繰り返させています。

 ただし、私大入試の場合、大学ごとに入試傾向や特徴は差があります。ですから、「絞る」といっても、どう絞ればいいのかが難しいところです。ここをうまくやるには、研究が必要ですね。

--田中講師の場合、具体的にはどう教えているんでしょうか。

 数学の場合、基礎~標準レベルの問題のなかで、これを外したら入試問題がつくれない、という「コアな問題」があります。どの大学でも必ず出題されるなど、コアになる問題が存在します。もう少し言うと、それさえきちんと理解していれば、応用も効くような内容の問題が存在するのです。

 そうした問題に絞り込むと、予備校の一般的な学習量の4分の1くらいまで絞り込めます。さらに、生徒の学習状況、未消化単元などに合わせて調整すれば、より絞り込むことが可能です。そうやって問題を絞り込み、そこを集中的に繰り返していくと、基礎のやり直しを高速で行い、定着させることができます。

 たとえば、いま教えている生徒の場合だと、高3の1学期の途中にある模試までに、数IA数IIBの基礎をワンサイクル終わらせるように指導しています。こうした指導法を実践することで、数学の偏差値が40だった生徒が2か月で60以上に伸びた例も過去にはあります。偏差値を20以上伸ばすことも可能なわけです。

◆「問題集を1冊に絞る」は間違い?

--他に注意することはありますか。

 予備校選びではないですが、よくありがちな勉強法の落とし穴があります。それは「問題集選び」です。

 大学受験でよく言われることに、「あれこれ問題集をつまみ食いするのはよくない」「1冊を何度も繰り返したほうがいいというのがあります。

 たしかに、そのとおりなのですが、実は「問題集を1冊に絞る」というのは、合格するうえでもっとも効率の良いやり方であるとは限りません。理由は、売れ筋の問題集であっても、重要な問題が抜けていることがあるからです。

 しかし、数ある問題集の中から受験生自身が重要問題を選んで学習するというのは難しい。その場合は、近年の大学の入試傾向や、出回っている問題集の内容を把握したうえで、個々の生徒に応じた適切なアドバイスができる家庭教師や個別指導の講師に相談するという方法もあります。

【家庭教師メガスタディ】
 早慶上智、理科大、GMARCHなど、難関上位の私立大受験に特化し、合格者を毎年多数送り出す。

【田中義貴講師】
 元代ゼミ講師で、指導歴18年の家庭教師メガスタディ・トッププロ講師。東大理I、早稲田大学、慶應義塾大学、医学部など多数の合格実績をもつ。代ゼミ講師時代には東大理系・東大文系・医系クラス等を担当。

《編集部》

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